今まで行ってきた自分の行動に落胆した

その時だった。

斉藤先生「勝本先生、撮ってもらえますか?」

保健室から出てきた勝本先生を呼んだ。



…え、それって///





私は簡単に写し方を説明し、カメラを勝本先生に渡すと

いつもカメラを向けられると逃げていた

私から、斉藤先生の側へ駆けた───





私の直ぐ隣には斉藤先生。

先生は、私の身長に合わせ屈むと

私だけに聞こえる声で呟いた。

斉藤先生「(ボソッ)お前背低いから俺入るかなぁ(笑)」

せ、先生が背高いんだよっ/////

顔を真っ赤にしながら

私は先生との距離を縮め、構えた。



その距離0cm。



右腕が先生の左腕にくっついて温かい。

右を向けば、至近距離に先生の横顔。

ドキドキが止まらない。

先生、無防備過ぎるよ/////

そんな所も『好き』なんだけど///





撮影を終えても

あまりにもこの場所が心地良くて

私「あ、もう1枚お願いします!」

謎の2枚目にも対応してくれた。





私「ありがとうございました」

斉藤先生と勝本先生にお礼を言うと

私はカメラを受け取り、ギュッと胸に抱きしめた。



斉藤先生と過ごした数多くの想い出。

先生は私を忘れるだろうけど

私は忘れないから、絶対に───



「秋月!」

「これからも意発の時みたいに頑張れよ!!」



───先生は私との想い出を忘れてはいなかった。

新たに彼女ができ、以前の様に私を見なくなった先生は

私との想い出の数々を忘れたかと思っていたけど

それは間違いで、先生は私の知らない所で私を見ていた。

意見発表を通じて、互いに見方が変わったあの時から

ずっと───



photo:03



斉藤先生の激励に、私は笑顔で大きく頷いた。








私の想いは斉藤先生に受け入れられなかったけど

これできっと私は、前に進める。



そうだよね。斉藤先生──


photo:04



ありがとう








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ポンッ。


大きくて温かい何かが、私の頭の上に乗り


優しく撫ぜる感触───



先生、あのね。-image


斉藤先生の手。




先生は私の肩に手を置きながら


時折、両手で。


私の気が済むまで、何度も何度も頭を撫ぜてくれた。




それが、私の想いを受けた


斉藤先生の答え───






先生が私を抱きしめる事はなかった。


でも、頭を撫ぜる事で『生徒』として愛してくれている事を知った。


…それだけで、十分嬉しかった。






私は、行き場のなかった両手をほんの少し上げ


斉藤先生の背中。


背広をキュッと軽く掴むと、私だけ抱きしめる形になった。




一瞬でいい。


今は、私だけの先生でいて欲しい。




初めて男の人を抱きしめた私は


先生の胸に顔をもっと埋め


今にも泣き出しそうな顔を隠した───











大分、落ち着きを取り戻すと、今度は不安になった。


斉藤先生の行く手を阻み、公衆の面前で抱きしめた事。


先生、怒っているだろうな…


恐る恐る顔を上げた。




私「…斉藤先生」


久しぶりに顔を背けず、間近に見る先生は


笑顔だった───




私「写真、撮ってもいいですか?」


特に否定も肯定もしない先生の手が、頭から下ろされると


離れ難いこの場所を、私から離れ


先生を撮影する為、距離を作った。




“心が落ち着く”この場所を忘れたくない。




鞄からカメラを取り出し、先生に向けると


先生は私を見ず、後方ばかり気にしていた。




写真、駄目なんだ───





先生を抱きしめた上に写真もだなんて、都合良過ぎだった。


自分の想いだけ押し付けて、迷惑ばかり掛けて…


こんな事になるなら、先生を抱きしめなければよかった。




結果、後悔するなら


やらなければよかった───









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