"Matrix"

ラテン語で、「子宮、母体、生み出すもの」の意味らしい。

17年ぶりに、この映画を見た。初めて見たのは中学3年生のときだったから、キアヌ・リーブスが銃弾を交わす単なるフィクションのアクション映画だと思ってた。こんなに哲学的で面白い映画だったとは、。スカパー万歳。マトリクスの映画じゃないけど、「環境(プログラム)」って大事だ。「やる気」とか「意識」とか、どうでもいい。「意識」は最初だけ大事。あとはそれを基に「プログラム」を整えさえすれば、それで結果は見えている。

これまでずっと疑問に思ってたことや胸に引っかかってたことが、幾つも映画の中で描かれてた。

●「生きてる意味はなくて、単なる化学反応」
ずっと思ってた。なぜ生きてるのか。生きる意味はあるのか。ない、というのが今のところの結論だ。生命だから、生まれてきて、死ぬだけだ。そこに意味はない。意味なんかないのに、生きる意味はないか、なんて考えるのは馬鹿だ。意味はないんだから、勝手に自分で意味付けして、勝手に生きればいい。ただそれだけのことだ。そう思っていた。

すると映画の中では、プログラムMatrixの中で異端として生きるプログラムMezonjibionが、「一つだけ確実なものがある。それは因果関係(Causality)だ。」と言っていた。結果(Effect)は、原因(Cause)で変わる。アウトプットは、インプットで変わる。望む結果を得たいなら、それを引き起こす原因を与えなければならない。そしてその原因というのは、人間の脳に影響することであり、単なる化学反応だ。人間の脳に適切な化学反応を起こすプログラムを作れば良いだけのことだ、と言っていた。同時にそれは、理性とかそういうものが未来を決めるのではなく、動物の欲望という電気信号が結果を決めると言おうとしていた。

私の大事な人が、いつか言った。「単なる電気信号なんだよ。人を好きになるのも、結婚するのも。どうすることもできない。予め決まっていて、皆その通りに行動しているだけなんだ。」と。私は宗教は信じない。別に、その人が言うことが、その人が大切だから信じるのではなくて、私もそう思うから、私がそう思うから、これを信じているだけだ。

●「プログラム」と「選択」
プログラムがすべてを決める。明日何時に起きるかも、朝何を食べるかも、どんな服を着て、誰と恋に落ちるかも。自分で選んで選択したんじゃない。もうそうなることは、それを選択したときには既に決まっていた、ということをこれまでに何度も考えたことがある。自分で選択したんじゃない。選択したと思っているけど、選択したと思ったときには、既に決まっていたんだ。

映画では、第1話で、預言者が主人公ネオに言う。「あなたは、いつか選択しなくてはならない。自分がモーフィアスを助けて死ぬのか。モーフィアスに助けてもらって自分が活きるのか。」二つのうち一つを選択する必要がある、と彼女は言う。しかし第2話では、プログラムMezonjibionが、ネオたちに言う。「君たちはもう既に選択している。選択の理由を知らなければならない。わかるかね?」彼が言いたいのは、ネオたちは選択などしておらず、導かれるまま、預言者に言われるがまま、自分のところに来ただけだということだった。ネオたちは、「預言者」という名のプログラムによってMesonbijionのところに来させられた、ということである。

「何で結婚したの?」と聞かれて、「何となく」「意味なんかない」「好きに理由なんかない」と答える人は多いと思うが、そういうことだと直感的に思う。その人を自らの意思で選択したんじゃない。選択する前に、もう決まっているんだと思う。

●「プログラミングバグ」
物語の最後の方で、ネオは、Matrixを作ったアーキテクトに会う。そこで彼は、ネオのように覚醒した人(自分たちが物質的に搾取されて、精神は仮想の世界に閉じ込められていることを知ってしまった人たち)を「プログラミングバグ」と呼び、彼らが増えるとプログラム自体が脅かされてしまうため、消去するしかない、と語る。

社会は、組織は、ある種プログラムだ。プログラムの存在自体を脅かすものは、消すしかない。

アーキテクトは、彼がMatrixだけでなく、人間の生き残りの隠れ家であるザイオンさえもプログラムで作っていたことを明かす。人間は、人工知能が作ったプログラムの上で転がされていただけだった。

●「プログラムはうまく進んでるときには気づかれない」
プログラムは不調があったときに、初めて気づかれる。何かおかしい、と思うのは、それはプログラムが予定通り進んでいないことを意味している。それは、プログラム自体の不調か、プログラミングバグのせいか、いずれかである。

●「自分の意識が邪魔している」
映画の中で、ネオは飛べる。意識が飛ぶことを可能にしている。飛べないと思ったら飛べない。飛べると思うから飛べるし、銃弾を止められると思うから止められる。物質的な肉体を伴わない精神世界では、意識次第で、肉体の限界から自由になれる。しかし、心と体はつながっているため、心が死ねば、体も死ぬ。

●人工知能
メディアで最近人気だが、そうなる前からとても関心を持っていた。映画では、人間より高度に発達した人工知能が、人間の体を電池にして発電し、それら人間の精神をMatrixに住まわせて管理している。そんな時代がすぐに来るとは思わないが、自分で学ぶ能力を獲得したと言われる人工知能が、今後どのように発展するかは、人間次第と思う。まさに望む結果を得たいなら、原因を調整しなければならない。

書きたいことが沢山あるが、今日は疲れたのでこの辺で。