ハジメテの日にはREBECCAのMOONがかかっていた。この曲ってそうだ、途中に幽霊の声が入ってるとかって噂があったよね。確か『先輩…』と呻くような声。まさに今の私にうってつけかも知れない、なんて思いながら冷静に唇を受け止めた。
MOON あなたは 知ってるの
MOON あなたは 何もかも
初めてキスした日のことも
切なげなリフレインと衣擦れの音だけが室内に響いてる。
思わず漏れた乾いた笑い。
「何で笑うの?」
「別に。なんか可笑しくて」
「やりにくいんだけど」
そういいながらも休まない指、困ったなという顔をするあなた、また笑う私。可笑しくて笑ってるんじゃない。怖いんだ。止めてと言ったら何かが壊れてしまいそうで。
だから笑う。
あなたは知らない。
何も知らない。
私が初めて肌を見せたあの日にも、空には月が昇っていた。
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Date: 2003/06/17 p.m.19:30