なんでかね~鶴見 ガ―エーにはまだ早い!(2023年 日本)

 

横浜市鶴見区の地域発信映画第二弾。

沖縄国際映画祭出品作品で、凱旋公演、鶴見初公開!

というプレミアム映写会に行ってきました。

 

NHK朝の連続ドラマ「ちむどんどん」の舞台になった横浜市鶴見区の通称「沖縄タウン」の元気者たちが製作してる映画です。

前回は62分というショートムービーで、今回は2時間近い劇場公開版で、全国公開を目指す作品です。

 

 

鶴見のウチナーンチュ、石川元信さんと下里優太さん、もう一人島袋健一さんの部下で野村拓哉さん、この3人が㈱RiverStoneという映画製作会社を立ち上げて、一作目の監督を務めた渡辺熱さんを迎え、3人プロデューサー体制で製作した、その第1作目になります。前回の作品は「実行委員会」だったんですけれどね。

 

鶴見の通称「沖縄タウン」のど真ん中には鶴見沖縄県人会館というランドマーク的な施設があるのですが、

ここ、実は戦前は映画館があった場所なんだそうです。その後は劇場として、沖縄大衆演芸や舞踊などを、沖縄から移住してきた人たちが一座を結成して、上演したりということをしてたんだそうで、どんだけ沖縄の人たちは芸達者なのか^^

 

 

私もウチナーンチュですが、特に昔のウチナーンチュは、テレビもない時代は、みんなで集まったら楽器(三線など)を弾いて、知ってる曲をひいて、歌って踊って…ということをよくやっていたんです。

今、東京でフォーク酒場や飛び入りライブがやれる酒場が流行ってますけれども、そういう感じで、「ちょっと演奏しちゃおうかな!」的に、いつものメンバーが、三線をひいて歌いだす、、という習慣が絶滅することなく、残ってたのがオキナワ。

 

今も残る「唄遊び」の文化。

 

そして、それは、とっても楽しい!

 

伝統文化行事も盛んで、特に太鼓の踊り「エイサー」はとても人気があります。

大太鼓と締め太鼓、臼太鼓の三種類あるのですが、これらを使い分けて、隊列を作って、太鼓をたたきながら踊るんです。

太鼓がどんどんなると、胸が躍ります。

鶴見のエイサーは、沖縄のエイサー団体の「親」がありません。鶴見の沖縄2世の琉球舞踊家・野原千鶴先生の振り付けの完全オリジナルエイサーなんだそうです。

 

 

 

で、今回の映画は鶴見の太鼓の踊り「エイサー」に出会った若者の青春ストーリーです。

 

第1作の「だからよー鶴見」の登場人物がそのまま登場して、その続編として、話が始まるので、

鶴見の沖縄タウンの世界にすーっと入ってしまう効果があります。続編にしたのは盛会でしたね。

 

前回は手作り感満載の作品でしたが、今回は編集もカメラ割りも飛躍的に良くなっていて、「映画」になってました。

 

これから公開される作品なのでネタバレは控えますが、良い話でした。

鶴見らしい。

 

鶴見は移民の街で、一作目はぶっとんでるキャラが多かったのですが、今回はぶっとびキャラも「すみっこぐらし」の仲間のように、しっくりなじんできて、自然体で、鶴見の良さが出てたなと思いました。

 

ガ―エーという、エイサー団体同士が道で行進して演舞ながら、他のエイサー団体が交差点などの道でばったり出くわすと、踊り勝負をするんです。それがガ―エーで、混じって興奮して!な感じになるのですが、映画ではソフトに仕上げられていて、見やすく仕上がってました。ガ

 

 

そのガ―エー相手に、本場沖縄の最も有名な園田青年会が特別出演したのは貴重でした。

 

そして主役を演じた平良秀海さん。若き日の佐野啓二に似てる!

戦後初期の日活の青春映画のスターのようです!

フレッシュです。目力がある。

が、まだかわいくてネンネちゃん的な可愛さがあるボーイ!です。

これはマダムキラーだ^^

 

ヒロインのいーどぅーしーのかーなーも、かわいい。

これスクーターで街を走ったら、「この広い空のどこかに」になりますね。

 

川田さんが、鈍くて渋さの出始めた中年を演じていて、チョンダラー(劇中ではサンラーと呼んでたのかな?)をされてましたが、

化粧するシーンは覇王別姫のシリアスなメイクシーンを思い出したり(というほどではありませんでしたが)、うわついてなくて、よかったです。今回の作品は青春コメディ映画で、ビターなテイストをどこで出すかといったら、川田さんがちらちらビターな演技を見せていて、年齢を重ねて、等身大の役柄を演じるというのは、俳優さんはどこかの段階でキャラ変をすることなので、覚悟が必要だと思いますが、マイナーチェンジした川田さん、悪くない!!

 

あと、優太さん、石川さん、野村さんがエキストラ出演されてましたが、一作目とうって変わって、リラックスした様子で、自然な演技をされていて「慣れてきたなあ」としみじみしましたが、映画に慣れてきたんですね。全員のことをよく知ってるので、PTA父兄参観のようにソワソワしながら見てましたけれども、拍手拍手!

 

にしても、監督の率いる劇団の皆さん、民宿チャーチもシリーズ20を超えて、もう完全に「愉快なウチナーンチュ」が体に入っていて、映画をみたお客様が「オールウチナーンチュキャストって珍しいですね」と言ってて「違いますよ。劇団員さんたちは」と「ええっ!」と驚かれてました。

 

演劇「チャーチ」の世界をそのまま鶴見の仲通りに持ってきて、わいわいやって、そこにウチナーンチュが加わって、より沖縄らしさを出しているという。

 

願うのは、沖縄の出身者はほとんど演技の素人さんで、劇団の皆さんは演技の玄人で、そこの差が、リアルウチナーンチュがとっとっるーに見えてしまうという現象が起きてました。

沖縄出身で役者さんとして専業で活動してる人も、次回は入れてほしいなあ(とリクエスト)