蓮様お誕生日おめでとうー!!!!
2月10日!!なんとめでたい♪
え?蓮誕なのにメロキュンじゃないのか…ですか?
メロキュン書きたかったんですが、これの方が先に浮かんじゃったんで…こちらの方でお楽しみいただければと思います~!!
今日はお話の宝庫ですかね?!
楽しみですー!!
本誌のネタバレ含みますので、それが嫌な方はお引き取り下さいー!!
本誌の続き妄想にもなってます!!
ドン☆フェスにも参加したい!!続き妄想も書きたい!!ということで欲張りな風月は急遽二つのネタを合わせることにしました!!
※風月は本誌派じゃないのですが、皆様の本誌感想から妄想が膨らんで書いております。
本誌を読んでる方にもそれはそれで違和感感じる部分があるかもしれませんが、妄想なので!!大目に見て頂けたら幸いです!!
過去作品提出したものの、ずっと参加したいなぁ!と思ってて、ようやく書けました!!
ゆみーのんさま、こんなのいかがでしょー?!
*****
御伽話の教え*後編
テンによって変装させられ、キョーコと蓮はグアムのレストランで夕食を共にした。
恋心を自覚して初めて会う蓮はやっぱりかっこ良くてついつい盗み見てしまう。
茶髪ロングのウィッグとふんわりとした風通しの良いワンピースを身に纏い何処かのお嬢様のようだとはしゃいでいたのは蓮の姿を見るまでだった。
茶髪のロンゲでサングラスをしている蓮は日本人の目を欺くことは出来るだろうがその美貌までもは隠せない。
カインとセツカの姿にしてしまうと、テンが一緒にディナーを取るのが不自然になるからという理由でわざわざこんな変装をしたのだ。
美男美女の3人組はやはり目を引くのか、レストランの中でもチラチラと視線を投げかけられていたが、当の3人は意に介した様子はない。
テンが一人で盛り上がって、キョーコも蓮もそれに相槌を打ったり微笑んだりとしていたが、不意にテンが不満そうに呟いた。
「なーんか、二人ともおかしくなぁい?」
そう言われて二人の動きがギクリと止まってぎこちなくテンを見る。
「そ、そうでしょうか?」
キョーコは蓮と久しぶりに会えてドギマギしながらも、先ほどのキスを忘れられず動揺してしまった。
今コーンは何処にいるんだろう?と気になって仕方が無くつい考えてしまうのだ。
そして目の前にいる蓮とコーンがダブり過ぎてあのキスの感触を思い出してしまっていた。
「何処か…おかしいですか?」
蓮も蓮で先ほどの想いもしてなかったキョーコの告白を聞いてから落ち着かなかった。
相手は誰なのかを問いただしたくても、己がコーンだとバレる訳にはいかないためそれも叶わない。
そんな何処かよそよそしい態度の二人にテンは違和感を感じたのだ。
不満を漏らすテンに曖昧に答えながら、蓮はキョーコを、キョーコは蓮をチラリと見たのだが、そのタイミングがほぼ同時で二人の視線がかち合った。
キョーコは真っ赤になり、慌てて目を逸らす。
蓮はそんなキョーコの反応を見て目を見開いた。
「ちょっとお手洗いに行ってきますね!」
慌てて席を立ったキョーコがそう告げてテーブルを離れると、少しして蓮も立ち上がった。
「すみません。ミスジェリー、俺もちょっと手洗いに…」
「もー!だから蓮ちゃんテンちゃんって呼んでったら!!」
プンプンと怒ったような様子を見せるテンに苦笑してトイレへと急ぐとトイレの入り口前で二人の男に捕まってるキョーコを見つけた。
道でも聞かれたのか何かを聞かれて指を指しながら答えるキョーコの腰に一人の男が手を回す。蓮は急いで近付くと、キョーコの腰に手を回している男の肩を強く掴んだ。
190cmある身長を大いに利用して男を見下ろせば、慌てて手を離した二人の男が悪態をつきながら尻尾を巻いて逃げ出していた。
「最上さん、大丈夫?」
突然男たちが逃げたことに驚いていたキョーコは蓮の姿をみて慌てた。
「へ?!あ、敦賀さん!どうしてこちらに…?」
蓮が近くにいるのをキョーコは直視出来ず、キョロキョロと視線を彷徨わせる。
さっきから蓮の声を聞くたび、コーンとのことを思い出してしまうキョーコは逃げ道をさがしているのだ。
キョーコとずっと目が合わないことに、蓮の中で何かが切れた。
「ねぇ、最上さん。」
ひんやりとした冷たい声にキョーコがピクリと反応する。
「は、はいっ!!…ひっ!!」
慌てて顔を上げたキョーコを蓮は怒りの感情を背負ってジリジリと追い詰めると、キョーコの背中が壁にぶつかった。
そこから逃さぬように、蓮は肘を曲げて、キョーコの頭の横に手をついた。
「あぁいう男がタイプなの?」
「ふぇ?!あ、あああああの!!」
至近距離から見つめられて、キョーコの頬がブワッと赤くなった。
「な、なにを?!」
「あいつらに何処かに連れて行かれそうになってることに気付かなかったの?」
「へ?!あ、あいつらって?いえ、さっきのは売店の場所を教えてほしいって言われてただけで…」
「へぇ。ここに手を添えられて?」
そう言いながら、蓮は腕についていない方の手でキョーコの腰をサラリと撫でた。
「ひゃう!!」
キョーコが身体をびくんと跳ねさせて、慌てて答える。
「ああああれはっ!!その…」
そのことに関してはキョーコもあれ?と違和感を感じていたのだが、それに関して深く考える前に蓮が現れたので、違和感はすぐになくなってしまったのだ。
「男を誘惑して…楽しいの?」
蓮が鋭い眼差しでキョーコの方へぐっと顔を近付け目を覗き込む。
「ふぇ?!い、いえ!そんなつもりは全くもって一切…」
「そんな格好で無防備にフラフラしたら危ないって思わないの?」
「そ、そんな格好って…」
「そんな綺麗で可憐で…男ならどうにかしたいって思うような…」
「…え?」
そっと頬に手を添えられ、蓮の目の中に、ギラギラと獲物を狙うような色が見えて、キョーコの心臓がおかしくなるほど早まる。
「そのぷるんとした唇も…大きな穢れを知らないその目も、赤く熟れた頬も、華奢な身体も、健康そうな足も腕も…」
キョーコの体が沸騰しそうなほど熱くなる。
こんなに至近距離からそんなことを熱っぽく蓮相手に言われるなんて思わなくて、顔は真っ赤になったまま、情けない顔をつくっている。
「その全てが男を惹きつけて離さないというのに…君は無防備だ…。」
「つ、敦賀さ…」
ねっとりと熱の篭った声で囁かれて、逃げ場のないキョーコは泣きそうになっていた。
「そんな顔するな…。俺は君が…っ!」
蓮が言葉を一度飲み込み行動で示そうとしたのか顔を傾けキョーコの唇を奪おうとした時ーー
「ちょっと、蓮ちゃん?!何やってるの?!」
慌てたテンの声が蓮の動きをピタリと止めた。
ハッと我に返ったように、慌てて蓮はキョーコから離れると、キョーコはそのままその場に呆然としつつズルズルと壁を背にして沈みかけた。
慌てて蓮がその腕をとって支える。
「す、すみませ…」
蓮に腕を取られ意識を引き戻したキョーコだったが、赤くなった顔は戻らず、慌てて蓮から離れて距離を取ると、頭を下げた。
「た、体調が優れないので今日はこれで失礼しますっ!!」
「あ、もが…」
言うが早いか、ダッシュで駆け出したキョーコはあっという間にレストランから姿を消してしまうのだった。
キョーコは消えない熱を抱えてホテルの部屋に戻っていた。
先ほどまでの蓮の距離を思い出してカァァと赤くなる頬を収めることが出来ない。
あとほんの少し、テンが声をかけるのが遅かったら重なっていたであろう唇。
何処かでそれを期待していた自分。
重ならなかったことがさみしいような助かったような何とも言えない複雑な気持ちだ。
ーーーコーンは敦賀さんと髪と目の色が違うだけだったわよね?体格も体のパーツも顔のパーツの位置も殆ど一緒だったわ。じゃあやっぱりキスもーー
コーンとキスをしたというより、蓮とキスした感触だったんじゃないかなんて思ってしまい、キョーコはベッドの中で身悶える。
ーーーもうっ!!次に敦賀さんと会う時はどんな顔したらいいのぉ?!?!
その時、部屋にノックの音がして、キョーコは慌ててガバリと身体を起こした。
枕を抱えてそろそろとドアに近付くと、声が聞こえてきた。
「最上さん、いる?戻ってるよね?ちゃんと話がしたいんだけど…」
ーーコンコン。
「ねぇ。最上さん!」
キョーコはキュウっと目を瞑った。
今敦賀蓮とキョーコとして会ったら、この想いが確実にばれてしまう。
そう思ったキョーコは扉からそろりと離れた。
「ごめん…なさい。無理です…」
そう答えたキョーコの言葉に、蓮の声とノックが止む。
扉の外ではショックを受けて呆然と佇む蓮がいたのだが、キョーコはそれに気付かず、ベッドへ戻るとそのままベッドの脇に枕を抱えたままズルズルとしゃがみ込んで顔を枕に埋めたのだった。
翌日、カインとセツカとして顔を合わせると、互いに昨夜のことはなかったことのように振る舞い、久々の兄妹再会を喜んだ。
互いに焦がれる心を隠して役として互いに接する。
昼間はそれでよかったのだが、夜、ホテルの部屋で二人っきりになるとやがてその関係も軋み始めた。
『兄…さん?どうしたの…?』
風呂場から上がったセツカを後ろからぎゅうっと抱きしめてくるカインにセツカは困惑を見せつつ、中のキョーコはアワアワと慌てふためきパニックになる。
『お前は…俺のものだろ?』
『ええ…そうよ。決まってるじゃない。』
蓮はカインとしてキョーコであるセツカを抱きしめ、自分からキョーコが離れてしまわないように言葉で繋ぐ。
『俺以外の奴に心奪われたりしてないだろうな。』
『ないわ!アタシには兄さんだけよ。どうしちゃったの?』
だけどいくらカインとして確認しても帰ってくるのはセツカとしての優等生の返事ばかり。
キョーコの心情など知らない蓮の精神がジリジリと焦げて行く。
昨夜の拒絶が頭の中を巡っているのだ。
キョーコは与えられた役だから仕事として己の近くにいるだけで、本当は己を軽蔑していて二度と近づきたくないと思っているかもしれない。
つまりカインとセツカが終わってしまえば、キョーコから避けられることになる可能性が高いのだ。
それを思うとどうしても耐えられず、セツカを抱きしめる腕に知らぬ間に力が入る。
『に、兄さん?』
ならば今、捕まえておくしかない。
蓮はそう思った。
セツカを抱きしめたままベッドへダイブする。
『きゃ!ちょ、ちょっと!兄さん?!』
慌てるセツカを仰向けて、その上にのし掛かり、セツカの両手を掴むと強引にベッドに押し付けた。
『な、なんなの?!』
表面上困惑以外見えないセツカの表情に、蓮はグッと心を奮い立たせる。
『お前は俺のものだ。ならばお前の心も中身も身体も全部が欲しいといえばお前はその全てを俺に差し出せるのか?』
そんなカインの言葉にセツカは訝しそうに眉を寄せる。
『兄さん?本当にどうしちゃったの?』
『答えろ。セツ…』
低い声で囁けば、セツカはふぅと一つ息を吐くと流し目でカインを見上げた。
『当然でしょ?アタシの身も心も全部兄さんのものよ?』
その言葉にカインはそうか…と呟いて頭をセツカの首に埋めた。
ふぅと息を吐こうとしたセツカの首にチクリとした痛みが走り慌てて確認しようとすればそこにカインの頭が埋まっていて、流石に何をされたのかわかったキョーコは、顔を真っ赤に染める。
『ちょ、兄さ…!』
やめさせようにも両手は既にロックされていて逃れることが出来ない。
『お前は俺のものだという証だ。他の男に見せ付けてやればいい。』
『そんなことしなくても、アタシは兄さんのものだって言ってるじゃない!』
『セツカは俺のものだと知ってる。だけどお前の中にいるもう一人のお前はどうだ?』
『は?!』
『お前を動かしてるもう一人のお前のことだ。』
セツカは的を得ない質問に、頭を巡らせる。
『キョーコ、のこと…?』
よくわからないまま、聞いてみれば、カインは、そうだ。と答えた。
『お前もお前の中のお前も、誰にも渡したくない。お前は中身のお前も引っくるめて俺のものだ。』
『な、に…言ってるの?』
セツカは目を見開いた。カインの言葉が俄かに信じられない。
『誰にも渡さない。俺の中のもう一人の俺もお前の事を愛してるんだ。』
『な…に…を…』
キョーコの心臓が期待にどくんと大きく跳ねた。
『お前なしでは俺は生きていけない。だからどこにも行くな。セツカも…キョーコも。』
『兄…さん…?』
『俺は兄失格だ。妹のお前を誰よりも一人の女として見ている。だから…昨日は君に避けられたことが辛くてたまらなかった。』
『う、そ…』
キョーコは呆然と目の前の男を見つめる。
『お前の全てが欲しい。心も身体も魂も全て…手に入れたい。』
熱烈な愛の言葉に頭の中が沸騰寸前だ。
『愛してるんだ。』
カインとして蓮として紡がれた言葉は、とんでもない破壊力を持ってキョーコの心の鍵をぶち壊した。
パァンと弾けたように想いが溢れて、キョーコはポロポロと涙を流した。
それを見てカインが辛そうに眉を寄せる。
『突然、こんなこと言ってもお前にとっては迷惑なだけだとわかってる。だけど、知っておいて欲しかった。俺がどんな気持ちでお前に接しているのか…俺の本当の気持ちを…。混乱させて…すまない。』
カインがそっとセツカの腕の拘束を解いて身体を起こした。
セツカに背を向けて立ち上がろうとする。
『風呂、入ってくーー…っ!!』
カインが腰を上げた瞬間、セツカがガバリと背中からカインに抱き付いた。
『自分だけ言いたいこと言ったら終わりなんてズルイ!!』
背中に感じる温もりにカインの動きが固まる。
『なんで、アタシの気持ちを聞いてくれないの?!いつも勝手にアタシの気持ちを決めつけて…カッコつけて…』
『………』
『バカ…兄さんのバカ…』
『悪かったな…バカで…』
『言ったでしょ?アタシは兄さんのものだって。心も魂も全部…最近は兄さんのことばっかり頭の中を占拠されちゃうんだから…。』
きゅうっとセツカがカインのお腹に回した手を握り込み服に皺を作る。
『アタシも…兄さんが好き…兄さんの中のあなたの事も好き…です。』
『っ?!!!』
蓮は弾かれたようにキョーコの方を見た。
「ほん…と、に…?」
衝撃のあまり日本語に戻った蓮。
呆然とキョーコを見つめる蓮に、キョーコは恥ずかしそうに頬を染めてこっくりと頷いた。
その姿を見た瞬間、蓮はキョーコを力いっぱい抱きしめた。
「その顔…反則。可愛すぎ…!」
蓮は嬉しさで緩む顔が抑えられず、キョーコの首に顔を埋める。
キョーコも蓮を抱きとめて嬉しそうに笑った。
お互いに目尻にキラリと光の粒を零して、お互いの体温を感じながらベッドに倒れこむ。
「愛してる。キョーコ。」
「私も…です。」
二人は想いを確かめ合うように手のひらを合わせ、絡ませる。
ーーー古より変わることのない呪いにかけられた姫や王子を救う最も伝統的な方法ーーー
それはキスーー。
知らぬ間に闇と憎悪の呪いにかけられていた二人は、その伝統的な方法を使い互いにかけられていた呪いを解き放ち、絡めあった手のひらで幸せを掴んだ確かな手応えを感じた。
もう離れないと誓うように深く何度も口付け合い、蓮とキョーコは夜の闇を物ともせず愛に満ちた光へと変え、お伽話の王子様とお姫様のように、その後もずっとずっと幸せに暮らしましたとさ。
コーンとの秘密をキョーコが蓮にバラし、蓮がキョーコにコーンの秘密をバラすことになるのはもう少し…先の話。
END
スキビ☆ランキング
↑↑↑
今年も、ポチッと応援よろしくお願いします♪
*****
コーンから壁ドン☆蓮からまたまた壁ドン☆そしてカインからベッドへドーン☆(笑)
という感じに仕上げてみました!!
ゆみーのんさま、楽しい企画へのお誘いありがとうございますー!!
ドンフェス万歳!!
2月10日!!なんとめでたい♪
え?蓮誕なのにメロキュンじゃないのか…ですか?
メロキュン書きたかったんですが、これの方が先に浮かんじゃったんで…こちらの方でお楽しみいただければと思います~!!
今日はお話の宝庫ですかね?!
楽しみですー!!
2014年1月のとある日。
───壁ドンな蓮キョが……みたいの。
───くーーーーーーーっ(≧∇≦)って、悶えたいのです(笑)。
そんな呟きを落としたゆみーのん。
いつのまにやら、素敵なドン話があちらこちらでアップされ、
オープンな密談(?)の末に
ドン☆フェスというものが、秘かに熱いスタートを切ったのであった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
肘ドン☆壁ドン☆蝉ドン☆足ドン!!どんとこい企画
ドン☆フェス 大開催!
ゆみーのん様のドン☆フェス企画開催のご案内
本誌のネタバレ含みますので、それが嫌な方はお引き取り下さいー!!
本誌の続き妄想にもなってます!!
ドン☆フェスにも参加したい!!続き妄想も書きたい!!ということで欲張りな風月は急遽二つのネタを合わせることにしました!!
※風月は本誌派じゃないのですが、皆様の本誌感想から妄想が膨らんで書いております。
本誌を読んでる方にもそれはそれで違和感感じる部分があるかもしれませんが、妄想なので!!大目に見て頂けたら幸いです!!
過去作品提出したものの、ずっと参加したいなぁ!と思ってて、ようやく書けました!!
ゆみーのんさま、こんなのいかがでしょー?!
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御伽話の教え*後編
テンによって変装させられ、キョーコと蓮はグアムのレストランで夕食を共にした。
恋心を自覚して初めて会う蓮はやっぱりかっこ良くてついつい盗み見てしまう。
茶髪ロングのウィッグとふんわりとした風通しの良いワンピースを身に纏い何処かのお嬢様のようだとはしゃいでいたのは蓮の姿を見るまでだった。
茶髪のロンゲでサングラスをしている蓮は日本人の目を欺くことは出来るだろうがその美貌までもは隠せない。
カインとセツカの姿にしてしまうと、テンが一緒にディナーを取るのが不自然になるからという理由でわざわざこんな変装をしたのだ。
美男美女の3人組はやはり目を引くのか、レストランの中でもチラチラと視線を投げかけられていたが、当の3人は意に介した様子はない。
テンが一人で盛り上がって、キョーコも蓮もそれに相槌を打ったり微笑んだりとしていたが、不意にテンが不満そうに呟いた。
「なーんか、二人ともおかしくなぁい?」
そう言われて二人の動きがギクリと止まってぎこちなくテンを見る。
「そ、そうでしょうか?」
キョーコは蓮と久しぶりに会えてドギマギしながらも、先ほどのキスを忘れられず動揺してしまった。
今コーンは何処にいるんだろう?と気になって仕方が無くつい考えてしまうのだ。
そして目の前にいる蓮とコーンがダブり過ぎてあのキスの感触を思い出してしまっていた。
「何処か…おかしいですか?」
蓮も蓮で先ほどの想いもしてなかったキョーコの告白を聞いてから落ち着かなかった。
相手は誰なのかを問いただしたくても、己がコーンだとバレる訳にはいかないためそれも叶わない。
そんな何処かよそよそしい態度の二人にテンは違和感を感じたのだ。
不満を漏らすテンに曖昧に答えながら、蓮はキョーコを、キョーコは蓮をチラリと見たのだが、そのタイミングがほぼ同時で二人の視線がかち合った。
キョーコは真っ赤になり、慌てて目を逸らす。
蓮はそんなキョーコの反応を見て目を見開いた。
「ちょっとお手洗いに行ってきますね!」
慌てて席を立ったキョーコがそう告げてテーブルを離れると、少しして蓮も立ち上がった。
「すみません。ミスジェリー、俺もちょっと手洗いに…」
「もー!だから蓮ちゃんテンちゃんって呼んでったら!!」
プンプンと怒ったような様子を見せるテンに苦笑してトイレへと急ぐとトイレの入り口前で二人の男に捕まってるキョーコを見つけた。
道でも聞かれたのか何かを聞かれて指を指しながら答えるキョーコの腰に一人の男が手を回す。蓮は急いで近付くと、キョーコの腰に手を回している男の肩を強く掴んだ。
190cmある身長を大いに利用して男を見下ろせば、慌てて手を離した二人の男が悪態をつきながら尻尾を巻いて逃げ出していた。
「最上さん、大丈夫?」
突然男たちが逃げたことに驚いていたキョーコは蓮の姿をみて慌てた。
「へ?!あ、敦賀さん!どうしてこちらに…?」
蓮が近くにいるのをキョーコは直視出来ず、キョロキョロと視線を彷徨わせる。
さっきから蓮の声を聞くたび、コーンとのことを思い出してしまうキョーコは逃げ道をさがしているのだ。
キョーコとずっと目が合わないことに、蓮の中で何かが切れた。
「ねぇ、最上さん。」
ひんやりとした冷たい声にキョーコがピクリと反応する。
「は、はいっ!!…ひっ!!」
慌てて顔を上げたキョーコを蓮は怒りの感情を背負ってジリジリと追い詰めると、キョーコの背中が壁にぶつかった。
そこから逃さぬように、蓮は肘を曲げて、キョーコの頭の横に手をついた。
「あぁいう男がタイプなの?」
「ふぇ?!あ、あああああの!!」
至近距離から見つめられて、キョーコの頬がブワッと赤くなった。
「な、なにを?!」
「あいつらに何処かに連れて行かれそうになってることに気付かなかったの?」
「へ?!あ、あいつらって?いえ、さっきのは売店の場所を教えてほしいって言われてただけで…」
「へぇ。ここに手を添えられて?」
そう言いながら、蓮は腕についていない方の手でキョーコの腰をサラリと撫でた。
「ひゃう!!」
キョーコが身体をびくんと跳ねさせて、慌てて答える。
「ああああれはっ!!その…」
そのことに関してはキョーコもあれ?と違和感を感じていたのだが、それに関して深く考える前に蓮が現れたので、違和感はすぐになくなってしまったのだ。
「男を誘惑して…楽しいの?」
蓮が鋭い眼差しでキョーコの方へぐっと顔を近付け目を覗き込む。
「ふぇ?!い、いえ!そんなつもりは全くもって一切…」
「そんな格好で無防備にフラフラしたら危ないって思わないの?」
「そ、そんな格好って…」
「そんな綺麗で可憐で…男ならどうにかしたいって思うような…」
「…え?」
そっと頬に手を添えられ、蓮の目の中に、ギラギラと獲物を狙うような色が見えて、キョーコの心臓がおかしくなるほど早まる。
「そのぷるんとした唇も…大きな穢れを知らないその目も、赤く熟れた頬も、華奢な身体も、健康そうな足も腕も…」
キョーコの体が沸騰しそうなほど熱くなる。
こんなに至近距離からそんなことを熱っぽく蓮相手に言われるなんて思わなくて、顔は真っ赤になったまま、情けない顔をつくっている。
「その全てが男を惹きつけて離さないというのに…君は無防備だ…。」
「つ、敦賀さ…」
ねっとりと熱の篭った声で囁かれて、逃げ場のないキョーコは泣きそうになっていた。
「そんな顔するな…。俺は君が…っ!」
蓮が言葉を一度飲み込み行動で示そうとしたのか顔を傾けキョーコの唇を奪おうとした時ーー
「ちょっと、蓮ちゃん?!何やってるの?!」
慌てたテンの声が蓮の動きをピタリと止めた。
ハッと我に返ったように、慌てて蓮はキョーコから離れると、キョーコはそのままその場に呆然としつつズルズルと壁を背にして沈みかけた。
慌てて蓮がその腕をとって支える。
「す、すみませ…」
蓮に腕を取られ意識を引き戻したキョーコだったが、赤くなった顔は戻らず、慌てて蓮から離れて距離を取ると、頭を下げた。
「た、体調が優れないので今日はこれで失礼しますっ!!」
「あ、もが…」
言うが早いか、ダッシュで駆け出したキョーコはあっという間にレストランから姿を消してしまうのだった。
キョーコは消えない熱を抱えてホテルの部屋に戻っていた。
先ほどまでの蓮の距離を思い出してカァァと赤くなる頬を収めることが出来ない。
あとほんの少し、テンが声をかけるのが遅かったら重なっていたであろう唇。
何処かでそれを期待していた自分。
重ならなかったことがさみしいような助かったような何とも言えない複雑な気持ちだ。
ーーーコーンは敦賀さんと髪と目の色が違うだけだったわよね?体格も体のパーツも顔のパーツの位置も殆ど一緒だったわ。じゃあやっぱりキスもーー
コーンとキスをしたというより、蓮とキスした感触だったんじゃないかなんて思ってしまい、キョーコはベッドの中で身悶える。
ーーーもうっ!!次に敦賀さんと会う時はどんな顔したらいいのぉ?!?!
その時、部屋にノックの音がして、キョーコは慌ててガバリと身体を起こした。
枕を抱えてそろそろとドアに近付くと、声が聞こえてきた。
「最上さん、いる?戻ってるよね?ちゃんと話がしたいんだけど…」
ーーコンコン。
「ねぇ。最上さん!」
キョーコはキュウっと目を瞑った。
今敦賀蓮とキョーコとして会ったら、この想いが確実にばれてしまう。
そう思ったキョーコは扉からそろりと離れた。
「ごめん…なさい。無理です…」
そう答えたキョーコの言葉に、蓮の声とノックが止む。
扉の外ではショックを受けて呆然と佇む蓮がいたのだが、キョーコはそれに気付かず、ベッドへ戻るとそのままベッドの脇に枕を抱えたままズルズルとしゃがみ込んで顔を枕に埋めたのだった。
翌日、カインとセツカとして顔を合わせると、互いに昨夜のことはなかったことのように振る舞い、久々の兄妹再会を喜んだ。
互いに焦がれる心を隠して役として互いに接する。
昼間はそれでよかったのだが、夜、ホテルの部屋で二人っきりになるとやがてその関係も軋み始めた。
『兄…さん?どうしたの…?』
風呂場から上がったセツカを後ろからぎゅうっと抱きしめてくるカインにセツカは困惑を見せつつ、中のキョーコはアワアワと慌てふためきパニックになる。
『お前は…俺のものだろ?』
『ええ…そうよ。決まってるじゃない。』
蓮はカインとしてキョーコであるセツカを抱きしめ、自分からキョーコが離れてしまわないように言葉で繋ぐ。
『俺以外の奴に心奪われたりしてないだろうな。』
『ないわ!アタシには兄さんだけよ。どうしちゃったの?』
だけどいくらカインとして確認しても帰ってくるのはセツカとしての優等生の返事ばかり。
キョーコの心情など知らない蓮の精神がジリジリと焦げて行く。
昨夜の拒絶が頭の中を巡っているのだ。
キョーコは与えられた役だから仕事として己の近くにいるだけで、本当は己を軽蔑していて二度と近づきたくないと思っているかもしれない。
つまりカインとセツカが終わってしまえば、キョーコから避けられることになる可能性が高いのだ。
それを思うとどうしても耐えられず、セツカを抱きしめる腕に知らぬ間に力が入る。
『に、兄さん?』
ならば今、捕まえておくしかない。
蓮はそう思った。
セツカを抱きしめたままベッドへダイブする。
『きゃ!ちょ、ちょっと!兄さん?!』
慌てるセツカを仰向けて、その上にのし掛かり、セツカの両手を掴むと強引にベッドに押し付けた。
『な、なんなの?!』
表面上困惑以外見えないセツカの表情に、蓮はグッと心を奮い立たせる。
『お前は俺のものだ。ならばお前の心も中身も身体も全部が欲しいといえばお前はその全てを俺に差し出せるのか?』
そんなカインの言葉にセツカは訝しそうに眉を寄せる。
『兄さん?本当にどうしちゃったの?』
『答えろ。セツ…』
低い声で囁けば、セツカはふぅと一つ息を吐くと流し目でカインを見上げた。
『当然でしょ?アタシの身も心も全部兄さんのものよ?』
その言葉にカインはそうか…と呟いて頭をセツカの首に埋めた。
ふぅと息を吐こうとしたセツカの首にチクリとした痛みが走り慌てて確認しようとすればそこにカインの頭が埋まっていて、流石に何をされたのかわかったキョーコは、顔を真っ赤に染める。
『ちょ、兄さ…!』
やめさせようにも両手は既にロックされていて逃れることが出来ない。
『お前は俺のものだという証だ。他の男に見せ付けてやればいい。』
『そんなことしなくても、アタシは兄さんのものだって言ってるじゃない!』
『セツカは俺のものだと知ってる。だけどお前の中にいるもう一人のお前はどうだ?』
『は?!』
『お前を動かしてるもう一人のお前のことだ。』
セツカは的を得ない質問に、頭を巡らせる。
『キョーコ、のこと…?』
よくわからないまま、聞いてみれば、カインは、そうだ。と答えた。
『お前もお前の中のお前も、誰にも渡したくない。お前は中身のお前も引っくるめて俺のものだ。』
『な、に…言ってるの?』
セツカは目を見開いた。カインの言葉が俄かに信じられない。
『誰にも渡さない。俺の中のもう一人の俺もお前の事を愛してるんだ。』
『な…に…を…』
キョーコの心臓が期待にどくんと大きく跳ねた。
『お前なしでは俺は生きていけない。だからどこにも行くな。セツカも…キョーコも。』
『兄…さん…?』
『俺は兄失格だ。妹のお前を誰よりも一人の女として見ている。だから…昨日は君に避けられたことが辛くてたまらなかった。』
『う、そ…』
キョーコは呆然と目の前の男を見つめる。
『お前の全てが欲しい。心も身体も魂も全て…手に入れたい。』
熱烈な愛の言葉に頭の中が沸騰寸前だ。
『愛してるんだ。』
カインとして蓮として紡がれた言葉は、とんでもない破壊力を持ってキョーコの心の鍵をぶち壊した。
パァンと弾けたように想いが溢れて、キョーコはポロポロと涙を流した。
それを見てカインが辛そうに眉を寄せる。
『突然、こんなこと言ってもお前にとっては迷惑なだけだとわかってる。だけど、知っておいて欲しかった。俺がどんな気持ちでお前に接しているのか…俺の本当の気持ちを…。混乱させて…すまない。』
カインがそっとセツカの腕の拘束を解いて身体を起こした。
セツカに背を向けて立ち上がろうとする。
『風呂、入ってくーー…っ!!』
カインが腰を上げた瞬間、セツカがガバリと背中からカインに抱き付いた。
『自分だけ言いたいこと言ったら終わりなんてズルイ!!』
背中に感じる温もりにカインの動きが固まる。
『なんで、アタシの気持ちを聞いてくれないの?!いつも勝手にアタシの気持ちを決めつけて…カッコつけて…』
『………』
『バカ…兄さんのバカ…』
『悪かったな…バカで…』
『言ったでしょ?アタシは兄さんのものだって。心も魂も全部…最近は兄さんのことばっかり頭の中を占拠されちゃうんだから…。』
きゅうっとセツカがカインのお腹に回した手を握り込み服に皺を作る。
『アタシも…兄さんが好き…兄さんの中のあなたの事も好き…です。』
『っ?!!!』
蓮は弾かれたようにキョーコの方を見た。
「ほん…と、に…?」
衝撃のあまり日本語に戻った蓮。
呆然とキョーコを見つめる蓮に、キョーコは恥ずかしそうに頬を染めてこっくりと頷いた。
その姿を見た瞬間、蓮はキョーコを力いっぱい抱きしめた。
「その顔…反則。可愛すぎ…!」
蓮は嬉しさで緩む顔が抑えられず、キョーコの首に顔を埋める。
キョーコも蓮を抱きとめて嬉しそうに笑った。
お互いに目尻にキラリと光の粒を零して、お互いの体温を感じながらベッドに倒れこむ。
「愛してる。キョーコ。」
「私も…です。」
二人は想いを確かめ合うように手のひらを合わせ、絡ませる。
ーーー古より変わることのない呪いにかけられた姫や王子を救う最も伝統的な方法ーーー
それはキスーー。
知らぬ間に闇と憎悪の呪いにかけられていた二人は、その伝統的な方法を使い互いにかけられていた呪いを解き放ち、絡めあった手のひらで幸せを掴んだ確かな手応えを感じた。
もう離れないと誓うように深く何度も口付け合い、蓮とキョーコは夜の闇を物ともせず愛に満ちた光へと変え、お伽話の王子様とお姫様のように、その後もずっとずっと幸せに暮らしましたとさ。
コーンとの秘密をキョーコが蓮にバラし、蓮がキョーコにコーンの秘密をバラすことになるのはもう少し…先の話。
END
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コーンから壁ドン☆蓮からまたまた壁ドン☆そしてカインからベッドへドーン☆(笑)
という感じに仕上げてみました!!
ゆみーのんさま、楽しい企画へのお誘いありがとうございますー!!
ドンフェス万歳!!