お待たせしました。
運命の歯車最終話です!!
お楽しみ下さい。


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運命の歯車 6
~そして歯車は動きだす~


残されたキョーコは、さっきの鏡花の言葉を思い出し、本当に私に埋めることが出来るのだろうか?と思いながら、人が見ているにも関わらず、自分に縋り付いてきた彼の為に出来ることがあるなら…と、そろそろと蓮の髪に手を伸ばして、優しく髪を梳いた。
蓮は一瞬ぴくっとすると、顔をキョーコの肩から離してキョーコを見つめた。
キョーコは困ったようにニッコリと微笑み
「取り敢えず、入れて頂けますか?」
と言った。
蓮はキョーコを離すことを名残惜しく感じながら、躊躇しているので、キョーコの方から離れ、蓮の手を取った。
「さぁ、いきましょう?お邪魔しますね?」
一言断りを入れて玄関に踏み入った。
リビングまで無言のまま、大人しく着いてきた蓮をみながら、テーブルのそばに転がってる酒瓶の数を見て溜息を付いた。

「飲み過ぎは、身体を壊しちゃいますよ?」
蓮を困った様に見つめるキョーコ。
蓮は何も言わず、ゆっくりとキョーコの頬に手を伸ばすと、繋いでいた手に力を込めて、キョーコの唇に自分の唇をそっと重ねた。
嫌だったら逃げれる様に、頭の後ろには手を回さずに。
唇が触れた瞬間、蓮の全身に甘い痺れと喜びが広がった。
キョーコも驚いて一瞬体を強張らせたものの、好きだと自覚した今、この感覚を自分から手放すことが出来ずにいた。
キョーコが離れて行かないのに気付いた蓮は、繋いでいた手を放すと、キョーコの身体を抱き締めて、キスを段々と深めていった。
どのくらいそうしていたのか分からないが2人には永遠の時のように感じていた。
キョーコの身体の力が抜け、膝から崩れ落ちそうになった所を蓮が支え、ようやくキョーコをキスから開放した。

蓮はキョーコがキスから逃げなかったことでこれが夢ではないか?と感じながら、キョーコを見つめた。
そして、探るような視線で、キョーコに問いかけた。
「どうして、来たの?光さんはいいの?」
「…光さんとは、お付き合いしてません。告白はされましたけど、さっき『好きな人がいるんです。』って言って断りの電話を入れてきました。」
そう言って、キョーコは真っ直ぐに蓮を見つめ返した。
蓮は顔を歪めた。
「…好きな人…?」
キョーコはしばらくじっと蓮を見つめると、ふわっと笑って、照れ臭そうに上目使いで蓮を見つめて、「貴方ですよ?」と言った。
その困ったような恥ずかしいようななんとも言えない表情が、蓮の思考を一瞬停止させ無表情にさせてしまったが、言葉の意味を理解すると、一瞬驚いた後に今までにないくらい嬉しそうな顔をした。
「本当に?!」
蓮が思いの外大きな声で聞いて来たので、ビックリしたキョーコだが、嬉しそうな姿をみて、ちょっとだけ自信をもち、小さく頷いた。
「はい。本当です。」

蓮はその言葉を聞いて、かなりの力を込めて思いっきり、キョーコを抱き締めた。
「きゃ!つ、敦賀さん!!苦しいです!!」
「あ!ご、ごめん!!あの、嬉しすぎてその…夢じゃないよね?」
「もう、夢じゃありません!本当です!」
蓮が腕の中でぷりぷり怒ってるキョーコの姿を見て破顔すると、キョーコは珍しいものをみたように一瞬驚いた後、照れ臭そうに微笑んだ。
「ねぇ、もう一回キスしていい?」
「…その前に、敦賀さんから私、お返事聞いてないんですけど。」
キョーコが拗ねたように言った。
「え?!」
「だから、告白の返事です!」
「…俺…言ってなかった?嬉しすぎて、もう何がなんだかわからないよ。」
「………。」
「ねぇ、その前にキョーコって呼んでもいい??」
お尻に尻尾が生えていたらブンブンと千切れんばかりに振り回してるんじゃないかと言うくらい、無邪気な姿を見せる蓮に呆気に取られているキョーコ。
「いいですけど…」
「やった!!キョーコ!!大好きだよ!世界中で一番、誰よりも愛してる!!もう君なしじゃ生きて行けない!!二度と離さないから!結婚しよう!!絶対に幸せにしてみせるよ!」
告白の返事だと思っていた言葉が、突然熱烈なプロポーズの言葉に代わり、キョーコはギョッとした。
「え?!ちょっと!敦賀さん?!話が飛びすぎでは?!」
「飛びすぎてない!嬉しいよキョーコ!!幸せにするからね!ずっとずっと一緒にいよう!もう、絶対誰にも渡さないからね!!」
これ以上ないくらいはしゃいでいる蓮をみてくすぐったく思いながら、キョーコは自然とプロポーズを受け入れていた。
「はい。嬉しいです。ありがとうございます。敦賀さん。」
「久遠!!」
「…え?」
「久遠って呼んでよ、キョーコ!!俺の本名!あ!キョーコちゃんだから、コーンでもいいよ!!」
「……え?!」
「ずっと黙っててごめんね。でも、結婚するなら本名じゃないと行けないし、隠してる必要ないと思って…」
「え?!コーン??」
「うん!本当は久遠だけどね?キョーコちゃんはコーンって呼んでたでしょ?」
キョーコは驚きのあまり言葉が出なかった。
ーーーう、そ…敦賀さんがコーン…?
「敦賀蓮の本名は理由があってトップシークレットなんだ!社長と俺の両親しか知らない、トップシークレット!俺は過去を全て捨てて敦賀蓮として生活してた。だから、君がキョーコちゃんだとわかっても、教えることが出来なかったんだ!黙ってるのは本当に辛かった!でも、結婚するんだからいいよね?もう君も家族になるんだ」
蓮が心の底から嬉しそうな顔で見つめてくると、キョーコはあまりの内容について行けなくなり、思考が停止した。
ふしゅーと音を立てたように目を回したキョーコを見てギョッとした蓮。
オロオロしながら取り敢えず休ませようと、ソファに向かいかけるが、先程の鏡花との行為を思い出し、鏡花の香りが残っているであろうソファには連れて行きたくなくて、ゲストルームへと向きを変える。しかし、ちょっと考えたのち、結婚することになったんだしいいよね?とキョーコに囁いて、ウキウキと自身の寝室へとキョーコを運んだ。


翌日、今までにないくらい上機嫌な蓮と、顔を真っ赤にして歩き辛そうにしているキョーコが二人仲良く堂々と手を繋いで社長室を訪れる姿が多くの人に目撃されていた。


END


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最終話いかがでしたでしょうか?
連載の難しさを痛感しました!
蓮とキョーコの幸せいっぱいな姿が大好きな私…。
今回の作品は前半部分が辛くて辛くて書いてて、も~耐えられなかったです。
早く幸せになって欲しくて、結構なハイスピードでUPしてしまいました!
お楽しみ頂けてたら幸いです(^-^)/
気軽にコメント頂けたら嬉しいです☆



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