今更ながら、三島由紀夫著の『春の雪』を読了いたしました。

 

 

 

 

 

 

三島由紀夫の晩年に書かれた四部作の第一集。

 

妻夫木聡さんと竹内裕子さんで映画化もされました。

 

 

 

 

四部作の転生の物語とされており、

 

この『春の雪』という物語は侯爵の息子である松枝清顕という

 

主人公が送った激動の一年間の物語である。

 

 

この第一集だけで450ページを超える超大作なのですが、

 

全く飽きの来ない物語でした。

 

無駄が無く、美しく描かれる情景描写がその理由でしょう。

 

小説において、情景描写は登場人物の状態を表すのに非常に重要です。

 

ただ、長すぎるとそれを読むのが面倒になったりして、

 

物語自体を読むのを諦めてしまうもの。

 

しかし、この作品に関しては情景描写こそが物語の主役に躍り出ている。

 

三島由紀夫の文章は洩れなく情景描写が美しくありますが、

 

この作品に関しては、今まで読了した作品の中では正直に群を抜いている。

 

ずっとこの世界の物語を見ていたいと思わせる作品でした。

 

 

話の展開も非常にスリリングで、

 

登場人物がそれぞれ思惑があり、その思惑に沿わせようと行動している様が

 

物語に大きな緊張感を与えてくれます。

 

それも、登場人物のバックグラウンドを明確にされているのと同時に、

 

物語の端々に含みを持たせた演出をされているのには驚きを隠せません。

 

特に、登場する女性は洩れなく明晰な人物ばかりで、

 

凛とした態度で冷酷な判断を実行する様が美しいのと同時に恐ろしくもありました。

 

ここまで女性を冷酷であると同時に己の欲望に忠実に描ける作家が

 

今の今までの日本の歴史の中にどれ程居るのだろう?

 

少なくともこの作品に主に登場する女性は非常に輝いて見えました。

 

これ、本当に面白いので、読書が好きな方は是非読んでみてほしいです。

 

近代文学を余り読んだ事の無い方は、

 

この作品を読むと現代には余りない刺激を沢山受け取る事が出来ますよ。

 

 

 

 

 

 

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