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景気回復、動き出す歯車 消費先行、投資カギ
2013/04/13 22:00 日経速報ニュース 1317文字
 景気が浮揚してきた。円安・株高を好感して消費者は財布のヒモを緩め、企業は生産を増やし始めた。金融緩和、財政支出、成長戦略を柱とする安倍晋三政権の経済政策(アベノミクス)で成長力が高まると投資家は期待する。ただ、回復の持続力への懸念で企業は国内で雇用や投資を増やすことにまだ慎重だ。デフレ脱却に向けて越えるべきハードルは幾つもある。
 JR大阪駅北側。積水ハウスが建設中の分譲マンション「グランフロント大阪 オーナーズタワー」(総戸数525戸)は2月、あっという間に完売した。平均価格帯が約1億4000万円、最高で4億円を超える超高級物件。和田勇会長は「住宅・不動産への投資が活発になった」と驚く。
円安・株高追い風
 2012年10~12月期の国内総生産(GDP)実質成長率は前期比で年率0.2%と3四半期ぶりプラスに浮上。今年1~3月期は2%超が見込まれる。株高で心理が好転し、まず消費が勢いづいた。
 外食の一六堂が手掛ける居酒屋チェーン「八吉」は高い料理・酒の注文増で2月の客単価が前年同月比4%上がった。千葉県浦安市は東京ディズニーランドなどの来園者が増えた効果で13年度の法人税収が20%増える見通し。アベノミクスの最初の矢、金融緩和が人々の回復期待に働き掛ける効果は実体にしみだした。
 円安も効き始めている。ポンプなど船舶用部品を作るシンコー(広島市)は3月下旬、欧米や中国の資源大手から20億円強の受注を獲得した。タンカーなど約30隻分で、年間売上高の1割に相当する。円高の間は「日本製は価格が高い」と敬遠していた海外の買い手が、円安で再評価した。
 ただ、円安が輸出全体を押し上げるのは少し先だ。輸出企業が外貨建て価格を下げても、実際に販売が増えるには「半年から1年程度かかる」(三菱総合研究所)。原油など輸入品は円建て価格がすぐ上がり、短期的には貿易収支は悪化する。
外需が下支え
 景気が上向いたのは、アベノミクス効果が海外経済の持ち直し期に重なった幸運もある。けん引役は北米だ。
 ニューヨーク・マンハッタン在住のジュリア・フォスターさん(仮名、50)は1年の失業を経て最近、金融機関への就職が決まった。住宅ローンの借り換えを申し込んだところ「自宅の価値が上がっていて、すぐ審査を通った」。米国は住宅市場が復調し、自動車など消費も拡大している。
 ホンダの伊東孝紳社長は「大黒柱は北米だ」と近くメキシコを含む北米での生産台数を年間200万台超に高める。三菱ケミカルホールディングスは樹脂原料の工場をテキサス州に建設する。
 昨秋の反日運動の影響が残る中国も、一部で薄日がさしてきた。
 コマツの野路国夫会長は「道路や鉄道など工事が動き出した」と建設機械市場の底入れを感じている。中国の建機需要の2~3割が出る春節(旧正月)直後のかき入れ時に油圧ショベルの受注が昨年を約1割上回った。約30%まで落ちていた現地工場の稼働率は2月からフル生産に戻った。
 今後は10兆円規模の緊急経済対策の執行も本格化する。期待が消費に火をつけ、外需と公共事業が下支えする。デフレの出口に向けて日本経済を好循環へと押すエンジンが1つ、1つ動き始めている。