童話・子鬼(文・HIROAKI/絵・SUIREN)
独りはぐれ
人里に
迷い込んだ子鬼
山に逃げようと
一生懸命
運悪く
足をくじき
人間に取り囲まれて
豆をぶつけられ
石をぶつけられて
やがて
死にました
何度も血を吐いて
死にました
言葉にならない声で
叫んでいました
『許してください』
『許してください』
『痛いよ』
『痛いよ』
『苦しいよ』
『苦しいよ』
『おかあさま、助けて』
『おかあさま、助けて』
命尽きる最期まで
涙を流しながら
叫んでいました
人間の言葉など
知る由もなし
話せるはずなどなし
『鬼のくせに
花なんか握ってやがる!
気持ちわりい!』
早く首でも
切り落としちまいな!
手には
おかあさまの
誕生日プレゼント
桃の花
以前
節分の日に
『子鬼の死』
というタイトルで
創作したものです
画家・SUIRENの絵が
付きました。
人は
イデオロギーやら
外見、考え方
様々な枠組みを作り
群れを形成します。
国家、人種、宗教、思想、会社
など多種多様多数
群れることは
人が生き残るための
手段であり、
一部、生物としての
本能でもあります。
そして
群れは
追い詰められたら
生き残るために
他の群れを排斥します。
そして
悲しい現実が伴います。
この社会で
現実に群れが
なくなることはないでしょう。
それなら
不完全でも
できる限り
大きな枠で群れが
形成されることを
祈りたいです。
そして
私達は、本来
地球の生き物という
大きな群れに属していることを
都度、思い出せるように
したいものです。
このお話で出てくる
『コオニ』という生物は、
人間側の
一方的な都合で
『鬼』になりました。
コオニは『鬼』
ではないのです。
では、
本当の『鬼』とは何者なのか?
鬼とは、
鬼という概念を
産み出した
私たち人間に他なりません。
(あとがき:ひろあき)
SUIREN(2012年追加)
時節、この作品をまたあげて欲しいと依頼がありましてここにご紹介させていただきます
◎アトリエ千鳥の恒例行事記事♪
2013年2月3日
2014年2月3日
2015年2月3日