★10月17日★




生物の授業中、何処からともなく音が聞こえた。


柏葉先生「何?何の音??」


音に敏感な柏葉先生。




暫くすると、また


「ピューピュー」


柏葉先生「いや!本当に何!?」


前席男子「…気になってる気になってる」


不可解な現象 は先生にとって死活問題。


授業どころではなかった←




「ピューピュー」


柏葉先生「本当に誰がやってるんだ!?」


柏葉先生「何?口でやってるのか??」


後席男子「鳥じゃない?」


後席男子「誰かヒヨコ持ってきてるんじゃねーか(笑)?」


いやいや、完全に私の


後方から聞こえるんだけど。




「ピューピュー」


柏葉先生「いい加減にしろよ!誰がやったんだ!?」


すっかり、後席男子にからかわれる様になってしまった先生。


授業は脱線し、その矛先は別の所にも向けられた。






柏葉先生「秋月」


当てられ答えが解らず困る私に


柏葉先生「そこら辺にあるもの」


笑顔で目一杯両手を広げて振り、ヒントをくれていたのに


後席男子「温度!!」


後席男子が答えを言ってしまった。




柏葉先生「…言って」


私「温度(笑)」


笑顔で答えると、言い直された事が腑に落ちなかった後席男子。


後席男子「俺、『温度』って言ったよー!」


柏葉先生「…(ぼそっ)今言ったの誰?」


私に考えて答えて欲しかった先生は


いつもより若干低い声になった。




後席男子「秋ちゃんじゃないの(笑)?」


笑う後席男子に友達F以外の女子。




あぁ、私。また


からかわれてる───






席替え をしてから授業中


度々からかわれては笑いものにされていた。


その事について特に注意する先生もいなく


臨機応変に今日まで頑張ってきた。


こんなのあの時 と比べたら全然辛くない。




でも、こんな私を


憧れの柏葉先生には知って欲しくなかった。


からかわれて笑われて


惨めな私なんて───






柏葉先生「やめろよー」


後席男子「秋ちゃ~ん(笑)」


構うと更に笑われると思い、無視を決め込み


黒板に書かれている文字を必死でノートに書き写した。




今、手を止めたら


私、絶対、泣く…




柏葉先生「やめろやめろ」


後席男子「ねぇ、秋ちゃんってば(笑)」


肩が震え始め、目に涙が溜まる。


もう、限界……






バンッ!!!


教卓から教科書を叩く様な大きな音がして


静まり返った教室。




教壇から下りた柏葉先生は


わき目も振らず、私の背後に立った。



先生、あのね。


「やめろって!!」


先生…




柏葉先生「大体、そんな態度とっていいと思ってるのか!?」


柏葉先生「Iがまず前を向け!」


先生が後席男子を真剣に怒ってくれたおかげで


これ以上からかわれる事はなくなった。






授業を進めたいばかりに、見て見ぬ振りが多い中


唯一、私を守ってくれた柏葉先生。




こういう先生にもっと早く


出会いたかったよ───






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