「 storyterror~朗読・怪談」無事に終了となりました。
猛暑の中、各地より足をお運び下さいました皆さまに心よりの感謝を申し上げます。
本当に有難うございました。
今回の怪談、如何でしたでしょうか?
3つの物語をお贈りしましたがどれか一つでも怖さ、楽しさ、面白さが伝わってくれていれば何よりです。
去る6月30日の朗読劇、文豪そして殺人鬼で共演した二人と再びの邂逅。
それぞれ、あーでもないこーでもないと少ない稽古時間の中、なんとか形にしようと必死でした。
今回のようなオムニバスは、文豪殺人のように一つのお話を長丁場で描くものとは違った難しさがあります。
役の切り替えはもちろん、作品・作風ごとに変わるテイストをどう理解し、それに見合う芝居を出せるか。
何より単に芝居やキャラだけではなく「語り」という会話劇にはない要素が、感覚だけでは出来ない「技術」という部分を否応なしにフォーカスさせてしまう。
地の文はモノローグではなく「ナレーション」。もっと言えば「朗読」であり「語り」。
心はあれども台詞とも違う全く別種の言葉を紡ぐ作業になります。
やはりその点で野上んも熊くんも苦労しておりました。
特に「闇花奇譚」。
野上んは女形、熊くんは圧倒的台詞量との兼ね合いもあって当初は本当に大変そうでしたね。
いわゆる近代古典に近しい言葉遣いと音で作られた物語なので現代の呼吸と音ではそもそもの齟齬が生まれてしまう。
句読点や滑舌とは全く別の「本来の日本語が持っている音・リズム」というものが引き出しにあるかどうかで全く完成度が変わります。
その知識、感覚を知らなければ0。
どんなに芝居を頑張っても元がゼロなのでいくら掛けても0のままなんです。
その限りなくゼロに近い場所からの積み重ねを、短い時間で本当に真正面からやっていたなぁ、というのが印象です。
二人共、ことこういうお芝居になると正攻法でやろうとするのが素敵だなと。
型をなぞるのは簡単。
でもそこに実があるかといえばそれは疑問符。
敢えて実を取りに行った二人の自負は恐らく、今日観劇された皆様にはしっかり届いたのではと思います。
ですから「廃墟マニア」の二人のやりとりは本当に面白かった。
夜の部は稽古時も含めてベストだと思っております。
それだけにもっと稽古がしたかった。
そうすればもっと凄いふたりの芝居が見られたのになぁ。
自分ももっと遊べる部分が出来てたのかもしれないなぁ
本番中の二人のやり取りを後ろで聴きながらそんな思いが過ぎりました。
まぁスケジュールの兼ね合いもありますからね(笑)
逆に言えばまだまだもっと面白くなる要素が転がってるわけでして。
自分も彼らのああいう部分を上手く盗んでいかねばなぁと気を引き締めております。
私自身はといえば文豪殺人に続いて、またしても好き勝手にやらせて頂きました(笑)
今回は「朗読劇」ではなく「朗読」ということなので、特に語りと台詞の切り替えに意識を使いました。
なので動きは最小限に抑える、目線や顔は観客以外に振らない、などを縛りにいれておりました。
三者三葉のアプローチ、それぞれが物語のアクセントになっていたら嬉しいですね。
ちなみに個人的なポイント
闇花奇譚・・・冒頭の語りの出だしが全てだと思ってたのでそこに8~9割ぶっこみました。
9割ぶっ込んだ夜の部ではその反動で台本から目を切るという失態をやらかしました(汗)
怪談落語なんかもそうですが、出だしは軽く明るい雰囲気がスタンダードでそこに花街の雰囲気が乗ればベストかなと。
扉をたたくもの・・・芝居のベースは「高瀬舟」の喜助です。残念ながら竹田は「足るを知る人」ではないのでどうしても熱が入ってしまいました が(笑)
廃墟マニア・・・田野辺は芝居ではなくキャラ勝負なので5種類ほどストックを用意しておりました。
詳細はCDのキャストトークにて(話すかは未定)
さてさて、アフタートークなどでも少し話しましたが今回はネタがネタということで、本番も含めて色々ありました。
とにかく動きは見せたくなかったのでこらえましたが、何度首を、視線を移そうかと思ったか・・・(笑)
そんな裏話はまとめてCD内のトークでご紹介できればと思っております。
ご興味とお財布に余裕がございましたら是非是非。
来年の次回公演も決定しました。
新メンバーを加えて今度はどんな形になるのか。
そんな朗読・怪談をこれからも温かく見守ってくださいますよう願いまして、末とさせて頂きます。
自分も慌てず焦らず引き出しを増やしていくつもりです。
まだまだ若い子達には負けへんで~!