東京イボンヌの復活公演「イッヒ リーベ ディッヒ」を観劇してきた。


この劇団は私が役者だった頃に一度出演させていただいた劇団で、主宰の福島真也の変人ぶりもよく知っている。

「演劇で飯を食う」システムを本気で創ろうとしている男だ。私も劇団員だった頃に、そんな夢を描いて「演劇で飯は食えない」と結論付けた男なので、実に興味深い。

彼が今までの演劇人と違うところは「演劇で飯を食う」ということを大々的に喧伝しているところだろう。夢や希望、もしくは目標として抱いている演劇人は多いと思うが、なかなかここまで宣言できる人間はいない。

 

それにしても彼の人間力は素晴らしい。

私が出演した作品でも「よく集めたなあ。」という共演者が出ていたし、今作品もキャスト、演出、に小劇場で名前のある方々を揃えている。しかも、役者以外の制作陣が充実しているという巷の小劇団にとっては実にうらやましい環境が整っている。

そして、その結果・・・初日よりはるか前にチケット完売という、事実上の旗揚げ公演としては最高の舞台を創り上げた。

これも、全て福島真也の人間的魅力によって生み出されたものだろう。

プロデューサーとしての福島真也の技量に敬意を表する。

 

ただ・・・

 

残念なことに・・・

 

彼の人間的魅力がそのまま作品の魅力に繋がるというわけではなかったと感じてしまったのだ。

 

何が悪かったかと説明するのは難しいが、一番はキャラクターに感情移入できなかったことだろうか。

特に現代のシーンでは一人も気持ちが理解できなかった。理解はできなくても、「人間なんてそんなもんさ。」と納得できればよいのだが、それさえもできなかった。役者が芸達者なため、一つ一つのシーンでは成立しているように感じるのだが、一本の線として考えると、非常にちぐはぐしているように感じられた。

映画「風立ちぬ」の妻、ドラマ「半沢直樹」の上戸彩、ロンブー淳の嫁さんなど、「献身的な女性」がちょっとしたブームになっているかもしれないが、いくらなんでもこの作品に出てくる女性達は許しすぎなのではないか。愛をテーマにしているのに逆に愛が全く感じられなかった。

それに対して、ベートーベンのシーンはなかなか見応えのあるものではあった。ベートーベンの変人ぶりには整合性があったし(なんか矛盾した言い方だが・・・)、マリアの愛も伝わってきた。ただ、出版社社長の語りのシーンでの手振りは余計に感じた。軽く見えてしまうので、直立不動の語りで勝負してほしかった。

役者さんで目を惹いたのは犬飼役の役者さん。そこにきちんと存在していた。他の役者に比べて演技プランが見えなかった。演技プランが見えてしまうと、客は一気に冷めてしまう。

演出面で気になったこととしては、冒頭のプレゼントが降りてくる仕掛け、ベートーベンの歌い手の招き入れ方はもう少し工夫できなかったものかと思う。


とりあえず、思いつくことを乱雑に書いてみた。

 

本気の人間なので、愛を持って正直な感想を書いた。

辛口の感想になってしまったが、福島真也が小劇場界で今までいなかった唯一無二な存在であることは変わらないと思う。

 

だから、次回まではお金を払って見に行こう。評価は持ち越しだ。

 

「プロデューサー」福島真也が「脚本家」福島真也をどう見ているか興味深い。

 

 

 

 

なぜか、急に柔道のコーチをしなければいけなくなった。

やったことないのに!

しかも、相当優秀なコーチであるという設定でやって欲しいとのこと。
なんだそれ?
稽古前に盛大な歓迎会も受けてしまった。

仕方ないので大学の柔道部に体験稽古に行くことにした。

どうなることやら。










と、いう夢から目覚めた朝。

ちなみに、教える相手は亀田三兄弟だった。