半年記念リクエスト第一弾 香仔さんから頂きました。
詳細はお話の最後に記載致します。
では!お楽しみ頂ければ幸いですー!!




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夏の盛りがもう間もなくで過ぎ去るだろう9月。
暑い日々に慣れ親しんだ身体は倦怠感ばかりが蓄積して仕方ない。
身体が資本の仕事をしている蓮とキョーコには、それをそのままにしておく事はなかった。
そのかいあって、大きく体調を崩すということもなく、駆け足で過ぎ去っていった8月。
いつも以上に仕事をして、いつものよりも少ない逢瀬でありったけの言葉を交わす日々。
それに特に不満はなかったが、少しづつ少しづつ距離を縮める二人にとって、もう少しもう少しと欲が出てしまうのは仕方がないことだろう。


ある夜空に雲がない夜。
事務所のロビーで出会った二人の心は、お互いに気付かれないよう歓喜に震えた。

「こんばんは!敦賀さん」
「最上さん、こんばんは。遅い時間だけど、今終わったの?」
「はい。丁度、今帰るところです。それにまだ22時過ぎですよ?」
「女の子には充分遅い時間だよ。送っていくから、ちょっと待ってて」
「あ、でも・・・・!!」

会社で用意されたタクシーを言い訳に断ることなんて簡単なはずなのに、颯爽と車を取りに行く蓮の後ろ姿をキョーコは黙って見送ってしまった。
そのタクシーの存在は、彼女自身の手でキャンセルの手続きをした為、蓮に知られることなく終わっていった。
通勤用に持ち歩く大きめのバックの手提げをぐにぐにと捻りながら、キョーコは大罪を犯してしまったようにぐるぐると考え込む。

タクシーを返してしまったことの意味。
先輩俳優と一緒にいて揺れ動く心の答え。

先輩と後輩の間柄を逸脱しているのはわかっているが・・・・
認めた恋心は、8月の忙しさを言い訳に逢えなかった日々を糧にして、より一層大きく膨らんでしまったようだった。

(今日だけ。今日だけだから)

長い間逢えなかった心の隙間を・・・・埋めさせて欲しい。
急に気温が下がった日中に外で撮影をした身体、それにご褒美と称して、今日はゆっくりと湯船に浸かろうと思っていたはずなのに。
さっきまでバスソルトを考えていた自分が何処かに行ってしまったことに気が付いて、思わず苦虫を潰したような顔になってしまう。
彼はこれほどまでに自分を虜にしているだなんてことを露も知らないだろう。
それで良いとキョーコは思う。
墓まで持っていこうと決めた想いは知られてはいけない。
このまま、このまま。
小さな幸せに飼いならされていこうと思っていた。


ぶるり、と携帯が震えて。
電波越しに待ち人が到着したことを告げる。


正面玄関に横ずけされた車に、慣れたようにするりと身体を滑らせた。
キョーコがこれから始まる約30分のドライブに心を躍らせていると、綺麗に車を発信させた蓮が柔らかく提案という名の爆弾を落としてきた。

「最上さん・・・・今年は夏の海行った?」c
「いえ、今年は行ってません」
「じゃ、行こうか?近場でちょっとだけだけど」

熟れた恋心目掛けたそれに、キョーコが首を横に振る要素はに何一つなかった。
反射的に上半身を起こしてしまう程跳ね上がる身体と心は、シートベルトによって押さえ付けられ。
更に上擦ってしまう声が、無性に恥ずかしくて耳まで赤くなってしまう。

「い、行きたいです!」
「うん、でも明日に響かない程度だから、そんなに期待しないでね?」
「でも凄く楽しみです!!」

そうそう長時間連れ回せないと判断している蓮だが、駄目元で誘ったドライブを喜んでくれたキョーコに目尻が下がる一方だった。
キョーコの下宿先まで30分だったドライブは、蓮による予期せぬ思いつきで延長となった。
二人を乗せた車体は滑らかに首都高の入り口へと滑り込んでいった。












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香仔さーん!!こんな感じで進んで行きますーヽ(=´▽`=)ノ


今回は海へ行くのが最終目的ではございませんー!!!
無駄に前振りが長いのは、話に現実味という名の厚みを出したいからなのです(`゚Д゚´)ゞ
・・・・・とか言えたら良いな、って常々思います←

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