本庶先生のノーベル賞受賞は誠に素晴らしい事であります。ただ、先生の研究は基礎的なものであり、結果として小野薬品の
オプジーボの製品として身が実ったものでありますが、基礎研究の大事さが評価されたものだと認識してます。

臨床で、オプジーボが奏効する場合がもちろんあります。だからこそ、治験を経て保険収載されているのです。逆に言うと、治験を経ないで保険収載されることなく、また、治験にすら至っていない治療法というのはそれこそ山のようにあります。

治験の中でもバッチリ効くものもあるでしょうし、奏功寛解を目指せるものもあると思います。また、治験であるならば、薬剤費用は基本的に製薬会社や病院が負担しますので、患者側の費用負担はありません。つまりは、無料で実験台になるということになります。

なぜ、実験台がいるかと言えば、薬剤がどれだけ与えられたら有害事象が出るのか?極端に言えば致死量はいくらかを確認しないといけません。体表面積や体重に応じてどれだけの薬剤を投与するのがいいのかを検証していかないといけません。また、致死量側を確認することもいりますし、どれだけ投与すると効果が表れるのかの最低ラインの確認もいります。そのような中で、期間的なこと(何日投与して何日休むかとか)も探っていかないといけません。治験全体でそのようなラインがある程度出れば保険収載に臨めるだろうということです。

副作用がどの程度の頻度で出るのかを確認する事も必要です。高い頻度で副作用(有害事象)が出るのであれば、あらかじめその対策を考えておくことも出来ます。吐き気止めという薬もありますので、それをどう組み合わせるかという流れも考えられます。副作用が厳しいのであれば、休む事や減らすことを考えないといけません。それらのコースを探る事を治験として探っていくことになります。

同じような条件で、旧来の薬との比較も必要になります、これは、新しい薬が「どれだけ、よりよく奏効するか」を確認しないと、保険収載しても、旧来の薬より有利でないのなら取組む必要がありません。少なくとも、旧来の方法よりも良い方法だから新製品を認めようというのが国の考え方です。

そんな治験を通して、保険収載されたオプジーボは、当然、適用出来る状況が決まっています。どんな状態のがんであれば効きそうなのかが予想できているわけです。もしかしたら効くかもしれないというレベルではなく、効くからやるという適用に本来はなるはずなんですが、遺伝子の関係で、効かないパターンもかなりの数あることになってます。オプジーボが効くパターンで確実に奏効するのは20%とかいうレベルになるのだと感じます。効くはずなのに効かないというのは、オプジーボの作用機序がおかしいのではなく、患者さん側に効く要素がないということであり、それはそれで仕方のないことになります。


そこへ ツケコム 悪い奴らは、こんなことを考えます。
(1)夢の薬はなんにでも効く
(2)どんな状態でも、効くかもしれない(それはそれで当たっているけど)
(3)夢の薬はごくわずかでも効く(そういうこともあるかもしれないけれども、そんなことは根拠がない)
(3)保険収載されていないけど最新の治療である(誰がそんなことを保証する??)

で、まずは、民間の小さなクリニックで「オプジーボあります」という看板を出すようなことをやります。
保険収載されているお薬ですから、市販されていることでもあるわけでして(ドラッグストアで売っているわけではないけれども)医師であるなら買う事も投与することも問題なくできるのだと思います。場合に寄ったら逆輸入もするでしょうし、そもそも詐欺的要素があるならば本物のオプジーボを使う必要もないかもしれません。

どの程度の物量投与するのかは綿密に決まっている話を適当に解釈して、増減することができてしまいます。患者であっても、どの量を投与するのがガイドラインで示されているか、ご存じでない方もいますでしょう。そもそも、自分にどれだけの薬剤が投与されているかを医者と薬剤師にマルナゲしていると薬の量さえ把握していないとこがあるでしょう。薬剤名をこたえられない患者さんは、医師に全幅の信頼を置いて、医者の言う通りに最善の治療が進んでいるとおもっていることでしょう。

ガイドライン通りに、最大量の薬剤が投与され、副作用を管理して対応して奏効するのが目指すベストなことであります(フルドーズという状況です)同じ効果が出るのなら、薬剤を減らす方が副作用も少なくなるし、薬剤費も少なくなる。そんな勝手な解釈をしてむっちゃ少ない量(100分の1とか、何万分の一とか、それは、ホメオパシーの世界です)で投与するところがあるようです。副作用も出ないが効果も出ない、そもそも、遺伝子の事もあって効くかどうかがわからない場合もあるので、効かないからと言って文句が出てくることもない、≒訴訟にはなりにくいというところもあります。

治験でなく、自由診療だから、金はいくらとってもいいわけでして、1クール何百万かかろうが問題はないわけです。そして、重篤な副作用が出ても対応できる病院でないのであれば、何かあれば放り出されることになります。最後まで面倒見ますということでなく、宛先なしの紹介状を持たされて放り出されることになれば大変なことです。

低用量の免疫チェックポイント阻害剤投与の自由診療クリニック。。。。。。十分お気を付けください。放り出されるまでの無くした時間とお金は帰ってきません。(もしかしたら、低用量でもバッチリ効くかもしれませんけど・・・)