最初に考えてた大まかな話の流れと違う方向になったけど、これはこれで…あり…かなぁ??(笑)

お楽しみ頂けたら幸いです。
蓮様怒り爆発ですっ!!♪(´ε` )


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海・水・浴 3



「どういうことですかね?社さん…?」

「お、俺に聞くなよ!!知らないよ!!」

蓮の闇の底から這い上がって来るような低い唸るような声を聞いて、社が震え上がる。

社から返された弁当を食べれば食べるほど、その味付けは食べ慣れたキョーコのものだという確信を蓮にもたらす。

「あいつは何者なんでしょうか?何で最上さんの弁当を持って…」

「だからっ!知らないよ!!ここの坊の正体はトップシークレットで発表されてないんだ!!本人に直接聞けばいいだろう?!」

社は蓮の様子に震え上がって、そう思わず叫んでしまっていた。その社の言葉に、蓮はまるで今までの怒りが嘘だったのではないかと思うほど、それはそれは綺麗にニーッコリと微笑んだ。
そんな二人のやりとりを共演者達は不思議そうに見ていた。
キラキラプスプスと光が社の顔中に突き刺さる。
その笑顔に女性陣は頬を染めたが、社だけはその顔の裏を知ってるだけに震え上がる。

「それもそうですね。早速聞いてみましょうか?」

そう言って、蓮が爽やかに取り出したのは携帯電話だった。
慣れた手つきで番号を呼び出し、コール音を鳴らすが、相手は出ないのか、蓮の顔から徐々に似非紳士スマイルさえ消え、怒りの波動が出始める。

留守番電話にさえ切り替わることがなかった電話を切ると、蓮はスッと立ち上がり、食べかけの弁当箱を持って坊を探しに出掛けるのだった。

「お、おいっ!蓮?!」

「敦賀さん??」

「すみません。ちょっと席を外しますね。」

呼び止められた声に、笑顔も返せず無表情で答える。

先程、ペットボトルの水を飲ませた際に、律儀に正体を見なかった自分に怒りを覚えながらギラギラとした目で鶏の姿を探し歩いた。
今すぐあの頭を引っぺがしてやろうか?思わずそんなことを思ってしまう顔は怒りのあまり凶悪になっていた。


「君っ!!」

遠くに見つけた鶏の後ろ姿に、蓮は大きく呼びかけた。
驚いたように飛び上がった坊が振り向く。

「な、なんだい?敦賀くん、な、何か怒って…。」

蓮の様子を見るまでもなく、怨キョが飛び出し踊り狂うので、キョーコは坊の中で冷や汗をダラダラと流していた。

ーーーも、もしかしてバレたとか?!

今はお弁当をこっそり食べられそうな場所を探しているところだったからまだ頭は外していない。しかし、蓮の怒りの原因で思い浮かぶのはそのことぐらいだった。

「お弁当…のお礼が言いたくてさ。ありがとうわざわざ持ってきてくれて。」

そう言って微笑んでいるはずなのに、全く誠意の欠片すら感じない。ただただ威圧されるような空気に、キョーコはタジタジになっていた。

「ど、どういたしまして…?」

「君に、色々聞きたくてね…。一緒に食べて話をしないか?」

「は、話って?!」

「その彼女とは、どう言う関係なのか…とか?」

「ふぇ?!か、彼女って何のことだい?!」

キョーコは蓮の怒りの正体が全く見えずに、逃げ道を必至で探す。

「そのお弁当を作ってくれた親切な彼女だよ。今日は早朝からのロケだっただろう?いつ、何処で、君はその彼女からそのお弁当を受け取ったんだ?」

笑顔を決して崩さずに、聞いて来るその姿は不気味以外の何者でもない。

怨キョが喜ぶのに反比例するかのように、キョーコは恐怖ですくみあがっていた。
知らずに足が後ろ後ろに進んでいた。

挙動不審にキョロキョロしつつ、坊の着ぐるみの中で冷や汗が噴き出る。

「け、経緯なんて、敦賀くんには関係ないだろ?!彼女とは…そ、そうだ!い、一緒に住んでるんだよ!」

「一緒に…住ん…でる?」

蓮は信じられない言葉を聞いてしまい、頭が一瞬にして真っ白になった。

「一緒、に…住んで…る?」

もう一度口から確かめる様に言葉にするものの、その声は弱々しいものだった。

「敦賀くん?」

そんな蓮の呆然とした表情に、キョーコは首を傾げた。

「ど、どうしたんだい?敦賀く…」

しかし、心配になったキョーコが近付こうとした瞬間、また怨キョが大興奮し始めたので、キョーコは固まった。
蓮のまとう空気が一気に冷ややかなものへとなっていた。

「いつからだ?」

地を這うような低い声にキョーコはビクリと肩を震わせた。

「な、何がだい?」

知らぬ間にイラツボをつついてしまったことに気付いたキョーコは何とか言葉を返す。

「彼女とはいつから一緒に?」

「つ、敦賀くんには関係ないだろ?!」

「そう…関係…ないね…。でも、…恋愛という感情を封印してるはずのラブミー部員の彼女が、何故、君と付き合って一緒に住むことになったのか…同じ事務所の先輩として聞く権利くらいはあるだろう。」

「…へ??」

「とぼけなくてもいい。君の彼女は最上さんだろう?」

「…は??」

「…わからないとでも思った?彼女から聞いてるかもしれないが、あいにく俺も、彼女の料理は幾度となく口にしてるからね。間違うはずがない。これは最上さんが作った弁当だ。」

「…っな…!!」

思わず、キョーコはまさか味付け一つで気付かれるとはおもっていなかった為、赤面して固まった。
絶句してしまった坊を見て、蓮は勝ち誇ったように見下ろして言った。

「君がどんな手を使って彼女を誑かしたのかは知らないが、うち(LME)の大事なタレントを弄ばないでもらおうか…。」

「な、なんで弄ぶとか弄ばないって話になるんだ?!第一、ただの事務所の先輩の君には関係ないことだろう?!」

「関係ない…?ただの事務所の先輩とは心外だな。俺は彼女をただの後輩だと思ったことはない!俺は誰よりも彼女を大事に想っているし、愛してるんだ!!他のヤツになんて渡したくないっ!!」

「あっ愛ぃ?!?!」

キョーコは蓮に言われた言葉を聴いて頭が一気に爆発するほど真っ赤になった。
ぷしゅーっという音を立てながら蒸発する頭に、クラクラしながら、キョーコは真っ赤な顔のまま某然と立ち尽くした。

「俺にこの恋心を気付かせたのは他でもない君だ。君は言ったよな?『堕とせ』って…。彼女が愛する心を取り戻したと言うなら、俺は遠慮なく君の言葉通り動くよ。そのつもりで、覚悟しておくといい。」

圧倒的な雰囲気を醸し出し、坊を睨みつける蓮に、坊は何かの間違いだろうと反論を試みる。

「なっ?!なんでそんな話になるんだ?!第一、君の好きな子は16歳の高校生のはずだろ?!4つの年下で…って…あ…」

そこまで言って、漸くキョーコは自分もその条件に当てはまっていたんだという事実に気付いた。

「う…そだろ…?本当に…?」

ーー敦賀さんが私を愛してるだなんて…本当に??

弱々しく漏れる坊の言葉。
蓮は坊に敵意を前面に剥き出しにし、牽制をかける。

「とにかく、俺はやすやすと他の男に彼女を渡したままにしておく気はない。全力で奪いに行くから覚悟しろ。」

キョーコは最早全身真っ赤になっていた。蓮の想いを嫉妬という目を向けられて直接に肌で感じる。

「あ、あんなに地味で色気がない子なのに…なんで…。」

つい確かめたくて口にした言葉をすぐに後悔した。
蓮の醸し出す雰囲気が一気に冷える。いや、冷えるなんて言葉はまだ可愛い。マイナス100度の極寒地帯に放り投げられたような気分になった。

「貴様っ!!」

ギリッと坊の胸倉を掴んだ蓮が坊の身体を持ち上げる。
キョーコは顔面蒼白になってジタバタと暴れた。

「ぎ、ギブギブギブギブ!!!!」

そう言うと、乱暴に降ろされ、高い位置から見下ろされて、脅す様な口調で言った。

「やはり、君の様な彼女の魅力を全く持って理解してないヤツに彼女は任せておけない。彼女が地味で色気がないだと?!次に同じ言葉を吐いたらその口二度と利けなくしてやる!!」

蓮はそう言うと、坊に背中を向けた。

「俺は…絶対に君以上に彼女を愛してる。次の勝負はビーチバレーの延長戦だったな…。俺は勝負に負けるつもりはない。…午後も楽しみにしてるよ。」

蓮は最後にこれ以上ないくらい最高の似非紳士笑顔で微笑むと、そのままスタスタと現場に足を向けた。

呆然とその後ろ姿を見つめる坊の中から、キョーコは顔を真っ赤に染めてバクバクと鳴る心臓をギュゥっと握りしめたのだった。


《続く》


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こんなことになっちゃいました!(笑)
蓮様、キョーコと気付かず愛の告白をしつつ嫉妬をぶつける…の巻。

多分、次の話が風月の書きたかったメインの話になります!!前置き長過ぎた~(笑)