こんにちは!
地域支縁団体ARCHのブログ担当の寺坂です。
第四回復興学・支援学の報告です。
第7講の講師は、赤坂憲雄先生(学習院大学教授、復興構想会議委員)
テーマは「東北学」
防災から減災へのように対策のとりかたを変えていかなければならない。
いくら堤防を高かくしても津波を防げない。
漁師にとって海が見えないのは致命的。
海と人間が暮らす場所を分断してしまう。
などのデメリットがあるのに完全に防ぐのは不可能。
ならば壊される前提のものを作らなければならない。
「やわらかく壊れる」という表現を先生は使っていました。
”先生は[安藤忠雄さんの言葉]を紹介してくださいました。
今ここでの復興は三十年後、五十年後の日本を思いながら考えるべきだ。”
人口が減り始めている日本。誰かに任せておけばいい時代は終わったとのことです。
これは重い言葉ですね。
先生は南相馬市で「泥の海」を見たそうです。
泥の海というのは簡単にいえば、津波に襲われた田んぼの事です。
原発15km範囲内なので未だに当時のままだそうです。
その再生のために3つのシナリオを挙げてくださいました。
[泥の海の復興シナリオ1]
津波で流された泥の海を水田に戻すべきだ。
水田に戻すのには、除塩、莫大な労力、お金、時間がかかる。
この地域には高齢者が多いために事業にしていかなければならない。
お金が落ちて復興バブルになりえるが、後継者が少ないため問題が繰り返されてしまうとのこと。
放っておけば自然とこのシナリオになるだろうとのことです。
[泥の海のシナリオ2]
再生可能エネルギーをその地域で作る。
20,30年後の復興した地域の景観が再生可能エネルギーに支えられてればいいのではないか。
これを企業を誘致してやるのではなく、自治体が行えば自律のポイントになる。
技術力が要求されるシナリオです。
[泥の海のシナリオ3]
昔の風景に戻してあげる。
震災の後一斉に民族芸能や祭りが一斉に復興した。
このようにコミュニティーがこれらを通して異質の利害を超えてつながっていく。
極めてリアルなシナリオであり、住民にとっても嬉しいのではないか?
このように3つのシナリオが挙げられたように、
国が作ったシナリオに乗っかって復興するのではなく、東北の地域の人たち自身が作ったシナリオを作って復興していくべきである。
まさに誰かに頼っていればいいだけの時代が終わったとわかる講演でした。
復興するには一人一人の力が重要になってくるのです!
第8講の講師は、小松正之先生(政策大学院大学教授)
テーマは「東北の水産業の復興・新生」
漁業後継者の数は震災前は岩手では1/5となっていた。
このことからわかるように震災前から漁業は深刻な問題を抱えており、それに加えて震災のダメージがあったため、ただの復旧では間に合わないとのこと。
また後継者の問題も抱えており、純粋に継いでくれる人がいないのと、せっかく都会から漁業をやりたいときても、収入や技術向上に時間がかかるなど諦めてしまうことも。
海外の漁業をマネていかなければならない。
そこで先生は新たな制度の紹介をしてくださいました。
それはITQ(個別譲渡性割合)です。
先生の資料によると震災前でも東北で漁業をやってもあまり儲からないのが現実だそうです。
まずそこを打開しなければと登場してのがITQです。
要約すると1人(一団体)あたりの漁獲量を制限してしまうということです。
これによって上手な人だけが獲りすぎて儲かるということもなくなり、新人漁師たちも安心して稼げる。
そのため後継者問題の解決にもつながる、とのことです。
ITQの4つのポイントが紹介されました。
①全体の漁獲量を科学的根拠に基づき決定する。
科学的に分析することで絶滅などを防げる。
②漁業者の過去の実績に基づき一人当たりの漁獲可能量を決定。
これで長年漁師をやればやるほど稼げるという事実は変わらないため、新人も向上心を持てる。
③その割り当てられた漁獲量は他の漁業者に販売、譲渡可能。
熟年漁師でもたくさん獲るのは歳を重なれば苦労するもの。
それでも収入を安定させることができる。
④自分の漁獲可能量定まるため、ゆっくり漁ができる。
新人は慣れるのに時間がかかる。歳を重なれば他の漁師に負けじと体調を考慮せずに漁へ。
漁獲量が決まっているため、時間をかけて漁もできるし、体調を整えてからでも他の漁師に一人占めされることもない。
これを導入していない日本ではどこの誰が獲りすぎているかわからないように
この制度のおかげで漁業を管理することもできるとのこと。
漁業は今までのように復旧しただけでは問題の解決にはならないため新しいことに挑戦しなければならないようです。
もちろん農業なども。
今回は学問的な目線からの講演であり、専門的な話もあり深いお話でした。
有難うございました。
さて、次回は6月29日(金)16:40~行われます。
第9講で登場するのは藻谷浩介講師(日本政策投資銀行顧問、『デフレの正体』著者、地域エコノミスト)
テーマは「東北政治経済論」
第10講で登場するのは木村俊昭講師(内閣官房地域活性化伝道師、NHKプロフェッショナル~仕事の流儀~出演)
テーマは「ゼロからの地域活性化システム論」
今回も震災復興「最前線」の講師は、豪華なお二人!
参加はFB(http://www.facebook.com/syuhei.sato.39ref=tn_tnmn#!/events/230858370358345/)
もしくは、参加フォーム(http://form1.fc2.com/form/?id=738295)へ!
みなさんの参加、お待ちしております!