昨日、いまの職場がギスギスしてきた一因は、

バブル崩壊以降、成果主義をはじめとした

人をモノ扱いする 仕組みが広がってきたからだと書きました。


行き過ぎた成果主義を軌道修正するコンサルティング活動などもてがけていますが、

15年以上にわたってできた歪みの矯正は一筋縄ではいきません。


協働風土を取り戻すための経営トップの覚悟、人事制度の変更、

社内コミュニケーションシステムの改善、教育研修の充実etc.

人を大切に育て活かすあたたかい職場づくりには、相当なコストとエネルギーが必要です。


そんななかで、管理職など現場リーダーに求められる能力も変わってきています。

この時代のギスギスした職場において、大切な能力のひとつは感受性です。


感受性とは、広辞苑によると、

外界の刺激や印象を受け入れる能力。物を感じ取る力」だそうです。


行きすぎた成果主義は、チーム主義ではなく個人主義になり、

人ではなく、業務成果のみに注目が集まりがちです。


人々はどんどん自分の業務成果には関心を抱くものの、

隣の先輩や後輩が何をしているかはどんどんわからなくなっていきます。


また仕組み上、人の気持ちにスポットライトが当たらないため、

働く人々は、不満を内にためがちです。それを出せる場もありません。


また、雇用形態が多様化したため、仕事の愚痴も気軽に

言いだせない雰囲気に充ち溢れていきます。


以前、金融業界のある若手社員に、

職場の悩みを誰に相談するか聞いたところ、

学生時代から付き合っている彼女だけだと答えました。


上司は忙しそうで声かけづらく、少し年上の先輩はいるものの、

派遣で働く女性のため、悩みを共有できない。

同期はいるものの、成果主義のもとライバルなので、腹を割れないからだと言います。


・・・悲しいことです。


そんな幾重もの要素が重なり合って、感情が表に出せない職場では、

現場リーダーは、一生懸命、部下たちが何を考えているのか、

モチベーションのアップダウンはどうなのかを

感じとらなければならないからです。


ほとんど正社員の組織で、昇格なども単線ルートでシンプル、

またチームで協働することが奨励されていたバブル期までの

リーダーとは比較にならないほど大変だとは思います。


しかし、この感受性がない人がリーダーになることで

モチベーションが大きく下がり、業績にも響いていく事例も増えつつあります。


業績だけならまだしも、心の病にかかってしまう若手や中堅社員も後を絶ちません。


経営者は、プレイヤーとしての能力が高いだけの人を

部下を抱えるリーダーに抜擢することがないようにケアする必要があります。


ポイントは「自分は感受性が弱く、部下を傷つけてしまうかもしれない」と

心配する人から選ぶことです。


まかり間違っても、「自分は感受性に優れ、部下の気持ちは絶対つかめる」と

豪語する人をリーダーにしてはいけないと思います。



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※前川タカオが代表を務めるFeelWorks

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