アメリカン・フィクション

(2023 米国 ゴールデンメイヤーズ)

 

アカデミー賞 5部門ノミネートだそうです。

 

黒人であることを全く売りにしていない、

純文学のインテリ作家で大学教授(講師?)の黒人セロニアス・エリソン。

出身はボストンで、兄弟は全員医者……って、

 

要するにアレです!

ボストンの黒人エリート!

 

「黒人エリート」ボストンの黒人という論文が出てますので、興味のある方はこちらをどうぞ!

https://www.jstage.jst.go.jp/article/americanreview1967/1998/32/1998_32_57/_pdf/-char/ja

 

 

エリソン先生のお父さんやおじいちゃんがハーバード大かMITを卒業したエリート黒人で、

超優秀であるために早い時期から周りの人から尊敬のまなざしで見られて、

1960年代には差別とは無縁な生活に突入していたセレブなブラックピープル。

 

最近の「Black Lives Matter」運動を見ながら「まだ差別とか言ってるの? ボストンにはもうないよ」といいそうな、

アイビーファッションに身を包んだ、セレブな文学博士で作家のエリソン先生のお話です。

 

 

 

 

 

プレッピーの休日って感じ。仕立てのいいシャツだなあ…

 

先生のボストンのご実家は、海辺に別荘も持ってたりして…

 

インテリセレブのエリソン先生の書いた小説は全然売れてなくて、

やけになって酒を飲みながらふざけて書いた、

いかにも「ブラザー」の犯罪、泥棒、バイオレンス、

YO!YO!なステレオタイプの黒人小説を

匿名で出版社に売り込んでみたら、バカ受け!

ベストセラー作家になってしまうという。

 

ガールフレンドは女弁護士で、アメリカンスマイル

 

 

ボストンのプレップスタイルのお洒落なエリソン先生が、偽りの黒人ブラザー匿名作家になりきって、

世間を欺いて「ブラザー!」としてインタビューに答えるけれども、中身は超インテリという、本当に変なお話!

 

ストリートファッションも、極秘の打ち合わせの時に、

いかにも!な黒人ブラザーが着そうな服も持ってないから、

チノパンにとりあえずグレーのTシャツで現れて、ブラザー感を出してるつもりで、

 

だけど立ち居振る舞いも好きな飲み物も、なんだから育ちのいいセレブが好むものだったり、

「あれ?あなたブラザーじゃないんじゃ?」というところで笑わせるストーリーで、

 

ウッディアレンか?!な映画でした。

 

 

 

  エディマーフィーのホワイトハウス狂騒曲とはテイストが全く違う

昔、エディマーフィーの「ホワイトハウス狂騒曲」とかいう映画があって、

当時「オレオ」と呼ばれた、外見は黒人だけど中身は完璧に白人!の

エリート黒人の上院議員の話がありましたけれども、

あれと似ているようで、全然違うテイストのお話なんです。

 

あれは「選挙で受けるにはどうしたいいか」的なところがまたギャグになっていて、

だけどその黒人上院議員は白人と同じ生活をしてるという話ですが、

「アメリカンフィクション」は本物のエリート・黒人セレブのお話なんです。

 

 

エディマーフィー♪

ホワイトハウス狂騒曲 [DVD]

 

 

 

ボストン眼鏡っていうじゃないですか。

ボストンってハーバードやMITがある街ですから、眼鏡はボストンの人の象徴!

 

 

[Hodopus] ブルーライトカットメガネ ボストン型 カット率99% UV420 ブラック UVカット

エリソン先生もボストン眼鏡がよく似合う

 
 

 

  沖縄の黒人はヒップホップな米兵、東京の黒人はスーツの大使館員
 

 

どこの国にも、なんというか階層があるんですね。

 

東京に住んでるブラック・ピープルの皆さんは、スーツを来て、ビジネスエリート!という感じの方が多くて、

日比谷のミッドタウンや麻布のお洒落なカフェで、ブルックスブラザーズのスーツでベーグルを食べてる感じの方が多いんです。

 

どこかの国の大使館員だったり、世界中を飛び回るグローバルカンパニーの社員なんだろうなあ!という雰囲気を漂わせています。

フランス語で会話をしている方もいるし、立ち居振る舞いもスマートで紳士的!

 

女性の方も本当に素敵な方が多くいらっしゃいます!

淑女!品格を漂わせ、知的でエレガンスで、素敵な方が大勢いらっしゃいます。

 

 

沖縄に駐留している米兵のブラックピープルの皆さんは、ご陽気!カジュアルなライフスタイルを好む庶民! 

YO!ブラザー!という感じの方が多くて、ピアスとか普通にあいてるし^-^ 

 

 

私も、ビーチの公園で、ムーンウォークとかブレイクダンス、習ったことありますけど、陽気でカジュアルな人達なんです。

 

米兵は公務員だから、犯罪者ってことは、さすがにないから(たまに少年院帰りは混じってるそうです)、

まともな兄さん姉さんたちで「日曜には教会に行く!」という、善男善女の皆さんですけれども、まあ庶民!

 

(一部、嘉手納米国空軍の方に、セレブリティだなあと感じる方々がいらっしゃって、たまにドレスアップして、

タキシード姿で奥様をエスコートして、オペラ鑑賞に沖縄の劇場に繰り出してくるブラックピープルの方、よくお見掛けします。)

 

 

 

  エリートは「エリート」で結束する。人種では固まらない
 

 

エリソン先生はその庶民のみんな、私が沖縄でお友達になった黒人の皆さんとも階層が違う、超アッパーな人なんですね。

「ブラックマター? 知らん。少なくとも私のまわりに差別はない!」と言えるくらい、長いこと差別とは無縁の生活を送ってる黒人さんたちなんです。

 

エリソン先生が化けたのは、ストリートで犯罪をバンバンやってるようなブラザーという設定で、匿名小説家デビューしてしまって、「先生、むちゃくちゃやっとりますがな!」なお話ですから、バッドジョークというか、過激なことしちゃいましたね。

 

 

今年の米国アカデミー賞の作品賞、主演男優賞、助演男優賞、脚色賞、作曲賞の5部門でノミネートだそうです。

 

エリソン先生、大学教授ですから!

 

この話、80年代のブルックリンの白人の主役の映画にありそうな生活環境で暮らす先生が、
上品で知的で、多様性文化で理解と配慮が徹底されている大学のソサエティと街の様子が描かれていて、
 
そんな社会で生きてるアメリカ人の作家の黒人の先生が、
「ステレオタイプの黒人を演じた方がエンタメ的にも文壇的にも有利だ!」とぶっちゃけてしまって、
お母さんを介護施設に入れるたけのお金を工面するために、「ブラザー」覆面作家デビューしてしまうという、
なんちゅーことを考えるの!という(爆笑)
 
 
正直いうと、先生が演じてるブラザーにブラザー感は薄かったです。
ドラマの「エンパイア」みたいなノリを期待してしまったので、

ずっこけまくりでした。

だって、先生ったら根っからスマートで育ちの良い人なんです。
上手くできるわけない。
 
けど、やる!という。

 

いいのか、こんなむちゃくちゃして!
と、観終わった後、話がとても盛り上がりました。
 
 

 

  ステレオタイプを、なめんなよ!

 

「ステレオタイプ」のウチナーンチュを演じている私(演じてる気はないのですが)には、
実は「わかる!」「わかる!」の連続でした。
この映画の話で1週間は酒が飲めるな!という作品でした。
 

ステレオタイプを演じる、というのもちょっと語弊があるのですが、

東京に住む地方出身者は、特に大阪の人と沖縄の人は、多かれ少なかれ、

「ステレオタイプ」の大阪人・沖縄人を、期待されて、やってる人、少なくないと思います。

 

私は沖縄出身者なので、つい、サービス精神でステレオタイプの「ウチナーンチュ」を

無意識で演じてることがあります。

 

だから、この作品を観て、「オキナワに置き換えて、ウチナーンチュバージョンは作れる」と興奮してしまいました。

 

 

  ウチナーンチュのステレオタイプをギャグにした映画を撮りたくなった
 

 

私は那覇の出身で、那覇とくに首里(お城のある山手)の影響を受けている人達は、
実は、沖縄ではあまりカチャーシーを踊らないんです。
公務員気質が強いというか、裏方志向の人達が多いので、
式典やパーティで踊るのは「主役とゲストと演者」なんです。
 
私も東京に出てくるまでは、ほとんどカチャーシーをおどりませんでした。
今は「カチャーシー? がんがん踊りますよ!三線も弾きます」と満面の笑顔で皆さんにお話します。
(これは「ステレオタイプ」のウチナーンチュになってしまったと自覚してる事柄の一つなんです)
 

なのですが、カチャーシーは、今も、旧首里士族や旧那覇士族の人はかたくなに踊らない方がまだいらっしゃいます。

 
実は私もカチャーシーを踊る習慣がありませんでした。
私がカチャーシーを踊るようになったのは、上京後、東京沖縄県人会などに顔を出すようになってからです。
 
東京でも「東京那覇会」は、
余興で三線の演奏や舞踊はあったとしてもそれは「古典」に限定されて、クラシック音楽で、
カチャーシーなんてとんでもない……という感じだったそうです。
まあ、今はちょっと変わったかな。
 
東京でカチャーシーが大変な盛り上がるのは、
八重山郷友会、宮古郷友会、竹富島郷友会といった、島々の郷友会です。
 
あと「東京沖縄県人会」。
東京沖縄県人会には那覇出身者も離島出身者も等しく集まってくるから、
奇跡が起きて、那覇出身者も首里出身者も一緒になってカチャーシーを踊るんです。
 
東京に出てくる離島出身者というのはそれぞれの島のエリートで「リーダー」なんです。
彼らは島に帰ると、村祭りの運営委員だったり、地域の班長なんですね。
村祭りは、デイケアや老人ホームのない島では「お年寄りと子供を楽しませる」行事。

これらの運営、神事やお祭りで島の人達を楽しませるのはリーダーの仕事なんです。

 
だから、東京沖縄県人会のカチャーシータイムになると、
各離島出身のリーダー気質の皆さんが一斉に立ち上がって「さあ踊りましょう」と皆さんに声かけをして、
おじいちゃんおばあちゃんを立たせて、踊り出すんです。
 
離島出身のリーダーシップに感動して、彼らをリスペクトして、
那覇・首里出身者も「よお~し!」と奮起して、ナーファンチュの我々も、
にわかデイケア・スタッフとして、リーダーシップに賛同して、
一緒に離島出身者とカチャーシー!、一生けん命おどるんです。
 
そうやって、私はステレオタイプの「ウチナーンチュ」になっていったんです。
誇りをもってね!

 

あっ!話がずれた!

 

 

 

  英語の勉強したい、アメリカ行きたいな~♪

 

 

エリソン先生が、小説のタイトルにした「病理」という難しい単語のスペルを、
わざとスペルを間違えて入力しなおしたりという、細かい設定がなされていました。
 
私、「病理」という単語自体知らないので、ただワープロを打ちなおしてると思ったら、
「病理」という単語を、わざとタイプミスして再入力してたらしんですね、先生が。
教養のないストリートの黒人が小説を書いてる感を出すように。
 
 
そういう、細かい描写がたくさん盛り込まれていたようです。こういう、細かい描写の意味に私は全く気が付いてなかった
ようで、無念です! アメリカぐらいは留学しておくべきだった!

 

(どうも「哀れなるものたち」もそういう、細かいことが分かってないと笑えない作品のようです)。

 

ちゃんとこういう映画の背景は理解した上で、改めて映画の世界、堪能したいなあ。

 

ネイティブがこの作品のどこを見てるかというポイントを知れば知るほど、

5作品にノミネートされるだけの、精密に作られた脚本の作品で

役者さんたちも良い演技をしていて、外国人には理解できないかも、という部分があることを

理解できるようになりました。

 
ただ、これの映画はともかく語れます!
お酒を飲みながら、友達と語り合いたい方にお勧めです!
 
コピペしてきました。

 

作品賞  
主演男優賞 ジェフリー・ライト
助演男優賞 スターリング・K・ブラウン
脚色賞 コード・ジェファーソン
作曲賞 ローラ・カープマン

この作品に出ている役者さんも監督さんも超高学歴な人達なんだそうです

まあ、そうでしょうね。ハリウッドの第一線で活躍してる役者さんて

めちゃくちゃIQ高いそうですよ

だって、世界のトップオブトップだもの!