高校の頃、ソフトボール部でした。

学生の頃、山岳部でした。


っていうと、今ではたいてい驚かれますニコちゃん

日頃、ふにゃふにゃしているので、

スポーツとは無縁に見えるようです。


そもそも、あこがれは、

せめて球技なら、ゴルフとかゴルフ、テニスとかテニス

アウトドアなら、せいぜいハイキングだとか、だったはずなのに、

なぜか実際は、より泥臭い方向に向かってしまいました。


(実は、ゴルフもやりかけましたが、

そのスマートさに、結局は挫折したのでした汗


社会人になってからは、休みの日でも、

職場から離れた場所、しかも携帯が通じない場所に行くためには、

その調整に大きな労力が必要となり、あのころのようには行けなくなりましたが、


学生の頃は、それこそ勉強そっちのけで、

年間100日以上は山に入っていたのではないでしょうか。


そして、大好きな冬がやってくるこの時期は、

妙に気分が高揚したものです。


真っ白な雪に覆われた冬の山で過ごした時間ことを

思い出すと、今でも胸がきゅっと締め付けられます。


深雪にスキーを滑らす浮遊感。

日の出を迎えて舞う、茜色に染まった雪粉。

どこまでも続く真っ白な稜線と、どこまでも広がる青い空。

凍てつく闇と風の音。彼方に見える街の灯。

一切の色彩を失っった吹雪きの山の中でさえ、

どこかワクワクとした緊張感がありました。


雪崩おちる轟音を近くに遠くに聞きながら、

一抹の不安と、運び上げたわずかな酒と、トランプを興じたテントの中。

まるで蟻地獄のように急斜面の深雪に足をすくわれ

全身でもがこうともさっぱり高度を上げられない、途方もなさ。

北風にたたかれて凍った雪面のあまりの固さに、

けり込むアイゼンのこころもとなかったこと。


細尾根をまたがり進む、限りなく澄んだ高度感。

下山の安堵とともに、はじめて気づいた凍傷の痛み。


死の恐怖を感じたことは、数知れず。


それなのに、冬山が持つ非日常性の魔力は

私を捉えて離しませんでした。


日高。


大好きな日高。


大胆に、鋭く波打つ白い稜線は、

そこにきっと神様がいると信じられる、

そんな荘厳な美しさを湛えていました。


次に会えるのはいつだろう。



山に行けなくなった途端、

冬は、やっかいで鬱々とした季節となりました。