びっくり箱みたいな旦那 番外編 | バリ島でオリジナルシルバーを作る、感じる。

バリ島でオリジナルシルバーを作る、感じる。

バリ島で暮らしています。
日々暮らして行く中、自然を見ていて感じるインスピレーションを
デザインし、オリジナルシルバーを制作しています。
そんな毎日に感じる事を綴ってゆきます。

No.9で終えてしまった、このお話。

その後、旦那さんはどうやって帰ったの?

という質問をいただきました。笑

そうだよね。船はもう出港したのを見送って
カリマンタンに残った旦那はそこに4.5ヶ月滞在して
お金持ってい無いし、どうやって帰ったの?という疑問は起きるよね。

まぁ、その村ではお金が必要無いって言うことで
4.5ヶ月も滞在できちゃったのだろうが
帰るためには、お金は必要だよね。
お金の無い村でお金を稼ぐのは無理というもんだし。
森で採取した果物と、船のチケット物々交換とか????

で、どうやって帰ったの?と聞きましたよ、旦那に。

と言うことで、番外編です。

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ある日旦那は、村の人が「大きな船が⚪︎⚪︎に着いたらしい」
と言う話をしてるのを耳にした。
「ん?船???........もしかしたら帰れるかもしれ無い?」と旦那は思い
長老のところに、帰る話をしに行った。

「あのー。長老、大変お世話になりましたが
港に船が付いているという情報を聞きました。
その船が自分を雇ってくれるとは限りませんが、自分も故郷に家族がいますし
そろそろおいとましたいと思うんですが....」
長老は少し驚いた顔をしていたが、にっこりと笑うと
そうかそうか。帰るのか.....もう村の一員のように思っていたし
ちょっと寂しいが.....君はまだ若者で、これからだ。
ここで嫁さんを探してこの村の人間として生きるのも良いけれども
君の人生は君の人生だからね。自分で考えて行動するのが一番だ。

そうかそうか....

それでいつこの村を出るのだ?
送る祭りもあるので、その準備をせねばなら無い.......」


旦那はそこで泣きそうになった。


こんな見ず知らずの何処の馬の骨かもわから無い俺のようなものを
こんなに温かく迎えてくれ、こんなに温かく送り出してくれようとしている。


「長老、送る祭りはご辞退します。
自分はこの村の一員のように歓迎してもらえましたし、それだけで十分です。
いつかまた、この地に来れるように、それだけお祈りしてください。
船はまた、いつ出てしまうかもわから無いし、明日の朝一番で
港に向かいます。」

「そうか、それはまた急だが、仕方が無い。
明日の朝一番には、村の若い衆に水牛で港まで送るよう言っておこう。
またぜひここに来なさい。わしが祈ろう。
他で良い嫁さんが見つからなかったら、この村の誰かと恋をしろ。
ここには、美人がたくさんいるぞ。顔だけではなくてハートも美人がな。笑
でも忘れるな。恋をしたら結婚だぞ。それが掟だ。
恋の条件は、水牛をたくさん持っているとか、鶏をたくさん持っているとか
そんなのは条件では無いぞ。分かっているな?
君が心を研ぎ澄ましていれば、この人が将来の伴侶だということは
神が教えてくれる。
神が教えてくれたら結婚だ。余計なことを考えていると
頭が邪魔をしに来るぞ。あの子の家には水牛がい無いとかな。
そういう結婚は、後で後悔することになる出来事が起きる。
相手自身に恋をしなさい。
それ以外の条件で結婚し、それがが満たされなくなったら、
それだけで壊れるものはたくさんある。
恋はいつかは愛に変わり、愛はいつかもっと大きな愛になる。
大きな愛に包まれた家族には、簡単に水牛が見つかる。
そういう事だ。仕事もな。
宇宙の掟では、そういう事になっている。
ハートの要求する事をしていけば良い。頭の要求する事には
少し頭を冷やしてから考えなさい。
そうして生きていれば、何か面倒な事が起きても必ず道が見つかる。
敵は外にはい無いものだからな。そいつはいつも頭の脳みその中にある。
的確な判断をするためには、頭を鍛えるんじゃなくて
ハートと魂を鍛えるのが一番だ。君に幸あれ。」


長老も目に涙を溜めながら、最後の教えを旦那に託した。
固い握手を交わして、別れを告げた。



翌朝、まだ夜が明けないないうちに、村の若者と水牛に乗り込んだ。
村の若者は2人、3人で2頭の水牛に乗りこんでいると
隣の家のおばさんがお弁当を持ってきて、差し出した。
港までは遠いから、これを食べなさい。



1日揺られて港に着いた。
船の船長に会い、乗船の許可をもらった。
若者たちは安心して村に帰って行った。






番外編、終わり