ども、カレー探偵、やみちゃんです。
善良なるカレー市民の皆さん。
カレー探偵事務所は無事に再開しています。
私「・・・昨日の随筆は事情によりUPから数時間後に非公開とさせていただきました。カレー市民の皆さんに不安を与えてしまい、申し訳ありませんでした。全ての責任は私にあります。ここに謹んでお詫び申し上げます」
<ある日のDIL>
最近、なにかと衝撃的な出来事が多かった。
僕は、傷ついていた。
ひとには見せないけれど、もちろん弱い部分もある。
そんな日には、やっぱりあの店に足が向いてしまう。
メガネ兄貴「イラッシャイマセー」
どうやらポール店長は不在のようで、総料理長のメガネ兄貴が一人で店を守っていた。
(なんだか、あの頃に戻ったみたいだね・・)
数年前、DILにはメガネ兄貴しか居ない時期があった。
そしてそのころの僕は、ひそかにメガネ兄貴に想いを寄せていた。
メガネ兄貴「コフタ食ベル?」
いきなりだ。
開口一番、何も言わないのに、強引にカレーを1つだけ指定してくる。
これがメガネ兄貴流。
信頼関係からの”あうん”の呼吸。
返事を聞くまでもなく厨房に消え、コフタの準備を始める彼。
通常DILには日替わりパキスタンカレーが3種類はあるし、ポールであれば客に自由に選ばせてくれる。
メガネ兄貴はちょっと違う。
なんというか、ちょっとだけ強引なんだ。
僕は”ちょっとだけ強引なタイプ”に弱い。
・・何だか胸がくるしい・・。
<日替わりコフタ>
きっとメガネ兄貴はその日一番のオススメを食べさせてくれるのだろう。
だからいつも選択肢が1つなんだ。
今回のコフタ(ミートボール)は、ビーフだった。
ビーフの旨みとショウガの爽やかさが異常。
(これは、たしかに今日の1番のオススメだね。ありがとう)
パキスタン指数=90のパキパキなカレー。
カレーのベースはコルマと共通で、ヨーグルト感もある。
ベジタブルプラーオも付いて、ロティも付いて。
僕は腹一杯に彼の手作りカレーをいただいたんだ。
<カレー談義>
ポール店長が店に来てから、僕はポールともよく話すようになった。
ポールは日本語がすごく上手だし、会話もうまい。
カレー女子の憧れの的だ。
一方で、メガネ兄貴は日本語がそれほど得意じゃあない。
だから、カレー談義はポールにまかせて、自分は厨房に入り浸ることが多くなっていた。
僕はメガネ兄貴のことを想いつつも厨房の中の彼に声をかけることが出来ず、ヤキモキしていたんだ。
ポールと談義するふりをしながら、こっそりメガネ兄貴をチラ見していたり。
そうそう、一度メガネ兄貴が”メガネ”を外していたことがあった。
もう、僕は狂喜乱舞。
ここぞとばかりに素顔をガン見したっけ。
素顔も超かっこよかった!
ポールがいるときはあまり話せないけど、今は僕と彼の2人ぼっち。
(他の客は風景の一部にしか感じなかった)
意を決して、カレー談義をしてみたんだ。
<メガネ兄貴の100のこと>
「メガネ兄貴、今日のコフタうまかった。ありがとう」
メガネ兄貴「アリガトウゴザイマス!」
ニッコニコの笑顔。
ちょっと強引なくせに、その笑顔はずるいよ。
でも、これで一瞬にして以前の僕たちに戻った気がした。
それからガッツリ談義を楽しんだ。
幸せだった。
・メガネ兄貴の1番好きなカレーは「ビーフパヤ」。
・メガネ兄貴はパキスタンの最大都市カラチ出身で、都会人。
・メガネ兄貴にはパキスタンに妻子が居る。
・メガネ兄貴はロティよりナンが好き。
・メガネ兄貴曰く、「パキスタンでは都会人はナンしか食べない、田舎の人と子供だけがロティを食べる」。
・メガネ兄貴はナンばかり食べていて太ったけど、ダイエットでロティに変えてから激やせした。(腹がぺったんこになった)
・メガネ兄貴は実は俗物的で享楽的な性格。
・メガネ兄貴はビンロウを愛好する。
・メガネ兄貴は富山県で初めてカニを食べた。イマイチ好きになれなかった。
・メガネ兄貴は和食が口に合わない。
・メガネ兄貴が一番好きな日本の食品は、山崎や敷島の菓子パン。
・メガネ兄貴はラクダを1回しか食べたことがない。「あれはアラブ人が食べるものだ」。
などなど・・。
メガネ兄貴トリビアは、あと100はあるんだけど、この辺にしておこうかな。
<叶わぬ想い>
そのあと、ポールが戻ってきた。
郵便局に用事があったみたいだ。
ポールが来るとメガネ兄貴は厨房に戻ってしまった。
夢のひとときは、あっという間。
ああ、苦しい。
カレーが美味しすぎて苦しい。
こんなに美味しいのに、なぜ僕の胸はこんなに苦しく張り裂けそうなんだろう。
太陽もかがやいている。花も咲いている。
鳥は謳い、風は頬をなでてゆく。
だけど胸が痛い。
「こんなに苦しい想いをするくらいなら、カレー探偵になんてなるんじゃなかったよ・・・」
一度はあきらめ、尊敬にかわりつつあった想い。
僕は自分をごまかし続けていた。
どうしてもあきらめきれない。
あのメガネの奥にきらめく輝き。
分かっていたはずだ。
本当は・・・。
僕は最初の傷とは別の傷を抱えながら、家路についた。
「この胸の痛み、嫌いじゃないけど・・ね」
(つづく)
<レバーいかがですか?>
そういえば、このカレーを報告漏れしていました。
鶏レバーのパッキパキなカレーです。
カスリメティもガン入りで、レバー好きにはオススメですね。
※今回の随筆は事実を元にしたフィクションです。
実際の人物には関係がない場合があります。ご了承下さい。
※次のカレー活動は、あの店です。
★ブログの人気ランキング参加中です!
記事が参考になりましたらポチっとお願いします。
↓ ↓ ↓