上手に言葉を選ったメール。誰に見られてもおかしくないように、だけど二人だけの鍵をちりばめて三点リーダーに隠された謎を解く。
機械が苦手だと言った彼が言葉を紡ぐ、その姿を想像する。困ったようにぎこちなく動くその指を、私は知っている。きっとあの時と同じ顔をしながら、携帯の画面を覗いているんだろう。眉毛をハの字に傾けながら。
「いいの?」と聞く彼の手を無言で導いた日から
彼は何も変わっていないのに
何で私たち、別の場所に居るんだろう。
彼のメールを全削除した。
痕跡は私の中にだけ残ればそれでいい。
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Date: 2003/07/11 a.m.24:30