なかなかに重そうなので…どうしようか迷っていましたが、見てきました。「前科者」

私の中で大きく有村架純という人への印象が変わりましたね。もっとお嬢さんっぽいアイドルっぽい印象だったんで。本作では美しいルックスをあえてわかりにくく、メイクも地味にしているんだけど、それだけに彼女の力強さ、奥深さが感じられて。一挙手一投足目が離せなかったです。

 

有村さん演じる阿川佳代は「保護司」を務める新人、コンビニでバイトするかたわら、仮釈放の人達に寄り添い、更生を助ける役目です。これは非常勤の国家公務員でありつつ、無償でおこなう行為なんですよね。いわば「前科者」とまっ正面から付き合わないといけない重要な難しい役割。

出典元:映画.com

 

何人もいる更生を目指す前科者のなか、物静かだけど手先が器用でまじめな男・工藤(森田剛)が、再び社会人として自立する日を楽しみにしていた阿川だったのですが、最後の定期報告(月に2回保護司にどんな生活を送っているかなどの報告義務があるそうなんです)の日に工藤が現れなかったことから物語は展開していきます。

 

多くを語らないけど、実は苦渋に満ちていた工藤の過去…決して褒められることではないけど、こんな過酷な人生をおくり、不当な扱いを受けていたのなら、人殺しをしてもしょうがないって、と思わずにはいられません。

 

 

そしてどうしてこんな仕事を阿川がすることに決めたのか、についても徐々に明らかになります。なるほど…という感じで。この人もこの人で一生重い十字架をしょっているんですよね。

でも彼女はそれに負けずに精一杯生きて行こうとしている。

 

彼女は「どんな罪を犯した人でもきっと更生できる、罪をあがなえる」と信じて、保護司として真摯に取り組んでいるのです。

キャストもそれぞれ素晴らしく、工藤を追う刑事コンビにマキタスポーツと磯村勇斗、
弁護士役に木村多江、そして最後まで「だれ、この女優さん?」と思ってエンドロールで納得したのが石橋静河、彼女もすごいですね。役ごとに全然雰囲気が変わる。

 

この方ご存じの方も多いでしょうが、石橋凌さんと原田美枝子さんの娘さんです。血もあるのかもしれませんが、いい女優さんですね。

 

本作を見ていると、自分の仕事(警官や福祉の仕事)が聖職であるのをいいことに、好き放題やって弱者に冷たい、自分の利益しか考えない辛辣さを痛感しましたね。それでいいのかっていう…

 

しかし北村有起哉さんが今回も保護司側の役割で、「すばらしき世界」を改めて思い出した方もおおいのでは?またそういう役が有起哉さんはしっくりくるのだ!!

 

奥様が以前朝ドラ「さくら」でヒロインを務めた高野志穂さんだと、私はここ数年で知ったのでびっくりしたんですけどね。

 

ご夫妻で出たamazonの宣伝が素敵だったので。(閑話休題)リンク貼ります。

ちょっと昨日嫌なことがあったんですけど、この映画に出てくる人を見ていたら、私なんか「ちょろい」と言いますか、自分の経験なんてまだまだで。もっともっとつらい思いをしながらも頑張って生きている人がいるんだな、って「負けたらあかん」(なぜ関西弁?)と改めて思いました。(心の声は辻元清美風・(笑))

 

既にコミックも出てるので、どんな話なのか知る人も多いでしょうが、いちおう詳細を書くのは差し控えますね。見てよかったです。取り上げる内容は重くても、そこに希望の光が差し込んでいれば…それはもう素晴らしい価値のある作品になるんだなと思いをあらためました。

 

※最後に書き忘れましたが、もちろん元V6森田さんの静かなる演技、内に秘めるものを感じさせる演技も素晴らしかったです。「ヒメアノ~ル」を思い出した方も多いのでは?