◎歩く、ということを見直すとき、靴の問題に必ずぶつかります。
東京新宿「靴は売らない靴屋」 西村泰紀です。
人間という動物にとって、歩くという動作は基本動作です。
立ち続けること、座り続けること、寝続けること。
これは相当にしんどいです。
カラダを動かしていないと、同じ姿勢を保つことは、非常な苦痛を伴います。
一方、水とエネルギーになる食べ物があれば、歩き続けることができます。
ただし、効率の良い使い方をしないと、筋肉や関節に負荷がかかり、歩けなくなります。
日本人はこれが上手だったと言われています。
江戸時代の飛脚の記録があります。
大阪の堺から江戸まで約530キロを三日で走れる飛脚便があったとか。
参勤交代の平均移動距離は約38キロ。
お殿様をかごに載せて、毎日38キロ歩いて移動した。
盛岡藩、仙台藩、加賀藩には平均11里、約45キロなんて記録があります。
筋肉や関節に余分な負荷をかけない歩き方をしてきたから、人類はアフリカから全世界へと広がることができたのです。
特に日本は、乗り物の発達が明治時代までほぼありませんでした。
だから、かなり身分の高い人も、歩いて移動する社会だったのです。
みんな歩いて、超長距離を移動していた社会です。
だから、日本人の足は、幅広甲高のガッチリした足だったと言えるのです。
戦前戦中育ちの人が現役だったころ、その人たちもまだガッチリした足でした。
だから、日本の靴業界は、幅広の靴を作っておけば良かったのです。
しかし、高度経済成長期以降、急速なモータリゼーション社会の広がりと鉄道網の発展で、日本人の歩く量は大幅に減ったと言われています。
さらに、畳の上の生活から、フローリング、椅子の生活に変わり、トイレも洋式に変わる中、「足で踏ん張る」ことがなくなってきました。
足の西洋化が一気に進んだと言えるのです。
そのため、特に女性の足は、長く、広く、薄くなり、指が長く、カカトが小さくなったと言われています。
特に長さと、太さ(広いけれど薄い)の変化は、統計上ハッキリしています。
今の日本人女性の足は、決して、絶対に、「幅広甲高」とひとまとめに理解してはいけないのです。
「あなたの足は幅広甲高、日本人の典型ね!」と言われて育った女性が、今、靴が見つからずに苦しんでいます。
靴ジプシーと自虐的におっしゃっている方の中に多いです。
子供のころから言われていたこの言葉の呪縛に囚われているのではないでしょうか。
二足歩行によって手に入る機能、つまり、歩くことで、循環が促進され、体温がつくられ、代謝が上がり、神経が活性化します。
だから、最近では大きな手術をしても、翌日から歩くリハビリをしたり、老化防止に歩くことが推奨されています。
さて、ここでいう歩くという動作は、裸足で何のストレスもなく歩く時の、足の使われ方をする時の話なのです。
解剖学的に、機能的に、人間の足は歩く時、筋肉はこう使われて、こう連動する・・・・はず!!
ということを前提にしている話です。
足に合わない靴を履いて、この前提通りに筋肉が使われているのか?
使われているのか?ではありません!
使えないのです。
歩くのが得意であった日本人が、今は、歩くのがへたくそな民族になってしまいました。
理由は、足に合わない靴を履いていても、それが当たり前だと思わされているから。
足に合わない靴を履いて歩く時、本来の筋肉の連動が起こらない。
だから、合わない靴で歩いてはダメ!!
そう言ってくれる、トレーナー、整体師、整骨院、マッサージ師、フットケアサロン、そのほか、カラダにまつわる仕事をしている人がどれほどいるのでしょ?
正直に発言します!!
カラダの仕事をしている割に、靴には無頓着というか、正しい靴のはき方すら知らない方がとっても多いです。
その分野の専門教育の中で、歩行のメカニズムは教わると思います。
しかし、それは机上の知識です。
実際に合わない靴を履いているとき、その知識通りの動きができるのか、体感として理解していない方が非常に多いのではないかと思います。
足のサイズデータについて、無料メールマガジンに書きました。
正式な大規模統計データに基づいた記事です。
明日、7月7日(アッ!七夕ですね^^)夜20時に配信します。
プロ系の人にはちょっとキツイかもしれませんが、ぜひ読んでみてください。