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銀座の猛者(1950年 日本 新東宝)

 

 

原題「銀座の三四郎」。

 

姿三四郎、銀座に出現!的な作品なのか?と思ったら、ベタにそのまんまでした。(ゲラゲラ)

 

 

この作品、DVDや、単体でAmazonにないんですね。

市川崑監督作品なのに。

 

姿三四郎役を演じた「藤田進」&酔いどれ天使の「志村喬」を愛でる作品です。

80歳くらいの戦中派のおじいちゃんが興奮して、狂喜乱舞する2大スターの競演です。

 

老健施設の映画上映会にいいんじゃないかな。

1時間程度で短いし、ハッピーで楽しいです。

 

 

 

63793『銀座の猛者/銀座三四郎』新東宝 市川崑 藤田進 志村喬 飯田蝶子 山根寿子 風見章子 木匠久美子 伊達里子

 

銀座の猛者(原題「銀座三四郎」縮尺版) DVD

 

まだ日本にGHQがいたころに作られた作品。

日本軍の検閲はなくなったけれど、今度は米軍の検閲がある時代に作られた作品です。

 

それで、JUDO姿三四郎のアクターSUSUMU FUJITAを主役にしたラブロマンス映画をMAKEするなんて、

新東宝もやりますね!

 

「OH!JUDO MAN!」なんて言われたりしたんでしょうか。

いわれないか(笑)

 

 

 

若き日の市川崑監督が、

1943年黒澤明監督の名作「姿三四郎」で柔道家・姿三四郎を演じた藤田進さんと村井半助を演じた志村喬さんの二人が

「銀座の町医者」として復興が始まった銀座で、女を食い物にする銀座のチンピラと闘うというお話を作られました。

 

町医者で志村喬となると、志村喬さんが町医者を演じた1948年の黒澤明監督の傑作「酔いどれ天使」を思い出しますね。

設定をヒット作から頂いてる感じがプンプンして、ベタです。

 

設定から構築する作品って当時からあったんですね。

 

深海誠監督の「すずめの戸締り」もそうですよね。

ヒット作の設定を集めて組み合わせて、再構築してストーリーを作るという。

 

アニメーターから映画監督に転身して日の浅い市川崑監督にとっては「映画製作の千本ノック」、

いただけるお仕事は喜んで受けます!状況で、プログラムムービーとして作ったんじゃないかなあとお察し申し上げました。

 

原題がなんてたって「銀座の三四郎」ですから。

「姿三四郎」ファンと「酔いどれ天使」ファンをターゲットに作られています。

 

両方とも黒澤明監督作品の2作品をオマージュして新作が作られるというのに、黒澤監督は何をされてたの?

 

と調べてみたら、この年、黒澤監督「羅生門」の撮影中でいらっしゃいました。

 

市川監督は「人情ドラマ」がうまい監督と言われているそうですが、

「姿三四郎」の三四郎役をつとめた無骨な藤田進さんが、銀座のスマートな医師に変身!、映像もシャがかかっていて、西洋映画風、なんだかすごく素敵でした。

 

「ザ・銀幕のスター」という感じ。

 

藤田さんて二重でホリが深くて、愛嬌のある西洋人顔なんですよね。

笑顔も可愛いし、歯並びもキレイ。

ハリウッドは、歯並びが綺麗なのは絶対条件ですよね。

日本映画はミソッパ―、八重歯さんも、かわいい♪と認識しますが、西洋は全く違うんだそうです。

 

スーツ姿もよく似合う。

紳士でタフガイ。

GHQもSUSUMUFUJITAは「イイネ!」でしょうね。

 

SUSUMUFUJITAとバディのドクターが志村喬です。酔いどれ天使のキャラのまんまの。

これ、東宝映画ファンサービスで作った映画だなあ。

 

銀座のチンピラを、姿三四郎…じゃなかった銀座のドクター「荒井熊介」通称クマさん、ベアちゃんが

バッタバッタと柔道技で倒して、ドボンドボンと数寄屋橋の川に落としていきます。

 

あははッ!

このシーン「姿三四郎」の矢野正五郎先生が夜盗に囲まれた時、

どんどん濠に敵を落っことしてたやつの派手なバージョンでした。

力道山か?というくらい、気持ちよく銀座のベアちゃんが落っことしていく。

 

銀座カンカン娘に出てくる銀座のチンピラを一網打尽にしてしまう感じ。

胸がスカーッ!!

 

ああ、藤田進最高!

志村喬さんも、いい味出してるし。

 

ああ、そうかこの作品、「藤田進」と「志村喬」を愛でる映画だったんだ。

 

ファン感謝祭!的な映画です。

 

あと、銀座のドクターの生活がオシャレでカッコいいんです。

1950年の映画ですけれども、素敵な感じで和光の時計台が銀座の象徴として映ってました。

 

オシャレな日本。

ちょっと先行く、銀座の復興。

大正モダン・昭和モダンの華が咲いた昭和12年、13年当時の日本に戻りつつあったんですね。

 

もしかすると、日本で一番復興が早かったのは銀座かもしれない、そう思いました。

 

 

飯田蝶子さんと志村喬さんが、本当にいい味を出していました。

このお二人どれぐらい最高な役者さんかというと、

 

飯田蝶子=樹木希林、ウーピーゴールドバーグ

志村喬=西田敏行、サミュエルLジャクソン

 

こんな感じです。

 

ただ、この作品、ラストのカナリヤさん(女性)がストーカーと化してるところや、

結婚式の日に達磨が転ぶのは不幸の予兆ですよ?

 

これ、続きを作る予定だったんじゃないの?

というエンディングでした。

 

これは、続編を作るべきでしたね。

 

この作品、もともと「銀座の三四郎」という映画だったのを、映画会社が勝手に短く編集して

 

「銀座の猛者」というタイトルに改題されて短編にされてしまったんだそうです。

長編の「銀座の三四郎」はフイルムが残ってないらしい。

 

若き市川崑監督の試行錯誤を見られる作品なので、もったいなかったですね。

市川監督の新人監督時代の試行錯誤や、黒澤監督との関係やお二人のキャラクターの違いを妄想しながら、

映画会社とのやりとりまで目に浮かんでくるようで、映画好きな方には「妄想が膨らむ」一作でした。