18歳の私にとって、非常階段とは
好きなひととミントなキスをした場所だったはず。

なのに今となっては…夕食後のカロリー消費とリハビリを兼ねて
ゆっくりゆっくり昇るマンションの非常階段、なのである

そして最上階の廊下で、ご褒美休憩。
もうすぐ冬がくると告げる夜風の声を聴く。
最上階といっても、たかだか5階なのに、それでも夜景がひろがる高さに身を置くと
足がすくんでしまう。

高所恐怖症ではなかったはずだけど、
雨水を流すため、少しだけ傾いた床を、
前よりずっと「気をつけなければ」と体の芯がふるえてしまうのかも。。。

小指の先ほどに光るスカイツリーと下町の高層マンションの赤い灯を眺めて
ふと、このまま何事もなく、
夏の花火に見惚れられる街でありますようにと祈る。


そして自宅のフロアに降りたとき、
私の日常はまた、始まってゆく。
同じ屋根の下でも、旅はできる。


ここまで読んでいただいて、ありがとう