こんばんは!りかです。

ピコさんと駆け抜けたコラボ終了からはや二週間・・・・・

お疲れさまーなやり取りで思いついたおまけのお話を作っちゃお!!という、ゆるーいノリで頑張りました。

お付き合い頂ければ幸いです。




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【コラボ名】 PIKA*Chu【完】
【リレータイトル】 秘めやかな想い
【更新予定日時】 毎週月曜 23時


我が家の半年記念がきっかけでご一緒させて頂く事に相成りました。
内容は以前から二人で盛り上げっておりました【微桃でちょっと切ない蓮キョ】です。
第一章から始まり、第五章での完結を予定しております。


【おまけ】

最上 キョーコside **Bubble Shower  ピコ様

敦賀 蓮side**Foever and ever* りか


キョコさんverはピコさんのお宅でご覧になって下さいまし。

我が家の大半の読者様はもうご存知なお宅なので問題ないかと思いますが、ご訪問の際には鶴賀さん宅へ上がるキョコさんのように礼儀正しくお願い致しますね。

無茶振りは仲良くなってから!!←






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俺の担当俳優はコーヒーをブラックで飲む。

煮詰まってしまったようなものだろうが、身体が疲れて糖分を欲していようが、特に何も入れない。

入れた試しもあるのかもしれないが、俺はあいつと何年も付き合ってきて見たことは一度もない。

曰く、コーヒー本来の鼻腔を抜ける香りと味わいが良いそうだ。

そんな男が・・・・・・

目の前でミルクを入れてコーヒーを飲む姿は、異常以外の何事でもなかった。


「蓮・・・・・・具合悪いのか?」

「なんですか、唐突に」


俺の心配を不思議に思ったのだろう。

蓮は小首をかしげ、優雅に笑ってみせた。

その顔に昨日まで潜んでいた緊迫感が消え失せて、変わるものはいっそ清々しいとさえ称せる、その穏やかなまでの空気。

何故だか、探究心が「今だ!行け!!」と囁く声を俺は耳の奥で聞いた。


「だって、お前・・・・・・コーヒーにミルク入れて飲んでるだろう?」

「俺だってミルクくらい入れますよ」

「いや、お前これと決めた趣向をそんなに易々と覆せる男じゃないくらい俺は知っている!」

「・・・・・では、青天の霹靂ということで・・・・・」


押しても押してもさらりと交わしてしまう担当俳優。

俺だって思うところはあるんだ。

こいつに「青天の霹靂」というやつを食らわせられるのは、たった一人だろう。

200円入れたら動き出すおもちゃのような彼女は、波及力が非常に高くて仕方がないことは周知の事実だ。










          キョーコちゃんの男の査定ってまだやってるの?









苦い想いに押しつぶされそうになって蓮に聞いたあの問いに関係するのかしないのか。

褐色色の液体を琥珀色に染め上げさせたのは、きっと彼女だろう。


うまくいったら良いなぁ、とは思ってた。

それでも心の奥底では、ねじれてしまうんじゃないかと思ってた。


あまりにも二人の魂が同じだったから。


傷ついて、傷ついて、それでも傷つくことを受け入れてしまう不器用な魂。

似たもの同士は寄り添うってうまくいく化学反応よりも、衝突して・・・・・散ってしまう現実のほうが多い。

だから、俺は蓮の背中を押せなかった。

マネージャーとして。

友人として。

もう出会った時のように傷ついてしまったらと、恐ろしさのほうが先に立ったから。



蓮は俺に興味がなくなったといわんばかりに、手元の台本へと目線を移し、相変わらず琥珀色に染まったコーヒーを何の気なしに啜っている。

そんな姿に毒気を抜かれて、数日前に言った言葉をもう一度口にする。


「なぁ、蓮。お前キョーコちゃんの男の査定ってまだやってるの?」


隣の椅子にどかり、と座った俺をちらりと見て。

前回は沈黙でその問いを押しつぶした担当俳優は艶然と微笑んだ。


「もう、必要なくなりました」


その言葉の意味が分からないほど・・・・・俺は子供ではなかった。

そうか、と一言呟いて、突然鉱石が頭の中をよぎる。

研磨によって光り輝く価値のある石となるそれ。

傷ついて、傷ついて、それでも立ち向かう魂の性質は鉱石に似ているのではなかろうか。






なのであれば・・・・・・・





二人の魂がぶつかり、衝突したところで、脆く崩れ去ってしまう、なんていうことはない。

もちろん各々が持っている硬度      柔軟性がなければ、成立しないし。

研磨をする側のカッティング技術      プロュース力がなければ、沈んでしまうだろう。

そして寄り添う二人の魂は       それぞれに高みを目指し、刺激を受けながら奮起する。


そんな理想を現実のものに出来るだけの素質が目の前の担当俳優にはあり、ここにいない少女にもある。

だったらこちらは、歯を食いしばって彼らの研磨剤としての役割を全うしやりきるだけのこと。

最近、少女のマネージャーについた元モデル上がりの不敵な男を思い出し、あいつにだけは絶対に負けないように!と俺は密かに誓った。

蓮とキョーコちゃんがプライベートでどんな関係になろうとも、ビジネスではあくまでもお互いが目標になってしかるべきなのだ。


「蓮!頑張ろうな!!」

「はい」


勝手に入れた俺の気合に、きちんと担当俳優は乗ってくれた。

そして意気揚々と、俺たちはその日の仕事をこなしていった。

それは来る日も来る日も同じこと。

一つづつ、一つづつ、高みへの階段を上っていく。




目指すところは、光り輝く鉱石に・・・・・・一番似合いの場所。






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         魂は傷ついていたのではなく、研磨の途中だった。

自分を納得させるためだけの思い付きが現実のことだったと証明できたのは・・・・・・・数年後。

キョーコちゃんがモデルとしてデビューして、ヨーロッパで行われた世界的なコレクションのランウェイで蓮と共演したときだった。