TODAY'S
 
また遭う日まで(1950年 日本 東宝)

新春恒例、映画鑑賞千本ノック!

(とはいえ、千本は無理です。1日1本が限度。そろそろ終わります)

 

 

 

また逢う日まで

 

 

1950年の恋愛映画「また遭う日まで」。

 

戦争を知らない2023年の日本人の私からみたら、恋人たちを通して戦争の残酷さを描いた「戦争映画」でです。

1950年当時は戦争映画とはいわれることなく、「恋愛映画」と言われたそうです。

 

当時の人たちは本当に戦争を体験してるから、戦争のシーン(空襲や出征)は日常のことで、

それより「ラブストーリー」の方に夢中になったんでしょうね。

 

なんか「ガラス越しのキッス」ってあるじゃないですか。

小学生が教室の掃除の時間に、男子が「キスしよう!」とガラス越しにキスして、「なにやってるの!!」と女子がきゃーきゃー!してる、アレです。

 

ガラス越しのキッスが一世を風靡したのって、この「また遭う日まで」が発祥なんだそうで、当時としてはセンセーショナルで

「ガラス越しのキッスが!」ああ、もうたまらん!と話題になったんだそうです。

 

お笑いコントでもよくつかわれますよね。

 

この映画が元なんですって。

 

このキッスのシーン、「日本映画史上、歴史に残るキスシーン」なんだそうです。

 

同じ写真出しちゃお。

 

また逢う日まで

これですよ!これ!↑

 

そういえば、昔の日本映画で、キスするシーンってみたことないですね。

 

1950年のこの作品が初めてかも。

進駐軍もやってきて、ほんとにほんとうに自由を謳歌する時代になったんですね。

 

とはいえ、映画自体は戦争中の男女を描いた作品なんですね。

戦争でひきさかれる男女。

 

ラストは、まさか!(×3)の展開。
うそー!!
 

さすがキネマ旬報ランキング1位(1950年)!

 

 

それで、映画の内容について、ちょっと重箱の隅もつつきながら、感想を書きますね。

【ここからネタバレ多いです】

 

欧米文学の作品を元に作られたんだそうで、

まるで外国の映画をみているようでした。

青春映画なので、とても見やすいです。

 

にしても、愛だの恋だの、なんて積極的なの、早稲田の学生は!

 

そうなんです!イケてる早大生のロマンスの話なんです!

 

貴族階級のモラトリアム文学青年の大学生田島三郎と

父を亡くし、貧しい生活を送りながら絵画で生計を立てる小野蛍子。

 

ああ、可愛い蛍子(久我美子)さん。

戦後の東宝アイドルスターです。

 

沢口靖子さん的な可愛さのお嬢さんです。

身長153センチ、本物の御公家様のお嬢様なんだそう。

 

彼女がヒロインです。

もう、本当に可愛い。

 

坂道系にいたらセンター行ける可愛さです。

 

それで、貴族階級で高等遊民の早稲田の学生を、岡田英次さんという俳優さんが演じておられます。

 

けがれなき乙女の美しい蛍子さんにグイグイ迫ってくる早大生・田島三郎。

私が存じ上げている「早稲田大学英米文学部卒業」の80代のおじい様、こんな感じなんですよね。

グイグイ来る方なんですす。

話し方も田島君とそっくり。

 

ああ、そうか。これ戦前に大学に行けるような、高等遊民連中の話し方だったのか。

 

なんだか、お知り合いのじい様とキャラがかぶっています。

ああ、おもいだしたくない、じい様のことなんて。

 

だけど、じい様の若い頃って、こんな感じだったんだろうなあ。

「俺はモテた!」っていうもんね。

 

仕事(営業)も交際もグイグイ行く人で、仕事もできるし、社長さんになって勝ち組人生を送っていらっしゃいます。

じい様になった今もグイグイ、おばあちゃま方とお食事会をして。人生楽しんでいらっしゃいますよ。

 

 

田島、超積極的!

 

ちょっと!蛍子さんに触るな!!

 

こら田島ァ~!!!(怒)

 

「空襲の夜に防空壕で出会い」って、本当に戦争中はよくあったんですね。

「君の名は」の真知子も、数寄屋橋の防空壕で恋が芽生えたんですよね。

 

しょうがないですね。

だって、空襲怖いもんね。傍に紳士的に自分のことを守ってくれる男性がいたら、

ほっとして信頼して、好きになってしまうよね。

 

 

あれ? この作品「君の名は」の前に発表された作品ですね。

そういえば蛍子が真知子巻をしてました。

ってことは、「君の名は」の方が、「また遭う日まで」をオマージュしてるってことですね。

 
すごいじゃないか!
 
この田島君、超積極的です。
戦争中なのに。
 
いや戦争中だから?なのかな。
刹那の時代だものね。
 
私は田島君が蛍子さんを好きすぎて(田島君、思い余って蛍子さん襲うんじゃ…)と途中から警戒しながら見てしまったので、
 
手を握ろうとした田島に蛍子さんがびっくりして手を離したり、ぱっと離れるシーンも多くて
「こら~!田島!(←よびすて)、蛍子さんに手を出すな!!」とお説教したくなりました。
 
だって、蛍子さん、天使のように可愛いんだもの。
 
蛍子さん♪蛍子さん♪
か・わ・い・い!なあ^0^
 
だけど、
なんだか蛍子さん、もしかして、田島のこと気に入ってる?
あれ? なんか、まんざらでもない感じ?!
 
あれ?
あれ?
 
ええっ!
っていうか、好きになっっちゃったの?
ガーン!
 
押しに弱いのか、当時の女性って。
 
 
(このガーン!は、個人的に清純な女性にグイグイ来る男を、私が個人的に好かんだけで、
当時の世間的には「きゃあ♪きゃあ♪」だったらしいです)。
 

妖精のように美しい小野蛍子さん(久我美子さん)。

 

そこからの「ガラス越しのキッス!」ですよ。

 

きゃあ!

「これが日本映画史上歴史に残る、ガラス越しのキッスシーンね」

 

田島め~、やりやがったな!

 

……まあ許すとしよう!

ガラス越しだし。

よく我慢した田島。

 

許す!

 

と思いながら、キッスのシーン、超キレイだったなあ。

雪が降っていて、最高にロマンティックでした。

 

蛍子さんの純潔はギリギリ守られたか。

 

この辺までは、戦後のトレンディドラマを見飽きてる私には、

「なるほどね」なラブストーリーだったんです。

 

なのですが、そこからが、戦争映画なんですよ。

この映画はどんどん進んでいきます。

 

戦争の時代に男女が恋をしたらどうなるか。

 

もう歯止めきかんのかい!

 

 

ああ!

蛍子ぉ~!!

 

私の蛍子~!

田島~!

 

あっ!アイドルのファンの人みたいになってしまいました。

 

ラストは絶句でした。

 

今井正監督。すごい!!

 

 

これ、新海誠監督にアニメ化してほしい。

 

 

 

【おまけ 高等遊民はロキっぽかった】

 

あと、高等遊民仲間の早稲田の学生の仲間、文学部の仲間なんだろうと察しているのですが、

ピアノを弾いたり詩をそらんじる学生たちの中に、ひときわ輝いている青年がいました。

別格というか、「この人は本物の高等遊民だろうな」と思わせる物静かな学生さんで、

品格を漂っていて、強く印象に残った役者さんがいました。

 

調べたら、芥川龍之介の息子さんの芥川比呂志さんでした。

カリスマ性のある人っているんですね。品格があって、ニヒリズムという言葉が似合う。

腹黒くない「ロキ」みたいな感じ。

彼のそばでピアノを弾いてる学生さんも、いい感じの青年で、弟の芥川多加志さんでした。

 

※「ロキ」はマーベル映画の神様「ソー」の弟の天邪鬼な神様です。

 ご興味のある方はググってください。

 

MAFEX マフェックス No.169 アベンジャーズ インフィニティ ウォー LOKI ロキ (Infinity War Ver.) 全高約160mm 塗装済み アクションフィギュア

 

↑ロキ 

 

 

【映画パンフレット】ロキ (ソー:ラブ&サンダー) キャスト トム・ヒドルストン

 

 

【私がどうして田島を嫌いか分析】

 

実は、岡田英次さんが大学生にしては年をとってるように見えて、30過ぎてる感じだったんです。

 

清純な穢れなき乙女の久我美子さん(19歳)とちょっと不釣り合いだなあと個人的には感じました。

 

(男の役者さん、もう少し若い人が良かったなあ。学生の仲間で出演してる、芥川比呂志さんの方が良かったなあ)と思いながら見ていて、どうして「おじさんのにおいがする人に学生の純愛やらせてるのかな」という疑問がありました。

 

調べてみたら、この作品、岡田英次さんが映画会社に持ち込んだ台本なんだそうです。

だから主役が岡田さんなんだそうです。

岡田さん自体は慶応大学経済学部出身の俳優さんなんだそうで、

ビジネススキル、プレゼン能力が高かったってことなんでしょうか。

 

この時、岡田さん30過ぎてたらしいです。

 

それで「蛍子さんに触るな!田島!」と、私、都度都度、ムカッ!としてしまったんですよね。

30過ぎの男がグイグイ19歳の女の子にアタックしてたら、やっぱりねえ。

 

映画「沖縄の民」で学徒動員で召集された大田君を演じた長門裕之さんあたりは童顔で、

彼の方も穢れない感じがしました。役者さんの年齢って大切だと思うんですよね。

 

当時の大学生って兵役を終えてから入学してる人もいるだろうし、年齢25歳以上でもあり!かなあと思うのですが

30過ぎてしまうと、泣かせた女性の数は両手でも足りないですよ…という風格が出ておられました。

 

 

【それでも、これはおススメ映画です】

という反感を持ちながら観た作品だったのですが、それらをすべて凌駕して、ラストは圧巻でした。

 

すべてが伏線だらけで、

ラストで伏線回収しまくり。

 

こう来るか!

 

参った!