2023.5.10 no.8 ふたつでひとつ | あとりえまかろん まかろんのへや

あとりえまかろん まかろんのへや

ちいさな家族、まかろんとの日々をたいせつに紡いでいきたい‥ちいさな歩幅でゆっくりふたり歩いていきます。
つないだ手、いつもいつまでもはなすことなく‥



2023.5.10 ふたつでひとつ

まかろんとねえねは
かたっぽとかたっぽ
  ふたりで一足の靴

そうして歩いてきました

まかろんは
母がのこしてくれた‥
じぶんの代わりにと娘にのこしてくれた‥
かたっぽ、です

ひとつこわされてしまったので
いまは、ふたりで片っぽです

 かみちぎられた片っぽ
 たいせつな片っぽ

のこった片っぽは
ねえねのカタチをしているけれど
半分がねえね
半分がまかろん

お靴は、ふたつでひとつ
だから歩ける
片っぽでは、ほんと歩くのがむつかしい
それでも、半分半分のからだと心で歩いてる 
片っぽで歩いてる

このことを光にかえようとも
のりこえようともおもわない
ただ、片っぽで
はんぶんとはんぶん
として生きていきます

はんぶんとはんぶん、は、おぼえています
かみくだかれて木っ端微塵の、はんぶんとはんぶん、は、おぼえています
あのときの恐怖と絶望と苦しみとかなしみを

それでも
のこりの
はんぶんとはんぶん、は、おぼえています

しあわせに笑い
おだやかに寄り添い
たわいなく喧嘩して、なかなおり
やさしくともに眠り
ただただふたり
寄り添って暮らしてきた日々を

なので
どれほどつらくてかなしくて絶望があったとしても
ふたりの暮らしはかわりません
ふたり寄り添って歩きつづけます

これまでは泣き虫ねえねがメソメソすると
王子がよりそってくれて、背中をかしてくれた
背中でなみだを拭いてくれた
そんな背中もなくなった

ねえねのお日さまがきえた
だけど
ふたりのじかんは、まぎれもなく
お日さまにつつまれたじかん

ねえねの最愛の光はきえた
それでも
光がそばにあったことはまぎれもない

そのかさねてきたじかんこそが
いまの、ねえねの手のなかの青い鳥
手のなかにまぎれもないしあわせ
これからのねえねの光

いま、かみちぎられた心がズタボロでも

ねえねは宇宙一ふしあわせになった
とは、おもいません!
宇宙一おそろしくひどいめにあったけれど
宇宙一ふしあわせ、ではない‥いまも
だって

ふたりで紡いできた時間はゆるぎないから

いまのとてつもない無限大の絶望とかなしみは
あなたとの日々がとてつもないしあわせ、無限大のしあわせだったことの、うらがえし
ねえねの絶望の無限大は、あなたと紡いできた幸せの無限大と裏表

なので
ねえねは、やはり、しあわせです
あなたに逢えたのだから
あなたと暮らしてこれたのだから

ちいさなふわふわ、じしんは、どうおもってるのかわからないけれど‥
ねえねと暮らして、宇宙一ふしあわせ、になった、そうおもっていてもしかたない

だからこそ
あなたを、もいちど宇宙一しあわせの王子さまにするためになにかできないか
それをさがすために歩いてゆきます

最愛の王子さま
光りのなかの白馬の王子さま

  どうして
  宝物はころされたんですか?
  どうして
  ねえねのいのちはころされたんですか?
  ねえねの心はころされたんですか?

  ありえないありえないありえない
  ありえないありえないありえない
  ありえないありえないありえない

永遠の問いのなかで
ただ、ひとつだけ
完璧なしんじつ

ねえねはあなたを愛してる
いつもいつもいつもいつも
   どんなときも
  to・wa・ni

つないだ手ははなさない

あなたとの暮らし
これからもなにもかえない
けっして



そう生きていきたい


 お出かけはお友達のカートを借りました
 まかろんの使わずじまいのカートは
 この姿のまかろんにはすこしだけ窮屈



あの朝の瞳

         no.8




母はあの五年すこし、半分のからだで
‥そう、感覚もない下半身麻痺=まさしく半身で生きてくれました‥
たえまない痛みとともに
 感覚のない足の激痛という痛み
五年すこし生きてくれました
まかろんを愛し、娘を愛し
さいごはほほえみながら
やさしく生きてくれました

娘もはんぶんのからだで五年
ふんばってみたいとおもいます