ある曇天の日。
車で帰宅すると家の前の道をバイクを押して歩く男の子の姿。
どうやらガス欠のもよう。
早速猛ダッシュして追っかけるとお話を聞かせてもらえることになりました。
変わったバイクですが、これは?
「ヤマハのTW200です。6年前通学のために購入してからずっと乗っています。」
年式、走行距離共に不明。
6年前に初めて買ったこのバイクを手をかけて今日まで大切に乗っているとのこと。
「バイクに乗るようになったきっかけは親父です。ハンドルの取り付けでもなんでもやってくれちゃう。」
いいお父さんですね~。紹介してもらいたいぐらい。
そのハンドルはお父さんの後付けですか?
「そうです。曲げちゃったもんで。」
あれ、よく見ればミラーも一個しかない。いいのかな?
「車検とか無いですしね(笑)」
なんでハンドル曲げちゃったの?
「あの時は雨の日で、すり抜けをしようとしてたんですよね。それで大型トラックの横を抜けようとしたら寄ってきたんであれ~、て感じで倒れました。」
ひゃ~、大型トラック・・・。危険すぎる。
「あ、そうそうこのタンクは自分で塗り替えたんですよ。」
元々はどんな色だったの?
「ハンドルと同じ。」
メタリックのライトブルー、綺麗な色なのに。
「飽きました。」
なるほど。
遠乗りはしないと言う若者。
突っ走りたいとか山道を攻めたいとかそんな気持ちは全然無いそうです。
だから買い替えもする気がない、と言い切ります。
「街乗りが主だからこれが乗り心地すごくいいんです。ブレーキが弱いのが難点ですが。」
お父さんがバイク乗り。その背を見て育った息子もまたバイク乗り。
なんかかっこよすぎて羨ましい。
「買い換える気はないんだけど、親父が持っているFX。あれだけはなんとかもらえないもんかとずっと狙っているんだけど、すごく大切みたいで全然乗らないで眠っているのに譲ってくれないです。」
いつかお父さんから憧れのバイクを譲ってもらえる日まで、彼は最初に買った愛車を大切にして乗り続けるんでしょうね。
最後に、バイクに乗っていて楽しい時、て?
「ありきたりですけど、風を切っている時!」
と端正な顔に満面の笑顔。爽やかすぎる!
去り際にマフラーの音を聞かせてくれました。
単気筒のリズムが際立つ低くくっきりとした大きな音。
あれもお父さんがつけてくれたのかな?
いいなあ、趣味が一緒の親子。
これからもお父さんとバイクライフ楽しんでくださいね!