ちょこっと加筆


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朝晩の冷え込みは一層厳しくなって。
夏の空気に慣れた肌は、突然の冷気を伴った変化に戸惑いばかりを訴える。


朝の冷え込みも・・・・
昼の冷え込みも・・・・
夜の冷え込みも・・・・


ただ一人、彼の温もりだけが恋しくてしょうがない。
そしていくら求めても叶わない現実が、冷気よりも冷酷に身体に突き刺さっていたのは・・・



つい数時間前まで。


それでも、やっぱり求めてしまうのは・・・

愛されることに、貪欲になってしまったからだろうか。





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予定よりも長く滞在してしまったことに慌てた蓮の車のテールランプを見送りながら、キョーコは冷んやりとした空気に包まれる。
先程まであんなにも、愛し合って、求め合って・・・心の隙間を全て満たした筈だった。
しかし残滓として残る蓮の体温が失われて行く感覚に、また、寂しさが甦る。
森の香りを吸い込みながら、これ以上望んではいけないと、望む心を否定するが・・・浅ましくも、愛された記憶が今以上を求め出す。

「蓮さん、やっぱり寂しくて死んじゃそうです・・・」

求めに求めていた蓮の体温を思い出し、ぶるりと 震えた。

ようやく辿りついた割り当てられた部屋の空気は、外のそれよりも冷たくて、一人でいることの寂しさがこみ上げる。

窓に越しの月明かりは優しく包み込むようだが、今のキョーコには何ひとつ伝わらない。





ここに、最愛の彼がいれば。

いつもの優しい微笑みをより一層深くして、愛を囁いてくれるのだろうか。





つい先程まで感じていた体温を思い返しては、一人寂しくなって、月を見上げる。

あと4日頑張れば良いだけの日程を、どう頑張れば早く終えることが出来るのかを・・・・

考えては、叶わぬことだと諦める。


「やっぱり帰すんじゃなかったわ・・・」


睦み合いの最中に伝えた爆弾。

嬉しそうに抱きしめられたけど・・・・やっぱり彼は帰ってしまった。

君の残してくれた無遅刻神話は崩せないと、笑って。



分かりきっていたことだけど。

求めてしまう心は、止められない。


浅ましく縋って、困らせたくはないのだけれど。

求めると嬉しそうに抱きしめてくれる蓮が愛おしくて、止められない。


愚かな人間だと笑えば良い。

それすらも余裕で受け入れられるほど、蓮を求めている。




愛は人を狂わせる。

そんな言葉を真に受けはしないけど、今日の月明かりと湖の雰囲気にどうにかされてしまったのだろう。


満たされた筈の心に出来た隙間に吹き込むのは、秋の風。

真冬の厳しいそれとは違って、じわりじわりとやるせなさを引き起こす。

思う先は、優しさの温もりに満ち溢れた彼。











愛おしい愛おしい彼に早く逢えるよう

キョーコは最短で帰れる方法に思考を巡らせながら、床についた。

















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密会話終了w

本当はこの回、桃色展開だったのですが・・・・ぶった切ってみましたw

でもテイストは残してみたりww←


キョコさん別人疑惑は疑惑ではないですよ・・・

実は蓮さんより寂しんガールなんではないかと思った上での暴挙。

そして企み屋さんww