便色カード4番の重要性 | 胆道閉鎖症・乳幼児肝疾患母の会 肝ったママ’s

胆道閉鎖症・乳幼児肝疾患母の会 肝ったママ’s

胆道閉鎖症や乳幼児肝疾患の早期発見に力を入れております。
便色カードで早期発見 No more 脳出血!

 2012年から【全国】の母子手帳に収載されました便色カード。
 
2012年以前は、岩手県、秋田県、栃木県、茨城県など、ほんの一部の自治体でののみ採用されておりました。2009年より私たちはマスコミや地方議員、行政などに訴え、母子手帳に便色カードを収載してもらえるよう働きかけ、ようやく厚労省の通達により、2012年度から全国の母子手帳に収載されることとなったのです。

 このカードには7段階のカラーチャートがあります。このカラーチャートは、考案者の松井陽先生が、何十年もかけて研究・改良を重ねてきました。
 この2012年度から全国の母子手帳で採用された新版の便色カードを作る際に、何度も松井先生や製作の先生と話し合いをしました。どんな内容で親に伝えたいのか、色はどういう色を載せるべきか、患者の家族、便の色を直接観察している親として、意見を提供して参りました。

 便色カードの最終案を決める前夜、最後まで先生が迷っていたのは「4番」の色でした。

 この4番の色は、健常児、すなわち病気ではない健康な赤ちゃんも「稀に」排泄します。ですので、この4番の色をカードに入れることによって、現場の小児科医や、保護者たちに余計な混乱や不安を引き起こすのではないかと、心配していたのです。しかし、私たちのメンバーは、全員一致で「4番を入れるべき」と言う意見でした。何故ならば、私たちの子どもには「4番の色で頭蓋内出血を起こした」子が何名もいたからです。最終案を決める日の夜、偶然にも松井先生にお会いし、「全員一致の意見で、4番は入れてください」とお願いしました。

 新版カードが運用開始された後、4番について、一部の小児科医から「これは健康の色の範囲である」という意見を聞きました。その意見の裏付けとして、統計結果も出されました。確かに医療・医学というものはEBM(Evidence-based medicine:根拠に基づいた医療)を重視する学問です。4番が健常児でも出す便の色ということは、私たちも知っております。一個人(あるいは数名)の体験だけで医療を語る危うさも、昨今のトンデモ医療が蔓延している現状を見ても理解しております。それでも、4番を入れて欲しいとお願いしたのは、「4番を見過ごした最悪の結果」が「脳内出血」というその子どもの一生にとっては取り返しのつかない、そして親は一生自責・後悔することを招く恐れがあるからです。

 その後、別の小児科医からは「4番を不安に思って受診した赤ちゃん」の血液検査をして、疑わしい結果となり、大学病院や総合病院に紹介して、精密検査の結果、胆道閉鎖症が分かった症例をこの2年間だけでも数例聞きました。また、便色カードの4番から疑い始め、結果別の肝疾患が発見された例も聞きました。まだ、これらの「4番から胆道閉鎖症、または乳幼児肝疾患が早期発見された実例」を学会や研究会で報告はされてませんが、私たちの元にはそういう例が確かにあったということは入ってきております。

 しかし、その傍ら、私たちの活動を知っていて、最近出産した方々からは、「退院指導で特に便色カードについて何も言われなかった」とか、「便は白じゃなければ大丈夫と言われた」という不十分な指導や、古い情報を伝えてる現状がいまだされていることも聞きました。胆道閉鎖症の便は「灰白色便」は、依然として教科書に書かれ、国家試験に出題されております。このままではこれから医師になる医学生も古い知識のままです。それについて、私たちは「医学書における胆道閉鎖症の便色についての改正要望」を関連の先生方に今、働きかけております。

 この文章をお読みになった医療従事者の方、赤ちゃんの健康に関心の有る方にお願いがあります。

 母子手帳にある便色カード、その4番に近い便を赤ちゃんが排泄した場合は、【要注意】です。慎重に採血して、直接ビリルビンが高いかどうか、肝機能がどうかを調べることは、一時的には赤ちゃんに痛みは伴いますが、それでその赤ちゃんの一生を左右する可能性もゼロではありません。4番に不安を覚えて受診する母親は、すでにインターネットから、例えば私たちのホームページなどから、「胆道閉鎖症?」という不安を抱えて受診されている場合もあります。その時に一番確実なのは「採血」です。検尿(USBA検査)は無駄に親の不安を長引かせます。「白じゃないから大丈夫」は古い知識です。「母乳だからこんな色だよ」は不確実です。黄疸と褐色尿があったら、4番でもかなり【要注意】です。EBMを重視されるのなら、【採血】をしてエビデンスを示してください。4番を疑って採血し、結果胆道閉鎖症を見つけた先生は「まさか…」と思ったとのことです。

 【便色カード4番】は7つある色の中でも、一番慎重に取り扱うべき色なのです。