発言には御注意を
「すごくスベスベで気持ちいい!ずっと触っていたい…。思わず抱き締めて眠りたくなりますね?」
そうコメントしたキョーコはそれはもうウットリとした夢見心地で可愛らしく微笑んだ。
何でも、竹で出来た素材らしいストールやバスタオル、ブランケットにピローケース、そしてスパッツやTシャツまであるというのだ。
「へぇぇー!!吸水性がコットンの二倍あるんですか?!凄いですね!!」
「それに竹だから抗菌力もあるし、消臭効果もあるんだっ!え?洗わずにしばらく使っても大丈夫なんですか?!もうもう言うことなしですねっ!!」
魅力的過ぎるそのメーカーの商品にキョーコはキラキラと目を輝かせた。
「あぁーこれに埋れて眠りたいっ!!」
メルヘンの世界に入りそんな呟きを零すキョーコに撮影スタッフ達も口元を緩ませたのだった。
実は先ほどのキョーコのレポートはクイズ番組の一部だった。しかし、そのクイズ番組が放送された翌日からキョーコのファンから次から次にその商品が届けられることになったのだ。
最初こそ、喜んでいたキョーコだが、その余りの多さに改めてテレビでの発言は気を付けねば大変なことになると思い知らされる結果となったのだ。
その放送から数週間後、久しぶりに事務所で尊敬する先輩俳優敦賀蓮と出会ったキョーコは、キョーコを見て蓮の顔が嬉しそうな笑みに変わったことに気が付いた。
「おはようございます。敦賀さん。」
「おはよう。最上さん。」
不思議に思いながら挨拶をしたキョーコに帰ってきたのは弾むような挨拶と満面の笑顔。
ニコニコニコニコ。
ーーーなんでだろう…。何かご褒美を期待してるワンコが敦賀さんの背後に見える気がするのは気のせいかしら?
そんなことを思いながら、キョーコは恐る恐る問いかけた。
「敦賀さん?何かいいことでもあったんですか?」
「ん?何で?」
「いえ、あの、とても嬉しそうなお顔をされているので…。」
「そう?…あ、もしかしてコレのお陰…かな?」
「え?」
そう言って蓮が着ていた服を指し示したので、キョーコは更に首を傾げた。
「Tシャツが…どうかされたんですか?」
「…触ってみて?」
嬉しそうにいう蓮に、抗えず『では失礼します。』と言いながらおずおずと手を伸ばす。
そっと裾に触れるも、指先に心臓があるかのようにドキドキしてしまい、感触なんてわからなかった。
「どう?」
触る為に少し近付いた為、いつもより近い位置から美声が耳に届いて飛び上がりそうになった。
カァッと赤らんだ顔を見せれなくて俯いたまま、平静を装って返した。
「どう…とは?」
「これ、最上さんが肌触りの良いって言ってたのと同じ素材で作ってもらったんだ。」
「そ、そうなんですねっ!通りで…気持ちがいいと…。」
耳元にこっそりと囁かれてキョーコの心臓がドクドクと脈打つ。
「うん。ね?だから、いつでも、抱き締めていいよ?」
「ふへ?!」
そう言ってフワリと抱き締められたキョーコは驚きのあまり変な声を出してしまった。
「何なら、抱き締めたまま、眠ってくれてもいいから…」
「ちょっ!!つ、敦賀さんっ!!どなたかに見られたらどうするんですか?!誤解されちゃいますよっ!!」
「まぁまぁいいから。ね?気持ちいいだろ?」
「…確かに…気持ちいい…です
…って!!そうじゃなくって、敦賀さんっ!!!!」
真っ赤なキョーコが可愛くてクスクス笑いながら蓮は『冗談、冗談』と言って手を離した。
『タチが悪い。心臓に悪い』と耳や頬を染めたままブツブツ言うキョーコを見て、蓮は頬を緩ませると、そっとその耳に唇を寄せた。
「でも、いつでも抱き締めに来ていいからね?」
キョーコはそんな蓮をキッと睨み付ける。
「敦賀さん!そう言ったことは、むやみやたらと口になさらないで下さい!!私だからいいようなものの、普通の思考を持ったお嬢さんなら本気にしちゃいますよ!!」
そんなキョーコをみて、蓮はやれやれと首を振る。
『むしろ君には本気にして欲しいんだけどな。』と心の中で独りごちて、蓮は、キョーコの頭をよしよしと撫でた。
「最上さん、今日の夜は夕食お願い出来るかな?早く上がれそうなんだ。」
「珍しいですね。敦賀さんから夕食という言葉が出るなんてっ!わかりました!!不肖、最上キョーコ。敦賀さんの為に精一杯作らせていただきますっ!!」
元気良く敬礼をすると、蓮も嬉しそうに『楽しみにしてるよ。』と言って、迎えに来た社と共に次の現場へと向かっていった。
キョーコも自分の次の仕事へ向かいながら、ふと、先ほどの蓮の温もりを思い出し、足が止まって振り返る。
事務所とはいえ、廊下のど真ん中で行われた抱擁にキョーコの胸がきゅうぅっと締め付けられた。
いっその事…誰かに見られてたらいいのに…そして、敦賀さんが困ればいいんだわっ。
真っ赤な顔を困ったように抑えながら、キョーコはそんなことをこっそり想う。
ーーーま、そんなことになったらきっと私は事務所の女性という女性から迫害を受けるはめになるんでしょうけどね?
でも、本当はもう少し…もう少し…くっ付いていたかったの…。
それは今までもらったどんなプレゼントよりも心が弾んだ瞬間だった。
あの腕の中で眠りに落ちるのはどんな子なのかな?
そう思って、キョーコは勢いよく頭を振って考えを振り払う。パンパンと自分の頬を叩いて気合を入れ、キョーコは私には関係ないことよ!!と言い聞かせた。
もう一度、こっそりとその場所を振り返る。
『大好きです』という気持ちをそこに置いて、今日の夕食何がいいかしら?と、良い後輩の仮面を被る。
恋する後輩は必要ないと追い出して、そっとこの気持ちに蓋をするの。
「さーて!仕事仕事っ!先ずは椹さんに言われた仕事を片付けなきゃねっ!!」
キョーコの部屋にあふれるファンからの大量のプレゼント。
それに触れる度、抱き締められた蓮の服の感触と柔らさ、それに伴い蓮の優しい鼓動と温もりも同時に思い出すこととなってしまうことになるとは…この時のキョーコは気付いていなかった。
恋する後輩が目覚めるのは、そう遠くない未来。
鍵の外れた箱から溢れる想いがどうなったのかは、今はまだ…秘密。
竹の生地に包まれて、キョーコは蓮を思い出し、今日もまた幸せな眠りにつくのだった。
END
*****
いやぁ。素晴らしいですっ!竹繊維♪
今ハマりすぎて色々使ってます♪
触り心地が良すぎて『これずっと抱き締めてたいわー』と思ってて浮かんだこのお話。
きっとキョーコもそう思うはずっ!!じゃあそれを聞いてしまった蓮様は?!となったわけです。
本当は蓮が主体のギャグ路線の小ネタにするつもりだったのに、なんでこんなに短編チックになったんでしょう?!
どこで間違ったのか…キョーコ目線にしたのがいけなかったのか…。
謎ですっ!!(笑)
ま、いっか☆とりあえず出来たから乗っけちゃえ♪( ´▽`)という軽いノリで乗っけてます(笑)
もともと小ネタ予定だったので、風月にしては珍しく二人がくっ付いてないですが、たまにはこんなのも有り…ですよね?
とりあえず小ネタグループに入れとこうかな(笑)
「すごくスベスベで気持ちいい!ずっと触っていたい…。思わず抱き締めて眠りたくなりますね?」
そうコメントしたキョーコはそれはもうウットリとした夢見心地で可愛らしく微笑んだ。
何でも、竹で出来た素材らしいストールやバスタオル、ブランケットにピローケース、そしてスパッツやTシャツまであるというのだ。
「へぇぇー!!吸水性がコットンの二倍あるんですか?!凄いですね!!」
「それに竹だから抗菌力もあるし、消臭効果もあるんだっ!え?洗わずにしばらく使っても大丈夫なんですか?!もうもう言うことなしですねっ!!」
魅力的過ぎるそのメーカーの商品にキョーコはキラキラと目を輝かせた。
「あぁーこれに埋れて眠りたいっ!!」
メルヘンの世界に入りそんな呟きを零すキョーコに撮影スタッフ達も口元を緩ませたのだった。
実は先ほどのキョーコのレポートはクイズ番組の一部だった。しかし、そのクイズ番組が放送された翌日からキョーコのファンから次から次にその商品が届けられることになったのだ。
最初こそ、喜んでいたキョーコだが、その余りの多さに改めてテレビでの発言は気を付けねば大変なことになると思い知らされる結果となったのだ。
その放送から数週間後、久しぶりに事務所で尊敬する先輩俳優敦賀蓮と出会ったキョーコは、キョーコを見て蓮の顔が嬉しそうな笑みに変わったことに気が付いた。
「おはようございます。敦賀さん。」
「おはよう。最上さん。」
不思議に思いながら挨拶をしたキョーコに帰ってきたのは弾むような挨拶と満面の笑顔。
ニコニコニコニコ。
ーーーなんでだろう…。何かご褒美を期待してるワンコが敦賀さんの背後に見える気がするのは気のせいかしら?
そんなことを思いながら、キョーコは恐る恐る問いかけた。
「敦賀さん?何かいいことでもあったんですか?」
「ん?何で?」
「いえ、あの、とても嬉しそうなお顔をされているので…。」
「そう?…あ、もしかしてコレのお陰…かな?」
「え?」
そう言って蓮が着ていた服を指し示したので、キョーコは更に首を傾げた。
「Tシャツが…どうかされたんですか?」
「…触ってみて?」
嬉しそうにいう蓮に、抗えず『では失礼します。』と言いながらおずおずと手を伸ばす。
そっと裾に触れるも、指先に心臓があるかのようにドキドキしてしまい、感触なんてわからなかった。
「どう?」
触る為に少し近付いた為、いつもより近い位置から美声が耳に届いて飛び上がりそうになった。
カァッと赤らんだ顔を見せれなくて俯いたまま、平静を装って返した。
「どう…とは?」
「これ、最上さんが肌触りの良いって言ってたのと同じ素材で作ってもらったんだ。」
「そ、そうなんですねっ!通りで…気持ちがいいと…。」
耳元にこっそりと囁かれてキョーコの心臓がドクドクと脈打つ。
「うん。ね?だから、いつでも、抱き締めていいよ?」
「ふへ?!」
そう言ってフワリと抱き締められたキョーコは驚きのあまり変な声を出してしまった。
「何なら、抱き締めたまま、眠ってくれてもいいから…」
「ちょっ!!つ、敦賀さんっ!!どなたかに見られたらどうするんですか?!誤解されちゃいますよっ!!」
「まぁまぁいいから。ね?気持ちいいだろ?」
「…確かに…気持ちいい…です
…って!!そうじゃなくって、敦賀さんっ!!!!」
真っ赤なキョーコが可愛くてクスクス笑いながら蓮は『冗談、冗談』と言って手を離した。
『タチが悪い。心臓に悪い』と耳や頬を染めたままブツブツ言うキョーコを見て、蓮は頬を緩ませると、そっとその耳に唇を寄せた。
「でも、いつでも抱き締めに来ていいからね?」
キョーコはそんな蓮をキッと睨み付ける。
「敦賀さん!そう言ったことは、むやみやたらと口になさらないで下さい!!私だからいいようなものの、普通の思考を持ったお嬢さんなら本気にしちゃいますよ!!」
そんなキョーコをみて、蓮はやれやれと首を振る。
『むしろ君には本気にして欲しいんだけどな。』と心の中で独りごちて、蓮は、キョーコの頭をよしよしと撫でた。
「最上さん、今日の夜は夕食お願い出来るかな?早く上がれそうなんだ。」
「珍しいですね。敦賀さんから夕食という言葉が出るなんてっ!わかりました!!不肖、最上キョーコ。敦賀さんの為に精一杯作らせていただきますっ!!」
元気良く敬礼をすると、蓮も嬉しそうに『楽しみにしてるよ。』と言って、迎えに来た社と共に次の現場へと向かっていった。
キョーコも自分の次の仕事へ向かいながら、ふと、先ほどの蓮の温もりを思い出し、足が止まって振り返る。
事務所とはいえ、廊下のど真ん中で行われた抱擁にキョーコの胸がきゅうぅっと締め付けられた。
いっその事…誰かに見られてたらいいのに…そして、敦賀さんが困ればいいんだわっ。
真っ赤な顔を困ったように抑えながら、キョーコはそんなことをこっそり想う。
ーーーま、そんなことになったらきっと私は事務所の女性という女性から迫害を受けるはめになるんでしょうけどね?
でも、本当はもう少し…もう少し…くっ付いていたかったの…。
それは今までもらったどんなプレゼントよりも心が弾んだ瞬間だった。
あの腕の中で眠りに落ちるのはどんな子なのかな?
そう思って、キョーコは勢いよく頭を振って考えを振り払う。パンパンと自分の頬を叩いて気合を入れ、キョーコは私には関係ないことよ!!と言い聞かせた。
もう一度、こっそりとその場所を振り返る。
『大好きです』という気持ちをそこに置いて、今日の夕食何がいいかしら?と、良い後輩の仮面を被る。
恋する後輩は必要ないと追い出して、そっとこの気持ちに蓋をするの。
「さーて!仕事仕事っ!先ずは椹さんに言われた仕事を片付けなきゃねっ!!」
キョーコの部屋にあふれるファンからの大量のプレゼント。
それに触れる度、抱き締められた蓮の服の感触と柔らさ、それに伴い蓮の優しい鼓動と温もりも同時に思い出すこととなってしまうことになるとは…この時のキョーコは気付いていなかった。
恋する後輩が目覚めるのは、そう遠くない未来。
鍵の外れた箱から溢れる想いがどうなったのかは、今はまだ…秘密。
竹の生地に包まれて、キョーコは蓮を思い出し、今日もまた幸せな眠りにつくのだった。
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いやぁ。素晴らしいですっ!竹繊維♪
今ハマりすぎて色々使ってます♪
触り心地が良すぎて『これずっと抱き締めてたいわー』と思ってて浮かんだこのお話。
きっとキョーコもそう思うはずっ!!じゃあそれを聞いてしまった蓮様は?!となったわけです。
本当は蓮が主体のギャグ路線の小ネタにするつもりだったのに、なんでこんなに短編チックになったんでしょう?!
どこで間違ったのか…キョーコ目線にしたのがいけなかったのか…。
謎ですっ!!(笑)
ま、いっか☆とりあえず出来たから乗っけちゃえ♪( ´▽`)という軽いノリで乗っけてます(笑)
もともと小ネタ予定だったので、風月にしては珍しく二人がくっ付いてないですが、たまにはこんなのも有り…ですよね?
とりあえず小ネタグループに入れとこうかな(笑)