アメンバー様200人達成!&ブログ3ヶ月記念大感謝祭☆


雪兎さんよりリクエスト頂きました!!


ホワイトデー当日なのに終わってないというね(笑)

ブリッジロックの関西弁はツッコミ所満載かとは思いますが、なんとなく雰囲気で読んで頂けるとありがたいです!!

ではではお楽しみください♪



*****


春雪の贈り物 4




ーーーちっ!!繋がらねぇ!!

ショータローは、楽屋で空き時間にキョーコへと電話をかけていた。繋がらない携帯電話を苛立たしげに閉じる。

「くそっ!なんだってんだよ!!」

何度かけても電源が入ってないというアナウンスが流れるのだ。

昨日キョーコと分かれてから40回以上かけ直してるはずなのに、一向に繋がる気配がない。

ーーー昨日普通に電話出てただろうがっ!!

キョーコは最近、事務所が支給した携帯電話ではなく、プライベート用に携帯電話を持ち替えていたのだ。
そんなことも知らないショータローはホワイトデーで近づいてくるのを苛立たしげに感じていた。

ーーーくっそ!折角俺様直々にホワイトデー誘ってやろうと思ってんのに、何でこんな時に限って連絡取れねぇんだよ!!

ーーーキョーコのくせに生意気なんだよ!!

ーーコンコン。

ショータローが般若になりかけた時、軽快なノック音が楽屋に響いた。

「あ??」

「ショーちゃーんいる??」

「んだよ。ポチリかよ。」

「んだよってひどーい!ショーちゃんいるって聞いたから美森一生懸命頑張って早く終わらせたんだよぉー」

「はいはい。頑張ったな。」

「もー。ショーちゃん!!」

ショータローは美森と会話をしながらも、キョーコの事ばかりを考えているのだった。




「はぁぁぁぁー。」

楽屋で盛大な溜め息を吐く光に、雄生と慎一が突っ込んだ。

「リーダー、溜め息ついてると、幸せ逃げてくでぇ!」

「せや!!溜め息吐くなや。リーダー。まぁ、気持ちわからん事もないけどな!」

「だってよぉ~。京子ちゃぁーん!!」

「そんな溜め息吐くリーダーには教えへんぞ!」

「そやな!折角いい話聞いてきたさかいリーダーに教えたろ思うたけど、リーダーには教えへん!!」

「ふん。良いもん。聞かんで。」

「お?ホンマにいいんか?京子ちゃんのことでもか?」

「せやせや、折角京子ちゃんのホワイトデーの予定をゲットしたのに残念やなぁ~!」

「なんやて!!それをはよ言わんかいー!」

「リーダーが聞かへん言うたんやんかー!!」

ブリッジロックのメンバーは光をいじって思う存分からかってから、聞いてきたとっておきの情報を話した。

「さっき、ラブミー部の前を通ってん!!んでな、その時、キョーコちゃんに呼びかける声が聞こえてきてな、どうやらキョーコちゃん友達とホワイトデーは遊びに行くみたいなんや!」

光はガクーっと崩れ落ちた。

「何で寄りによってホワイトデーに友達と出掛けるん…。」

「キョーコちゃんの声は聞こえんかったから、電話で話してたんと思うで?ほら、キョーコちゃんの仲良しの琴南さんっていったかな?あの子も誘ってたみたいやけど、地方ロケ入っとる言うて断っててん。」

「リーダーチャンスやろ?!琴南さんは大人数でなんて言わないで二人で行ってきなさいよ!なんて言ってたけど、アプローチしてみたら?」

「雄生!!慎一ぃ!!お前らホンマにいいやっちゃなぁ!!俺はお前らみたいないい奴とグループ組めて幸せやぁ!!」

光は号泣して喜びを表すと、早速キョーコに電話をかけた。

しかし、何度かけてもやっぱり繋がらない。



光はホワイトデーギリギリまで何とかキョーコに会えないかと奮闘していたが結局会えなかった。



「まぁ、リーダー元気出しなって!」

「そやでリーダー!明日京子ちゃんが何処いくかは知ってるんだから、明日はそこで会いにいくで!俺らも付き合うさかい!」

「そやそや、俺らもカモフラージュで行くから、京子ちゃん達見つけたらさり気無く一緒に回れるようにしよ!」

「雄生~!!慎一ぃ~!!」

「よしよし、リーダー!!明日は気合いいれていくで!!」

「そやで。男らしく行くで!!」

雄生と慎一の言葉に背中を押され、光は勇気をもらうと、明日のホワイトデーの計画を立てた。

幸い明日は、メンバー全員一日オフだ。

明日の待ち合わせ場所は、キョーコが友達と行くと言う、世界的に有名な某テーマパーク。

ブリッジロックのメンバーは、今旬の人気タレントユニットの為、それなりにファンも多い。なので、ばれないように変装をして行くことにしたのだった。



寒気団が停滞している為、その後も雪が降り続けていたが、蓮の体調はすぐに回復の兆しを見せていた。元々体力と、キョーコの看病のおかげだろう。
愛する人の笑顔は、きっと特効薬なんだろうと、蓮はこっそり思うのだった。


デートの約束をした前日、すっかり体調も元に戻った蓮は、キョーコに断りを入れて、社長の元へと向かった。

電話で明日のデートのことを告げ、姿を戻したいと伝えていたので、からかわれはしたものの、無事に姿を元に戻すことが出来た。


髪色を元に戻して過ごすのは数年振りでなんだか落ち着かなかったが、キョーコの驚いた顔を想像すると、楽しくてしょうがなかった。

さぁ、どんな反応をしてくれるかな?と思って、帰宅すると、夕食の支度をしているのか、リビングにキョーコの姿はなく、キッチンから楽しそうな物音が聞こえて来た。


蓮はキョーコを驚かせる為、こっそりと背後に近付くと、不意に目隠しをした。

「だーれだ?」

「きゃ!!もー。つるっ…久遠さん!!料理中は危ないですからやめてくださいよー。」

「はは。ごめんごめん。ばれたか。」

「当たり前です!!ここは久遠さんの家なんだから、久遠さんに決まって…」

言いながら、手を外されたキョーコが後ろを振り向くと、そこにいたのは黒髪黒目のいつもの蓮ではなく、キラキラと輝く金髪に碧色の目をしたあの夏の日の男の子が成長した姿で、キョーコはこれでもかというくらいまん丸に目を見開くと、口の中だけで言葉を呟いた。

「コー…ン…。」

びっくりして、自分を見つめ続けるキョーコを嬉しそうに目を細めて見るその姿は、まるでお伽話から抜け出してきた王子様そのもののようで、キョーコは思わずうっとりと見つめてしまった。

「くくっ。キョーコ。見惚れてくれるのは嬉しいんだけど、そこまでマジマジと見つめられると少し照れるな?」

くくく。っと笑う姿も、勿論絵になるのだが、キョーコは笑われたことで、我に返ると、大きな声を出した。

「こ、ここ、コーンだ!!本当にコーンなんだ!!」

「何それ?信じてなかったの?」

「信じてたけど、いえ、あの、信じてましたけど…」

「わざわざ敬語に直さなくていいから。うん。何?」

「実際にこうやってみると、何かやっぱり全然違う…。コーン…カッコいい…。王子様みたい!!」

目を輝かせて自分をぽうっと見つめるキョーコに、蓮は優しく微笑むと、手を差し出した。

「じゃあ、君はお姫様だね?お手をどうぞ?お姫様?」

蓮の言葉にキョーコは一瞬だけ目を見開くと、次の瞬間花が咲く様にぱぁっと華やかな笑顔を浮べ、蓮の手にそっと自身の手を重ねた。

その笑顔を真近で見てしまった蓮は、ちょっとだけ頬を染めると、空いている方の手で、顔を覆い隠してソッポを向いた。

そんな蓮にお姫様になりきったキョーコは気付かずに、蓮の手をとったまま嬉しそうにはにかんでいた。

キョーコはいつもと違う蓮の姿にドキドキとしながら、王子様と憧れのお城に行くのだと思うと、明日のデートに心が浮き足立つのを止められなかった。



中々寝付くことが出来ずに、ゲストルームから起き出したキョーコは、冷蔵庫の中を物色しながら持っていくお弁当のおかずを考えていた。

「キョーコ?眠れないの?」

不意に背後から声をかけられ、キョーコが振り返ると、寝巻き姿の蓮がいた。
蓮は、姿を戻したことで、キョーコに過去にあった全てのことを話した。どうして敦賀蓮になったのかも。キョーコは黙って話を最後まで聞くと、最後は優しく蓮を抱き締めたのだ。

『もう、一人で苦しまなくていいですよ。』

その言葉を聞いて、蓮はポロリと涙を一雫落としたのだった。


「コーン!明日が楽しみで興奮しすぎて眠れなくって、明日のお弁当のメニュー考えてたんだ。」

「キョーコ。明日は朝はやいんだよ?早く眠らないと、お弁当作るなら尚更。ほらおいで。」

蓮がキョーコをお姫様抱っこで持ち上げると、そのまま寝室へと足を向けた。

「もう、風邪は治ったから、一緒に寝よう?腕枕してあげるね。」

「こ、こここ、コーン!!」

真っ赤な顔でジタバタ暴れるキョーコに蓮は苦笑する。

「大丈夫だから。君が嫌がることはしないから。君の温もりを感じて眠りたいんだ。」

蓮はそう言って、キョーコをベッドに横たえると、額に優しくキスを落とした。

「お休み。キョーコ…いい夢を…」

王子様のような蓮にそう言われ、キョーコは目を閉じる。大好きな蓮の香りと温もりに心が安心感を覚えると、あっという間にキョーコは眠りに落ちてしまった。

そんなキョーコに苦笑を漏らしながらも、蓮は受け入れられた幸せをキョーコごと抱き締めて、眠りに着くのだった。



そして、デート当日。

外を見ると、見事に雪が積もっていた。

蓮のお陰でぐっすり眠れたキョーコは、5時に起き出してせっせとお弁当を用意していた。

今日のデートのことを考えると、張り切ってしまうのだ。

車で目的地へと向かう道中も、キョーコはワクワクを止められず、ずっと話続けていた。




ーーーくっそ!とうとう誘えなかったじゃねぇか。こうなったら、あいつの家に押しかけるしかねぇが、マンションは何時の間にか引き払われてたし、今何処に住んでるのかわかんねぇぜ!!

ショータローは苛立たしげに、珍しく朝早くから散歩していた。

すると、幸か不幸か信号待ちをしている車の中から楽しそうなキョーコに良く似た声が聞こえて来た。

慌ててそちらを振り向くと、車は走り出してしまったのだが、一瞬見えた助手席に座るその姿は幼馴染に違いないと確信できて、ショータローは次に来たタクシーを捕まえて車を走らせた。




「わぁ!!私、ディズ◯ーランドなんて初めてなんですぅー」

「俺も、日本のは初めてだな。」

パークについた途端テンションが更に上がってしまったキョーコをくすくすと楽しそうに見ながらも、放っておいたらその場でクルクルと回ってしまいそうなキョーコの手をとって蓮は優しくエスコートをする。

オープンの前にまだ時間に余裕があったので、二人は、パークの側にあるグッズを販売してるお店を覗いていた。

「わっ!わっ!見て見てコーン!!これミ◯ーちゃんの耳のカチューシャ!!」

「わぁ!!素敵!!ティアラもあるわ!!見て見てコーン!!」

きゃあきゃあとはしゃぐキョーコは可愛らしく、蓮はその様子を楽しそうに見つめていた。

「そのティアラつけてみて?うん。凄くにあってるね。あ、こっちはどう?」

一緒になって色々見てくれる蓮に嬉しくなりながら、キョーコはこの幸せな時間を満喫するのだった。

「もうっ!何時の間に買ったのよ!コーン!!」

久遠の姿に戻してからというもの、キョーコは敦賀蓮の時よりも少し砕けた口調になっていた。
昔馴染みだとこんなにいい特典があったのかと、蓮はホクホクと上機嫌だ。

「だって、キョーコの為に売ってるんじゃないかってくらい、キョーコに似合うし、キョーコに付けてもらえないと可哀想だろう?」

「もう!コーンの馬鹿っ!!」

顔を真っ赤にして怒るキョーコに蓮は破顔する。

「バツとして、これはコーンが付けてね!コーン、ちょっとだけ屈んで?」

キョーコに言われるがままかがみながら蓮は言った。

「こらこら、これはキョーコの為に買ったものだろう?」

「ふふふ。いいの。くすくすくす。」

「ほら、俺には似合わないから取って?」

「だーめ。凄く良く似合ってるもの。ミ◯ーちゃんのカチューシャ!」

言いながら、楽しそうに笑うキョーコに蓮は蕩けるような笑みを浮かべて答える。
キョーコが幸せそうなら自身の格好などどうでもいいのか、頭にミ◯ーちゃんのカチューシャをつけられたまま入園時間を待つ列に加わった。

蓮は長身の為、それだけで人目を引いてしまう。その上今日は金髪碧目だ。
王子様のようなその男がミ◯ーちゃんのカチューシャなんてものを付けてるものだから、余計人目を引いてしまうのだが、当の本人は何処吹く風。
キョーコはキョーコでデートに浮かれていてそんな人目を引いてることにも気付かなかった。

そんな蓮の飛び出た頭を後ろから見ながら、ブリッジロックのメンバーは楽しげに会話をしていた。

「けったいな外人さんやなぁ!」

「ははは。いい男は何しても絵になるってやっちゃな。」

「もーお前ら、京子ちゃん探しはどうなったんや!」

「そやかて、こんだけ人がおったら見つけられへんで。何か目印でもないとなぁ。」

「ホンマやで。まだ京子ちゃんの携帯繋がらへんのやろ?」

「うん。繋がらへん。」

「ま、京子ちゃん探しがてら思いっきり遊ぶで!」

「ホンマ、何年ぶりや?」

「デビューしてから来てないからな。」

「お前らさてはホンマの目的はそっちやなぁー!!」

「今頃気づいたんかリーダー!」

「思いっきり遊ぶで!!」


雄生と慎一にからかわれながらも、光は二人の心遣いに感謝をしながら京子の姿を探すのだった。


「寄りにもよってディズ◯ーランドかよ!!」

ショータローは着いた場所を見てげんなりとしてしまった。

ーーー 一人で入るなんてかっこ悪りぃじゃねぇか!

こんなメルヘンチックな場所に足を踏み入れることすら虫酸が走るのに、一人で入るなんてもってのほかだ。

ショータローはプライドが邪魔して、駐車場からパークに足を向けることは出来なかった。

苛立たしげに携帯を操作すると、一人に目星を付けて電話を掛けた。

「お。ポチりか?」

『ショーちゃん?おはよー!どうしたの?』

「お前、今日予定は?」

『え?なになに?どうしたの?』

「いいから予定聞いてんだよ!何か収録あんのか?」

『あ、夜に収録が一本あるくらいだよ?』

「じゃあ、昼間は空いてるな。お前、今からディズ◯ーランドに来い!!ちゃんと変装して来いよ!」

『え?!ショーちゃん、ディズ◯ーランドって…』

「じゃあ待ってるからな!」

『わ、わかった!!すぐ行くね!ショーちゃん!!!!』

ショータローは美森の返事を聞くと、すぐに電話を切った。

帽子を目深に被り、サングラスを掛ける。

そしてそのままパークの入り口へと向かった。


「今日空いてるよねー」

「雪だからね!ラッキー。」

そんな女の子達のパークの入り口に向かいながら言う言葉を聞いて、ショータローはあんぐりと口を開く。

ーーー空いてる?!あれで??

どう見ても空いてるようには見えない人の行列に、ショータローが目を巡らすと、一人の男に視線が止まった。

ーーーなんだ?あいつ。浮かれてミ◯ーの耳なんて付けてやがんの!かっこ悪りぃ!!

ぷっと吹き出してしまったのはしょうがないだろう。

恋人を見て微笑むミ◯ーちゃんのカチューシャの男の姿を直視した者が次々と骨抜きになっているとはショータローが気付かぬ所であった。


(続く)