【コラボ名】 PIKA*Chu
【リレータイトル】 秘めやかな想い
【更新予定日時】 毎週月曜 23時


我が家の半年記念がきっかけでご一緒させて頂く事に相成りました。
内容は以前から二人で盛り上げっておりました【微桃でちょっと切ない蓮キョ】です。
第一章から始まり、第五章での完結を予定しております。






***







何度も何度も背中を撫でられ、髪を梳かれて。

キョーコの中から感情が溢れ出てきた。


「私は・・・・・・・愚か者、です」

「それを言うなら、俺もだよ」

「敦賀さんは!!違う!!」


蓮の胸から飛び跳ねるように顔を上げたキョーコの視線は、彼女を見つめていた蓮と絡み合った。

胸に広がる苦さに侵食されて、表情までもが痛々しくなる。


「私は!!恋なんてしないと誓いました!誰かを愛することなんてしないと誓いました!」

「・・・・・」

「でも・・・・破り、ました」


自嘲に顔を歪めるキョーコの頬を優しく優しく撫でながら、蓮は彼女の心の叫びを聞いた。

求めてはいけないと自制する心と、誰よりもなによりもと求めてしまう心。

相反する想いは少女の心に重く枷を掛けていたのだろう。





「敦賀、さんが・・・・・・欲しいと・・・・・思ってしまいました」





紡がれた言葉は、心に突き刺さるほど鋭利なものだった。

息をすることすら忘れそうなほどの感情を、どう表現すれば相手に伝わるのだろうか。

演技者として、伝えること・表すことにかけてはある程度の自信があったが・・・・・そんなものは呆気なく崩れさった。


「キョーコ・・・・・」

「ごめんなさい。でも、誰かの変わりだとしても良いから・・・・・」


それでも良いから愛されたかった、そんな悲しい一言は蓮の腕の中に再び入ることでキョーコの口から発せられることはなかった。

壊れると背骨が悲鳴を上げそうなほどに、きつく強い拘束。

痛みすら甘美に感じてしまう自分に失笑を送りながら、キョーコは焦がれて体温と香りに酔いしれる。


「誰の変わりでもないよ、俺にはずっと・・・・・君だけだから」


いくら言葉を重ねても、腕の中で息を潜める頑なな痩躯には伝わらなさそうだった。

どこまでもどこまでも清廉であると思っていたキョーコが始めて抱えるだろう欲求は、蓮にとっては歓喜を引き起こすもの以外の何物でもない。


求めていると言われて、それでも違うと否定された。

求めていると言い続けて、違う人の代わりならと言われた。


相反する言葉のやり取りと、感情のやり取り。

絡まり続けるお互いを解消するには・・・・・

定番過ぎる一言が蓮の脳裏に浮かんで、彼は自分の安直さに自嘲しそうになった。

しかし、このにっちもさっちもいかない現状を打破するにはとても、効果的でありそうだ。


「キョーコ」

「は、い」


視線を絡め、体温を感じ。

胸が締め付けられるほどの感情が二人を襲う。


「俺は、君を、愛してる」

「・・・・!」

「世界中の誰よりも」


再び涙色に染まるキョーコの瞳に、逃げ出すことを許さずに。

蓮は言葉で優しく、キョーコを束縛した。


「キョーコは?」

「・・・・・・」

「誰のことも考えないで。君の、君自身の気持ちが知りたい」


祈りにも誓い蓮の言葉に、キョーコの心が動き出す。

愚かな自分を。

愚かな感情を。

曝け出してみても、自分は受け入れられるのかと。

まろやかな清水か湧き出すが如く、絶えない欲望。

その全ては蓮に向かっている。


「私も、愛している。・・・・・と思います。多分」


防衛線をたくさん貼っても、充分に感じない防衛にもやつきながらも、応えるキョーコ。

傷つきたくない気持ちと、受け入れて欲しい気持ちとで揺れ動く乙女心の最大の譲歩。

・・・・・きっとこれ以上踏み込んだら、なにかに取り付かれて死んでしまう。

そんな気にさせる蓮の微笑と言葉に、キョーコの頬は熱くなった。


「思うでも、多分でも・・・・」

「・・・・・駄目ですか?」

「まさか!とっても、嬉しい」

「そう、ですか・・・・」


こつん、と額と額をつき合わせて。

ありがとうと、蓮は湾曲的にでも気持ちが通じ合ったことを喜んだ。

いわゆる男女の関係の始まりよりも特殊な自分達のスタートラインに対して。

最上 キョーコという女性をないがしろにすることなく、それに立てたことに対して。

ありったけの力で持ってして、キョーコを締め上げた。


「つ、るがさん・・・・ちょっと痛い、です・・・・・」

「ごめん・・・・・大丈夫?」

「はい」


何かに諦めたような、肩の荷を降ろしたような、そんな柔らかななキョーコの笑顔。

はにかんだその表情がとても好きで、好き過ぎて。

蓮はひとつ。

爆弾を落とした。


「ごめん。なんか、もうキョーコと一つになりたくて」

「・・・・・・」

「力の加減が効かない」


本当に他意はなく。

ただただ純粋に思ったことを口にしたまでだったけど・・・・・・

歯止めが弱くなった乙女には、それすらただの起爆剤にしかなりえなかった。


「わ、わたしも・・・・・・・・敦賀さんと・・・・・・一つになりたい、です」


はにかんで投下された言葉。

一つになるという意味や、溶けあうという意味の不純さを、きっと彼女は理解していない。

そう理解して噛み砕いてもいるが、言葉の後に交わしたくちづけの甘さに惑わされるかのごとく。

蓮はそのまま優しく・・・・・・華奢な身体を、沈めていった。










お待たせしました!

次回はピコさんターンですー( ´艸`)


前回の話とどうしても、一回切りたかったのです・・・・

なので、我儘を言って半端に短くなってしまいました・・・・・(_ _。)