日曜日、富士山に行き、どんぐりの種をもらってきた。某浄水器メ
ーカーの植林支援事業の取材だ。

富士山も他の山も針葉樹林だらけで広葉樹林は少ない。国産木材を
使いましょうと杉やもみを高度経済成長に植えまくったためで、お
かげで国民全員花粉症。自然をなめてかかると予想しないことが起
きるというのがジュラシックパークの教訓だが、恐竜が出てこなく
ても、日本人はそのあたり十分に理解していてしかるべきだ。鼻を
ぐすぐす言わせながら、誰も林野庁に訴訟を起こさないところが日
本人。というのも、これ、終わった話ではなくて、いまだにヒノキ
やスギを植えているのだ。だから官僚はバカだというのだ。近所の
デニーズのウェイトレスより気が利かない。

鹿が爆発的に増えているのだそうだ。雪が減っているためだ。鹿は
秋に子どもを産み、オスの半数が冬を越せずに死ぬ。それがいい具
合なのだそうである。ところが冬が暖かいから死ななくなった。し
...もオス1匹にメス10頭前後のハーレムを作るから、オスが増える
と子どもが幾何級数的に増えてしまう。

地球温暖化って本当だったんだな。

どんぐり、ちょっといい話。シイやブナの実がどんぐり。どんぐり
はとても乾燥に弱い。乾いたところでは、よほど条件が良くないと
死んでしまう。どんぐりなんて、水に入れればすぐ芽が出ると思っ
ていたら、そういうものじゃないそうだ。

乾燥に弱いから、植物だって考える。

「親木は子どもが乾かないように、さきに子どもを落として、その
後、落葉して上から布団のように落葉で覆ってしまうんです」

と広葉樹の植林をしているNPOどんぐりの会の方。なるほどねえ
。葉っぱで蒸発を防ぐんだ。ついでに、どんぐりは木の子どもだと
教えてもらった感じだ。種を木の子どもと思ったことがなかったの
で、新鮮だった。

植物もいろいろ考えて、彼らなりの親の愛で子どもを守っているの
だ。

富士山は火山灰の土地なので、植物の生育にとことん適さない。森
の木々はひょろひょろと頼りない。しかしその中にポンと太い幹の
木がある。それも一抱えどころではない巨木だ。

さまざまな幸運が作用して、樹齢300年クラスのそういう木が生
まれる。がらんとした森の中で、その木だけが力強い。

大きな木を神木として拝む心理がわかった気がした。この幸運を分
けてもらおうというのだな。この一本だけを生かしてきた神の摂理
にあやかろうというのだな。

パワースポットってこういう木の生えたこの場所じゃないかと思っ
た。そこは生命の生育に適したミラクルな場所だ。

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