働き出して驚いたのが、施設内で、ご夫婦揃って同じ施設に入所されている方が、多数いらっしゃることでした
なので、今回は、その中の3組のご夫婦のエピソードをご紹介します
まず1組目のご夫婦は、一般棟に入所の旦那さんと、デイサービスで通所の奥さんなのですが、その奥さんが時々、デイサービスの職員に頼んで、この一般棟まで会いに来ることがあるんです
その時に、いつもデイの工作の時間に、ご自分で作られたきり絵や塗り絵を旦那さんにプレゼントしていくんです
そして、いつも「頑張るんだよ」って励ましています
すると、その旦那さんの利用者さんは、普段食事介助の時なども、常に目を閉じぎみで、油断するとすぐ目を閉じて寝ちゃうのですが、その時ばかりは心なしか目が大きくパッチリあいています
お次のご夫婦は、二人とも同じ一般棟に入所の方で、少し面白いエピソードで、そのお二人、席替えがあってもいつも同じテーブルなんです
その理由の一つとして、奥さんがすごく嫉妬深いようで、以前に旦那さんが他のおばあちゃんと話している所を見ていたらしく、後々になって、旦那さんと話していたおばあちゃんの利用者さんをひっかいたそうなんです
女性は、いくつになっても、女心を持ってるんだなぁって、感心しちゃいました
最後のご夫婦は、心温まるエピソードで、お二人とも同じ一般棟にいるのですが、旦那さんは胃ろう(お腹の管から食事を胃に直接送ること)の方で、普段はほぼ寝たきりの方なんです
ですが、唯一お風呂上がりの数十分間だけ、みんなのいるテーブルで休憩を取る為に、来ている時間があるんです
ある時、奥さんの利用者さんが、フラッと車イスを押して、どこかにいこうとしているのに気が付きました
見守りが必要な方だったので、「どうかしましたかどこに行くんですか?」
と聞いてみると、恥ずかしそうな顔で
「そこに旦那が来てるから、ちょっと旦那の所まで・・・」
と言っていました
なので、旦那さんの所までお連れして、話を聞くと、普段は胃ろうで寝たきりなので、ずっと部屋から出てこないので、1週間のうちでも会えるのが、ほんのわずかな時間だけだから、こうやって来てる時は会いに行くんだと、嬉しそうに話していました
職員にお願いすれば、会わせてもらえるけど、なかなかこちらも時間で動いている為、その方だけを特別扱いで時間を取ることもできず、それを知ってか奥さんも「旦那の部屋に連れてって」とは言いません
なので、一週間のうちでも2回、それも、ほんの数十分会えるだけという「織姫と彦星」のような関係で、ロマンチックだなぁだなって思いました
そして、その時に奥さんが、旦那さんの手をそっと握っていたのを見て、こちらまで、とても温かい気持ちになりました
でも、旦那さんは、照れくさいのか奥さんの手を振りほどいちゃいましたが・・・
そんな旦那さんに、困った所があって、それは、オムツ交換の時にイヤがって、毎回、必ず誰がやっても、激しく手で攻撃してくるんです・・・
俺も、散々パンチの連打やつねくりのコンボを浴びせられています
あまりの猛攻ぶりに、この方は2人介助で交換しているほどなんです・・・
でも、面白いことに、この前、先輩ワーカーさんが
「痛いよ~叩くと、奥さんに言いつけちゃうぞ~ッ」
って言ったら、とたんに猛攻が止まり、しおらしくなったのがなんだか可愛らしかったです
やっぱりいつの世でも、奥さんは怖いものなのかな
そんなご夫婦たちを見る度に、「あ~ぁ俺も早く結婚した~い」と、それ以前に、まだ相手もいないのに、思ってしまう毎日です