リアーナファンであればバルバドスが出身国であることは周知である。イギリス領カリブ海のバルバドスやジャマイカでの砂糖プランテーション生産拡大には労働力として膨大なアフリカ黒人奴隷が必要であった。
もちろんコーヒー、ココア、綿花の生産国へ、16世紀から19世紀までの大西洋奴隷貿易では数千万人のアフリカ人が西アフリカから奴隷船に乗せられて連行された。その中の30%以上は航海中に死亡している。
 その頃に奴隷貿易港であったロンドンでは東インド会社がモカコーヒーをドル箱とした時代であった。チップの語源がこの時代の名残で、ペニー大学とも呼ばれたコーヒーハウスで始まった習慣に由来する。これらの店には客が迅速なサービスを求めコインを投げ込む、「To Insure Promptness」と書かれた銅製の小箱が備えられており、この頭文字からチップが生まれたとの説がある。
コーヒーハウスなどで飲まれたコーヒー、ココア、茶飲料に、カリブ海でアフリカ奴隷が生産した砂糖が大量に使用され、需要が拡大した。
イギリス領カリブ海に海外プランテーションを所有するイギリス国内で政治活動をする「西インド諸島派」の政治圧力で砂糖の高い保護関税が守られていたが、他国での砂糖生産拡大で、その制度が崩れたため、奴隷貿易が廃止された。
奴隷制が廃止されたのは人道主義の産物ではなく新興ブルジョワ階級の利害の産物であった。