よく、5年生存率 という表やグラフが出てきます。
資料になっているという事は、5年前に何人かフォローしていて、その間に死んだ人を除外していって、今の段階で何人残っているかという率に過ぎません。

5年前の何百人がどうであったとしても、今現在生きているのであれば、生存率は100%であるわけでして、申し訳ないけれども、ほかの人がお亡くなりになったかどうかは統計上の問題に過ぎません。

5年間がどうであったかという事が重要で、再発手術を繰り返していて薬の副作用に悩まされていた5年間であったかもしれませんし、全く何もせず、病院へは定期健診だけに行っていた5年間かもしれませんので、日数だけで判断することとは違います。

全生存、という言葉は、オーバーオールサバイバルoverall survival で、今現在、生きておればカウントされるという性格のものです。それに対して無病生存 disease-free survival =健存 という考え方があります。がん以外の病気はともかくとして、がんの再発や憎悪がなく過ごせているという事で、これで5年過ぎればがん種によっては 寛解あるいは治癒と言っても差し支えない場合もあります。(がん種によっては、この期間を10年とすることもありますが)

無病生存、DFS が 何パーセントだという事であったとして、資料は、遡ること5年間のデータであるわけで、当該本人が5年後に健存しているかどうかは常に100%か0%の確率であり、50%健存であるなどという中途半端なことはあり得ません。
統計上の何人かが5年後の健存をしている確率が何パーセントだという事についてはさらに、その5年の間に、例えば、ほかの病気や事故で亡くなる人も出てくるので、その分を除外する考え方があります。

5年間に100人で、今40人が健存とすれば健存率40%と言えるけれども、その間に別の病気や事故で5年前に健康だった人100人のうち20人が亡くなっているとすれば、がんになろうがなるまいが80%の生存率ということになります。
これをそのまま当てはめれば、減った60人のうちの20人は、別の理由で亡くなっていたと言えるかもしれません。とすれば、80人のうちの40人であれば50%となります。
率が10%上がるとして、それは、本人にとって100かゼロかの今後の5年の指標に過ぎないのですから、期待値が上がるだけになるかもしれません。

このような、数字の調整を施したものをグラフや表にしている場合がありますので、生存率のグラフや表を見るときには十分注意してみていただきたいものだと思います。