今日は面倒なので、夕飯はカップめんだ。ちょうど生協からマルちゃん赤いキツネ関西風が箱で届いたのだ。

昼から保育園の子が遊びにきた。ここ3週間ほど、土日はいつもうちに遊びに来る。こうじくん、アオイくんにいじめられたんだよと自分で自分のことをチクリに来てかわいい。保育園の兄弟2人と小学4年生の子がセットだ。小4の子はインターナショナルスクールに通っているので、近所に友達がいない。だから保育園の子とうちの子どもと遊んでいる。かわいそうだと思う。

そういうわけで、男のばかり4人、土日になると見ているこっちが疲れるほど遊び回っている。近所の公園と家とを何度も走って往復し、坂の下の笑い声がだんだん近づき、バタバタと走る足音、ドアが開くなり笑い声が家の中を子犬のように転げ回る。

何が楽しいんだか……おい、そっちの部屋入るな! 危ないぞ、薬品やら何やらあるからな!

「ほら、コブラ」

いいから出てこい! 瓶詰めの蛇なんか見せるなよ、保育園児に。

「刀もあるんだよ、本物だよ」

だから危ないの! 刃は入ってないけど、切れるぞ。何? それ? 手裏剣。忍者の。とにかく出てください、いいですね。……だからそんなの引っ張り出すな! かあちゃんのパンツだろ、それ。キャキャキャじゃねえよ、まったくもう。

そうやってバタバタと一日が過ぎ、子どもが先にカップめんを食べた。夕飯はそれでいいらしい。嫁によるとその前にパンを2枚食べ、イチゴを食べているから十分だ。

夜になり、私の腹が減ったので、カップめんを食べる。

「いいなあ」

お前、食ったんだろ、さっき。

「オレね、きつね狙ってんの。いい? もらって」

ごめん、唐辛子入れて辛くしちゃったよ。

「うーんダメかあ。お腹すいたよ」

またカップめん食べるのか?

「白いご飯食べる」

炊かないとないなあ。

「じゃあいい。あ」

何?

「パン見つけた。パンでいい」

そう? じゃあ焼くよ。

何やって遊んだの、今日?

「オ二ごっこと隠れオ二とだるまさんがころんだ」

何でさっきこうじくんたち置いて公園行っちゃったの?

「オ二ごっこイヤだって」

一緒につれていきな、お兄ちゃんだろ。

「は~い。あのね、半分チョコ塗って、半分だけ」

? 残りは?

「ジャム塗って」

シャレたこと言うなと思いつつ、2色に塗ってやる。

「ナイフ、ナイフ」

? あ、パンを切るのか。わざわざ2つに分けなくても。

「いいの!」

別にそのままで、まあいいや。

食器を片づけ、2階に上がろうとすると子どもが、まだ食べたいと言う。

もういいだろうよ、今日は寝て明日の朝な。朝、いっぱい食べよう。きつねうどんと

「やった! きつねうどんと」

白いご飯と

「白いご飯と」

あとは? ウィンナー食べる?

「食べる!」

じゃあウィンナー。

階段を上がり、嫁の顔を見るなり、子どもが叫んだ。

「明日の朝はジャ~ン! すごいです! きつねうどんと白いご飯とウィンナーをたべます!」

きょとんとしている嫁に、畳みかけるように、

「いいでしょ~」

あはは、健康なバカだ、うちの子だ。


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川口 友万
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2010年11月11日



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大人の怪しい実験室

4.47点 ( 34人中)

川口友万
データ・ハウス
2009年7月23日