ちょっと前に連載されていた、吉野家の安部修仁さんの私の履歴書が面白かったので、ちょっとググってみたら、こんな記事が出ていました。
吉野家のみ客数・売上でマイナス…牛丼御三家売上:2016年9月分(最新)
牛丼チェーン店「吉野家」などを運営する吉野家ホールディングスは2016年10月5日、吉野家における2016年9月の売上高や客単価などの営業成績を公開した。その内容によると既存店ベースでの売上高は、前年同月比でマイナス2.8%となった。
吉野家、なかなか苦戦をしているようです。
私は個人的には、吉野家が一番好きなんですが、職場から近いのはすき屋なので、すき屋にいってしまうことが残念ながら多いです。でも、すき屋はあまり好きになれず、しょうがなく行っているという感じです。これもググってみたら、皆さんどうも似たような感覚のではあるようです。吉野家が一番人気で、すき屋と松屋が同じぐらいないようです。(吉野家、すき家、松屋の牛丼屋チェーンのどこが良いか100名に聞きました!)まあちょっと、このサイトは本当に調べているのかどうかよくわかりませんが、感覚的にズレてなさそうかなって気がします(笑)
牛丼御三家の売上を比較した、冒頭の記事に客数の推移のグラフがありました。ここ数年を振り返って見ると吉野家のアップダウンが良くわかります。「牛すき鍋膳」のヒットで客数が増え、「値上げ」で一気に客数が減ってしまいました。驚いたのは、「牛すき鍋膳」のヒットに追従するように「牛すき鍋定食」を投入したすき屋です。ムリなオペレーションが原因で起こった、すき屋が従業員のスト問題が、あれだけ、話題になっていたのにも関わらず、一時的に下がりはしたもののその後直ぐに回復していて、ほぼ影響なかったように見えます。
ガーベージニュース:吉野家のみ客数・売上でマイナス…牛丼御三家売上:2016年9月分(最新) に掲載のイメージに吹き出しを追加
ちなみに、すき屋のストの問題は、追っている指標の問題にもあると私のいる業界でも話題になっていました。私がこの話を初めて聞いたのは、去年の秋にあったリーンスタートアップアップデートというイベントで知ったので、その時のスライドからちょっと引用すると、それぞれの指標はこんな感じでした。
【吉野家】
- 人時客数:クルーひとりの1時間あたりの接客人数
- 「オペレーション効率」のための評価指標
【すき屋】
- 人時売上:クルーひとりの1時間あたりの売上
- 「売上高人件費抑制」のための評価指標
吉野家の指標(人時客数)は、鍋の工夫などオペレーション効率に向ったのに対して、すき屋の指標(人時売上)は人を削って1人あたりの売り上げる方向に向かったので、スト騒ぎになったという話なわけです。
すき家は労時売上を重視するあまり、「店を回せるか」という観点が経営層レベルから完全に欠落していた。なので、新商品投入時に「店をまわせない」レベルの欠陥商品を押し付けてしまい、しかもそれが自社の屋台骨をへし折る可能性に全く思い至らなかった。
吉野家の「牛すき鍋膳」が成功し、すき屋の「牛すき鍋定食」が大失敗したのは何か?すき屋の失敗の本質に関する考察
この話はなるほどなぁと、思っていました。そしたら、阿部さんの私の履歴書の中で、オペレーション効率を上げるための話が入っていました。実は吉野家もセールをやったときに「全社的な機能不全に陥った」経験があったので、業務改善に取り組むようになったという歴史があったようです。
目指したのは一人の従業員が一時間で17人のお客さんにサービスできること。これまでは11人だった。工場内に実験店舗を設け、店舗従業員の作業手順、歩行距離など動線解析のためにビデオ撮影した。工場内の従業員が顧客となり、お昼にたくさんの牛丼を食べてもらった。
ビデオを繰り返し見ると無駄な動きと、そうした行動につながる機器の設置場所など問題に気付く。冷蔵庫、食器棚、納品食材の一時保管場所などなど。改善点を実際の店舗で試す。ベストタイムコンクールと称し、店長がストップウオッチを手にし、従業員の一挙手一投足を計った。移動や運搬を素早くするだけでも時間が短縮できた。これに手、肘、腕、腰、膝などの使い方も分析していけばさらに作業効率が高まる。試行錯誤の連続だ。現場からはこんな声が上がってきた。「250円セールのリベンジです」「自分の力で会社をよくしたい」「働きやすくなった」。ピークタイムの動線距離は2割も短縮された。
これを読むと、指標もそうなんだけど、吉野家にもともとオペレーション効率を追求する歴史と文化があったから、すき屋との差が出たんだろうなという事もわかります。
ただ、吉牛が業務効率をあげ、すき屋がスト騒ぎにあっても、冒頭の記事にあったように、すき屋が数字を伸ばしている結果からみると、サービスというのはやっぱり一筋縄に行かないものだと思います。
ただ、私からすると、旨いのは吉牛で、迷わず頼めるのも吉牛なので、吉牛の方が良いサービスだと思うわけです。でも、やっぱすき屋が近いからすき屋に行っちゃうんだよみたいな現実があり、こういうと身も蓋もありませんが、サービスの良し悪しと、客数は必ずしも合致しない場合があるわけです。客数や売上以外にも価値はあるけど、それが、客数や売上という単一の数値に置き換えられしまうのは、理解する側の限界があるからこそなわけで、それを全てとして評価を下すのは、やっぱりなにか無理や矛盾がある気がするのです。
それよりも、大事なことは、短期的な数値評価で判断を下す事ではなく、サービスや従業員の満足度も含めて、長い目でみてうまくいった文化をリフレインしながら発展させているかどうかなんだとおもいます。なんだか、随分上から目線になってしまった気がしますがが、そんな感じの方が自分的にスッキリと説明がつくような気がしています。
結局、吉野家も客が減ったのは値上げのときだし、ベジ丼とかわけわからぬ事をやって道をそれたので、軌道が変になったので、もとの吉野家の低価格で美味いもの提供するという牛丼の王道の文化を今後も継承していってほしいなと思っています。だから、低価格で投入された豚丼がヒットしているのもそういうことなんだと思います。
にしても、なんで俺こんなに牛丼の事書いてるんだろ、こんなに書いているとほんと食べたくなって仕方がないんだよね。。
これからちょっと行ってこようかな。。。
※参考
http://www.slideshare.net/kdmsnr/lean-analytics-20150116
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO07542590T/
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/152377/1
http://matome.naver.jp/odai/2139121528252577601
https://www.yoshinoya.com/_static/page/html/images.d531cfc2ace1ec7ab429bbbe91acba38/0603.pdf