ふふふ☆連載続きなので久々に短編です♪
敦賀セラピーの甘い罠
とても賑わっているテレビ局のロビーを、最上キョーコはこの世の終わりを迎えた様な顔で、ふらふらと歩いていた。
一人死臭を放っているのではないかと疑われる程、闇色のオーラを振りまくその人を見て、誰が女優の京子だと気付こうか…。
京子に想いを寄せている光ですら、気付くことが出来なかった。
「あの子、どないしたんやろ？」
「さぁ、大丈夫やろか？」
「あれは、かかわらんほうがいいで。触らぬ神になんとやらや…」
ブリッジロックの面々もそんな京子の姿にドン引きである。
そんな周囲の噂ばなしも他所に、勇者が一人現れる。
敦賀蓮その人である。
彼は最上キョーコに目ざとく気付くと、優雅に近寄り声をかけた。
「お疲れ様。最上さん、一体どうしたの？」
「えぇえ？！キョーコちゃん？！」
蓮が最上さんと声をかけたことで、ようやく社もキョーコだと認識出来て、素っ頓狂な声を上げた。
その、キョーコちゃん？！と社が言ったことで、ブリッジロックもようやく、京子と気付くことが出来た。
「ええ？！京子ちゃんやて？！」
「一体何があったんや…」
キョーコは蓮の声に、ビクッと反応すると、虚ろな目で蓮を見た。
「つ、るがさん…」
蓮は更に近寄って、顔を覗き込む。
「どうしたの？」
蓮の心配そうな目を見て、キョーコの大きな瞳からみるみる涙が溢れてくる。
「つっる…がさ…！」
「最上さん？！」
流石の蓮もギョッとする。好きな子が目の前で泣いてるのだ。抱きしめてあげたいが、人目がありそれも出来ない。
オロオロするしかない蓮に、急にキョーコの方から抱きついて来た。
途端に周りから黄色い悲鳴が上がる。
「お、ねがい…敦賀さん…敦賀セラピーを…ひっく。…セラピーしてください！！ひっく…」
「え？！も、ももも最上さん？！」
「きょ、キョーコちゃん？！」
突然のキョーコの行動と、内容の意味が良く理解出来ず、狼狽える蓮と社。
光を含む数人の男性陣は、ショックを隠せない。
「あ…の…、軽井沢の時みたいに…ぎゅって…セラピーしてください！」
ーーー！！！！軽井沢？ぎゅっ？セラピーってまさか！！
蓮は、恐る恐るキョーコの背中に手を回した。
蓮はキョーコを優しく包み込むと、背中をポンポンと叩きながら、大丈夫大丈夫。とキョーコに言い聞かせた。
敦賀セラピーで落ち着きを取り戻したキョーコは、泣き止むとしばらくその暖かさに酔いしれる。
泣き止んだキョーコを見て、蓮はくすりと微笑むと、キョーコの頭を優しく撫でた。
「何があったか知らないけど、いつでも話し聞くからね？俺で良かったらなんでも話すんだよ？」
「…はい。ありがとう…ございます。」
キョーコは蓮の腕の中でうっとりと答えた。
「ところで、敦賀セラピーって何かな？」
「こうやって、敦賀さんの腕の中にいると安心するんです。嫌なことも辛いことも全部癒される気がするんです。前に軽井沢で抱きしめてもらった時にとっても心地よかったので…」
「…そう。敦賀セラピーはいつでも君のためにあけておくからね。好きな時にいつでも癒されにおいで。」
「…はい！」
「ずっと君を離さないからね。君も俺を一生離さないでね。」
「はい。」
キョーコが敦賀セラピーに癒されて夢見心地の中、何も考えず相槌をうつキョーコ。
キョーコがもう一度ギュッと抱きついて来たので、蓮の笑みも深くなる。
キョーコの髪にそっとキスを一つ落とすと、また周りから悲鳴が聞こえた。
「少しは…落ち着いた？」
「…はい！ありがとうございま…す…」
キョーコは、蓮の腕から顔を上げた瞬間、周りに集まってるギャラリーの数に気付いた。
「ん？…え？！」
そこには、テレビ局の内側と外側の両方から人が集まり、カメラで撮影までされていた。
キョーコはようやく、現状を把握する。
ーーー落ち込んでたとはいえ、公衆の面前で私は敦賀さんになんってことを…！！！！
戸惑って、縋るように蓮を見上げれば、美しい顔があり、ちゅっ。…って唇に…って！！え？！！キスされたぁぁぁぁあーーーー？！！
「さて、キョーコ？ここは人目があるから、二人っきりになれるところに行こうか？」
ニコニコとご機嫌な蓮に、最早思考が完全に停止してしまっているキョーコはあっという間に連れ去られ、あれよあれよという間に気付ば、交際宣言、婚約宣言と事務所から祭り上げられていた。
キョーコはいつから夢を見ていたんだろ？と不思議に思いながら日々を過ごす。
あのセラピー事件から数時間後の交際宣言。
「いやぁ、ずっと俺の片想いだと思ってたのですが、あんなに大勢の人がいる中で告白されるとは思ってもいませんでした。今は幸せいっぱいです！！」
と敦賀蓮はのたまった。
キョーコがこれは夢ではなく現実だと知ることになるのは、結婚して、子供が出来てからになるのだった。
END
＊＊＊＊＊
何についてこんなにキョーコちゃんが落ち込んでいたのかは、皆さんのご想像にお任せします。
敦賀セラピー…おそらくこの後、ショウタロウはテレビで見ることになるんでしょうね♪( ´▽｀)
敦賀セラピーの甘い罠
とても賑わっているテレビ局のロビーを、最上キョーコはこの世の終わりを迎えた様な顔で、ふらふらと歩いていた。
一人死臭を放っているのではないかと疑われる程、闇色のオーラを振りまくその人を見て、誰が女優の京子だと気付こうか…。
京子に想いを寄せている光ですら、気付くことが出来なかった。
「あの子、どないしたんやろ？」
「さぁ、大丈夫やろか？」
「あれは、かかわらんほうがいいで。触らぬ神になんとやらや…」
ブリッジロックの面々もそんな京子の姿にドン引きである。
そんな周囲の噂ばなしも他所に、勇者が一人現れる。
敦賀蓮その人である。
彼は最上キョーコに目ざとく気付くと、優雅に近寄り声をかけた。
「お疲れ様。最上さん、一体どうしたの？」
「えぇえ？！キョーコちゃん？！」
蓮が最上さんと声をかけたことで、ようやく社もキョーコだと認識出来て、素っ頓狂な声を上げた。
その、キョーコちゃん？！と社が言ったことで、ブリッジロックもようやく、京子と気付くことが出来た。
「ええ？！京子ちゃんやて？！」
「一体何があったんや…」
キョーコは蓮の声に、ビクッと反応すると、虚ろな目で蓮を見た。
「つ、るがさん…」
蓮は更に近寄って、顔を覗き込む。
「どうしたの？」
蓮の心配そうな目を見て、キョーコの大きな瞳からみるみる涙が溢れてくる。
「つっる…がさ…！」
「最上さん？！」
流石の蓮もギョッとする。好きな子が目の前で泣いてるのだ。抱きしめてあげたいが、人目がありそれも出来ない。
オロオロするしかない蓮に、急にキョーコの方から抱きついて来た。
途端に周りから黄色い悲鳴が上がる。
「お、ねがい…敦賀さん…敦賀セラピーを…ひっく。…セラピーしてください！！ひっく…」
「え？！も、ももも最上さん？！」
「きょ、キョーコちゃん？！」
突然のキョーコの行動と、内容の意味が良く理解出来ず、狼狽える蓮と社。
光を含む数人の男性陣は、ショックを隠せない。
「あ…の…、軽井沢の時みたいに…ぎゅって…セラピーしてください！」
ーーー！！！！軽井沢？ぎゅっ？セラピーってまさか！！
蓮は、恐る恐るキョーコの背中に手を回した。
蓮はキョーコを優しく包み込むと、背中をポンポンと叩きながら、大丈夫大丈夫。とキョーコに言い聞かせた。
敦賀セラピーで落ち着きを取り戻したキョーコは、泣き止むとしばらくその暖かさに酔いしれる。
泣き止んだキョーコを見て、蓮はくすりと微笑むと、キョーコの頭を優しく撫でた。
「何があったか知らないけど、いつでも話し聞くからね？俺で良かったらなんでも話すんだよ？」
「…はい。ありがとう…ございます。」
キョーコは蓮の腕の中でうっとりと答えた。
「ところで、敦賀セラピーって何かな？」
「こうやって、敦賀さんの腕の中にいると安心するんです。嫌なことも辛いことも全部癒される気がするんです。前に軽井沢で抱きしめてもらった時にとっても心地よかったので…」
「…そう。敦賀セラピーはいつでも君のためにあけておくからね。好きな時にいつでも癒されにおいで。」
「…はい！」
「ずっと君を離さないからね。君も俺を一生離さないでね。」
「はい。」
キョーコが敦賀セラピーに癒されて夢見心地の中、何も考えず相槌をうつキョーコ。
キョーコがもう一度ギュッと抱きついて来たので、蓮の笑みも深くなる。
キョーコの髪にそっとキスを一つ落とすと、また周りから悲鳴が聞こえた。
「少しは…落ち着いた？」
「…はい！ありがとうございま…す…」
キョーコは、蓮の腕から顔を上げた瞬間、周りに集まってるギャラリーの数に気付いた。
「ん？…え？！」
そこには、テレビ局の内側と外側の両方から人が集まり、カメラで撮影までされていた。
キョーコはようやく、現状を把握する。
ーーー落ち込んでたとはいえ、公衆の面前で私は敦賀さんになんってことを…！！！！
戸惑って、縋るように蓮を見上げれば、美しい顔があり、ちゅっ。…って唇に…って！！え？！！キスされたぁぁぁぁあーーーー？！！
「さて、キョーコ？ここは人目があるから、二人っきりになれるところに行こうか？」
ニコニコとご機嫌な蓮に、最早思考が完全に停止してしまっているキョーコはあっという間に連れ去られ、あれよあれよという間に気付ば、交際宣言、婚約宣言と事務所から祭り上げられていた。
キョーコはいつから夢を見ていたんだろ？と不思議に思いながら日々を過ごす。
あのセラピー事件から数時間後の交際宣言。
「いやぁ、ずっと俺の片想いだと思ってたのですが、あんなに大勢の人がいる中で告白されるとは思ってもいませんでした。今は幸せいっぱいです！！」
と敦賀蓮はのたまった。
キョーコがこれは夢ではなく現実だと知ることになるのは、結婚して、子供が出来てからになるのだった。
END
＊＊＊＊＊
何についてこんなにキョーコちゃんが落ち込んでいたのかは、皆さんのご想像にお任せします。
敦賀セラピー…おそらくこの後、ショウタロウはテレビで見ることになるんでしょうね♪( ´▽｀)