水曜日はここ3年以上「出張施術日」です。

出張先は、先日のブログでお話しした80代の男性患者さんに紹介して頂いた50人ほどの方のおひとりのお宅です。

 

脊髄小脳変性症を主とし糖尿病を始め、左硝子体出血・右目黄班変性症(手術、両目はほとんど視力がありません)・脳内出血・・・etc.

どれか一つだけを患ったとしても大変な病気を、これほどおひとりで引き受けておられると思うと、いつも施術をしていても「言葉」がありません。

 

で、今日の施術が始まった途端に・・・

「先生の手は『神さんの手』やなぁ~。ほんまに不思議やぁ~。」としみじみと独白されました。


「・・・・・。」

つらい言葉です。

胸が痛みます。

 

確かに、一週間に一度の私の施術日をとても楽しみにして待って頂いている、ということは家族の方々から聞くまでもなく、ご本人の様子を見ていればよく分かります。

 

施術を始めてから、それまでベットで取っていた夜のトイレも車いすに乗り換えてトイレで用を足されたり、仰向けでしかいられなかった姿勢が長時間でも側臥でいられるようになっています。

脊髄小脳変性症と言う病気を私自身はあまり知らないのですが、病院の先生は「痛みの病気」だと説明しているようです。が、病院の先生が不思議がるほど「痛み」が出ていませんし、その事をご本人もとても喜んでくださっています。

それでも施術日によっては「強いこわばり」でつらそうにしておられるんですが、施術後はホントに嬉しそうに「楽になりました」と、喜んでくださってます。

 

でも、ただそれだけの事です。

「それだけの事」です。

 

壁伝いにでも、歩いて頂きたいんですが、今も「車いす」です。目は、やはり「見えない」ままです。

左手は、硬直したままです。

 

それでも、今日もお邪魔するといきなり、「デーケアのリハビリの先生に、Uさん、最近カラダが随分やわらかくなってきはったね。足も真っすぐ出るようになってるし、って驚かれたんですわ。」

と嬉しそうに…先生のお陰だ、先生のお陰だ、と真っすぐに喜んでくださいます。

 

そういう「患者さんの言葉」の前では・・・施術家・・・としては、

「穴があったら飛び込みたい!」心境です。

 

私の手が「神さんの手」???

 

来院される患者さん(と言っても、70代以上の女性の方々ですが)が施術後、手を合わせてくださったり、施術後涙を流されることがあります。

でも、それも「それだけ」の事です。

もっと言えば、そんな結果は「たまたま」かもしれません。

 

私は私の「素性」を誰よりもよく知っています。

自分がどんな人間か、どんな「始まり」から進んできたのか・・・よく知っています。

 

施術家としてのスタートにしても、全然治すことができずに、と言うよりも・・・当時の自分は、人が他人の何らかの「ツライ症状を治す」なんて事自体に、懐疑的でした。

(今もそうかもしれません。「人が人を治すなんて、驕った考えだ。」と、今でも心の底ではそう思っている。)

「治癒なんて、時間の中で自然に起るんであって、2~3ヶ月ほど整体法を習ったからと言って『それ』が一体なんなの?」と言う感じでした。

 

でも、施術家として「生きていかなければならない」と言う選択肢しかなかった当時の自分が、人から呆れられるような破天荒なやり方で・・・ホントに「生きる為に」、自分と言う施術家を「作って」来た。

そんな感じで、「今」に至っています(苦笑)。

 

で、昨日の出張での3人目の施術の直前に、突然の携帯メール・・・。

「スミマセン、出張中に。腰が・・・アウトです!<中略>今から仕事に行きます。自分でも頑張りますが、お時間があれば遠隔してもらえませんか?」

まぁ、ここのコメントを頂いているキララさんなんですが・・・(笑)。

 

と言う事で、短いメールを返して、3人目の患者さんの施術に乗せて「遠隔」をすることに。

対面施術の患者さんの施術に乗せてキララさんにも届く分だけ(笑)、という感じで

ご本人の症状と、キララさんの腰痛を施術。

途中、キララさんのほうは「まずまずの反応」。で、患者さんのほうも施術後、いつもと同じ「いい結果」が。

 

夜、キララさんからのメール

「今仕事終わりました。<中略>昼間よりもましになっています。ただ・・・腰は少し曲がって伸びません。」

 

と、言う事でこちらからメールで、「電話を頂ければ今ならすぐに遠隔しますよ。」

で、キララさんから「元気な電話」。

 

話を聞くと、昼間、バドミントンでヤッチャッタ時よりは随分「楽」とのこと。

「もうこれ以上を望んだら、申し訳ない感じなんですが・・・。」

でも、動診すると明らかにお辞儀の動作で左腰に痛みが残っている。

電話を一回、患部に当ててもらって・・・、

 

「ないです!どこにも痛みはないです。あはは・・・。普通に動けます。」

 

 

「施術」は「塗り重ね」です。一日寝て起きて、どうか?と言う事もありますから・・・。

「明日は私用で一日中少し出てますが、何かあったら携帯に電話くださいね。すぐに診てあげますよ(笑)。」

 

「治る」「治らない」は、単なる守備範囲の問題です。

それが守備範囲のボールなら、難なくキャッチできますが、それを超えているならボールに触ることすらできません。

人として、施術家として「出来る事」は・・・「治す事」ではなくて、自分の今の「守備範囲」をいかに広げるかを精進する事です。

 

で、その精進の「仕方」が・・・私にとっては、とても、とても、難しい。

 

 

 

 

 

 

【注意】

※「REN空術」は登録商標です⚠️

「REN空術」の名称は商標登録で保護されています❗️

RENで一定の研修を受け厳しい認定基準をクリアし認定されたREN空術師(または上級REN空術師)以外の者が「REN空術」の名称を使うことは法律により禁じられています。