テレビ朝日の番組で伊集院光さんとお話したときのお話です。
伊集院さんの行きつけの食堂のおばちゃんは、店に人が入ってくると、
客を見ただけで、「カツ丼だね!」と注文がわかるそうです。
二流の患者は、「調子が悪くなったときだけ、医師に会えばいい、だから通院はてきとうでいい」と考えます。
だから、高血圧や高脂血症の薬を出されていても、半年も薬を切らしてしまったり、定期的な検査を受けません。
一流の患者は、「ふだんから医師に診てもらっておくのは、いざ調子が悪くなったときに、ちゃんとわかってもらうため」と考えて、自分のメインテナンスのために、たんたんと、さらっと通院を持続します。時間とお金を投資しています。
ふだんの姿を診てもらっていると、調子が悪いときに医師から異変を気づいてもらえます。
ふだんの姿からの「変化」や「差」が、診断の糸口になるのです。
伊集院さんがそう話すと、林修先生は、
「うん。僕もわかるよ。一目会って見ただけで、「この子は成績が伸びるな」「この子は合格するな」とわかる」
とおっしゃいました。伊集院さんも、私も、「そうそう!そうなんだよね!」とスタジオの会場で盛り上がりました。
わたしも診察室のドアを入ってきた患者に「この人はがんがあるな」と直感し、検査で調べると実際にがんがあった、ということは日常茶飯事です。たくさん病気はありますが、その病気にはその病気がかもしだす特有の雰囲気や見てくれがあるのです。
何十年もその道で仕事をしてきたプロには直感力があるという実例です。
直感力が大切なのです。
相手にこの直感力を働かせるには、定期的に会っておくことが重要です。
そして、できるなら、画面越しではなく、リアルに会うことが大切です。
できる編集者ほど、リモートでも打ち合わせはできるのに、最初は実際に挨拶に来られます。
それは、そのほうがお互いがよくわかり合えて、仕事がうまく進み、結局はトクをするからです。
大きい大腸癌が見つかれば大手術を受けます。
これは当たり前です。
二流の患者は、そのあと、内視鏡検査を受けないで放置してしまいます。
一流の患者は、そのあと、年一回の内視鏡検査をたんたんと受け続けます。
大腸癌の原因は、ほとんどがポリープです。ポリープが大きくなる過程で大腸癌に変化するのです。
できたときにすでに癌、という「de novoがん」というのもありますが、割合は少ないのです。
一流の患者は、小さいポリープの段階で内視鏡で取ってもらっています。
そうすることで、命が助かるだけではなく、大きい手術が回避できることで、結局は金銭的にもトクをしているのです。
定期的に歯医者に行くと、どんなに歯磨きをがんばって歯間ブラシを使っていても、自分では取れなかった歯垢が取ってもらえます。
メインテナンスが大切なのです。
定期的なメインテナンスは、自己投資なのです。
健康のため、ふだんの自分を見せておき、トクをしよう。
医療法人社団信証会 江田クリニック 院長 江田証
ふだんの姿を見せておこう