2023.5.10 no.9 | あとりえまかろん まかろんのへや

あとりえまかろん まかろんのへや

ちいさな家族、まかろんとの日々をたいせつに紡いでいきたい‥ちいさな歩幅でゆっくりふたり歩いていきます。
つないだ手、いつもいつまでもはなすことなく‥

















2023.5.10 二十年日記をつけつづけてる

坊やは、あんなにずっと
ご飯、のこしてばかりだったのに
あの日までの一年は、ほぼ完食がつづいた
  のこさずたべる
そのおかげか、毛もつやつやでとても綺麗
元気で長生きしようとしてくれていた

まだまだこの瞳とともにすごせるはずだった

ふたりでいっぱいいろんなことしてたくさんおもいでつくりながら
まかろんの老いを愛おしみ、老いにつきあい
いのちをまっとうさせる

耳のかわりをし
目のかわりをし
手足のかわりをし
病とたたかい
通院にせいをだし
徹夜もして
ゆっくり老いてゆく、あなたとむきあい

寝たきりになったあなたのそばで
ふたりのおもいでをおもいだしながら

ほら、こんなこともあったわよねぇ
なんて
そういいながら、あなたの介護をする
ママにしたりなかったぶん、うんと丁寧に‥いえ、介護が幸せ‥そんな日々をゆめみてた
きっと叶えたいとおもってた

あなたの老いにむきあうなかで
なやんだり泣いたりくるしんだり、したかった
そんな涙も苦しみも悩みも、それはしあわせ
あなたのためのことは、しあわせ
あなたがそばにいてくれるのだから
いっしょにがんばれることは、かけがえないしあわせ
そう心からおもう

あなたが、ねえねにあたえてくれてきたしあわせ、のぶん
あなたが、ママとねえねを支えてきてくれた、そのぶん
こんどは、精一杯せいいっぱい、あなたにお返しする
たくさんたくさんおかえし、させてね
と願ってきた
それが、ねえねのしあわせ

そうして、来るべき時がきたら
ふたりよくがんばったね、と、母のもとへおくる
母の笑顔がみえる
そんなさいご

かみころされた。。。

ここ何年も何年もずっと、いつも寝る前に祈ってきたことがある

ねえねにのこされた時間があと11年あるなら〜
どうか、その10年とまかろんの一年を
交換してくださいm(__)m
ふたりでプラス一年を、ともに生きるために
もしも、ねえねにあと22年あるなら〜その20年をさしあげますから、まかろんにプラス二年ください
ふたりでプラス二年を、ともに生きるために


いつかあなたを見送る
それはねえねの使命
だけど

こんなかたちは、ちがう
ちがう
ちがう
ちがう
ちがう
ぜーーーーーーーーったいちがう

ねえねは、あの日以来
寝たきりのまかろんの世話をしてるのだと
そうおもおうとしてきた
でなければねえねの鼓動がとまってしまう

だって、あの時、心から願ったのだから
「植物犬でもいい、寝たきりでもいい、どうかどうかたすかってほしい」と
そうおもうことにした

星の王子さまは、へびに噛まれてしんだ
そして遠いじぶんの星へかえったけれど
あなたは違う
あなたの星は、ねえねのいるところ
ねえねのそば
そうきまってる

だから
ふたりでもいちどてをとりあって、歩きたい
そばにいてほしい

オペミスと同様の理由でうごけなくなった母に光をもってきてくれたのが、まかろん
泣いてばかりの母のそばにいるねえねを支えてくれたのが、まかろん

母が旅立つとき
母は、ほかのだれの名前でもない‥まかろんの名前だけをひたすら
「憑かれた」ように呼びつづけた
母は、娘のことをまかろんに託したのだとおもう

母が旅立っても
のこった家族がありえないかたちできえても
かわいい光がそばにあった
かけがえない光がそばにいた

そんな光
 かみころされた光
とりもどしたい


そして
ねえねのいのちが、宇宙の果てにのみこまれても
このことへの絶望とかなしみと怒りは
永遠に漂いのこるだろう
それとどうじに

あなたへの愛と感謝のおもいは
それ以上に永遠にのこるだろう
光のかけらとして漂いきらめきつづけるだろう

そうであってほしい



          no.9


そして、あの日以来も
あの道はかえない



あのわんこになんども吠えかかられようが
つらい気持ちで壊れそうになろうが
道をかえることはけっしてしない

ここは、ふたりがおそわれた道、ではなく
ふたりが、何十年と毎日朝夕とおってきた道
ふたりが、時をかさねてきた道

ジャスミンの花をみあげ
フェイジョアの花におどろき
みかんの花をくんくんし
桑の実をみつけ

そうして歩いてきた道

ふたりが道をかえるいわれはない
なにがあろうとも

頭をあげて、この道を歩く
そう、いつも頭をあげていよう

 かわいそう、同情、お気の毒
 大昔からニガテな言葉たち
 ‥使うことも使われることも

最愛の王子を
かわいそうな王子、にはしない
最悪にひどいめにあわせたけれど
かわいそうな王子、にはしない
頭をあげていよう
きっと

   あんなジャアクなことに
   光をかみころさせはしない
   ふたりの絆をかみころさせはしない