酔ってたしこれ以上は本当に飲めなかったから。
「もうね~眠いし帰るの」
と時計をみると来てからまだ1時間しかたってない。
「まだ時間あるよね?」
とさらっと言われて、えっと~えぇ~っととまごついてたら
「俺も帰るトコ~入り口で待ってて」
って???
その口調がなぁんか好きで
そのまま帰ってしまっても良いのに。
素直に入り口で待ってる。
十分だけって決めて
うつむいて足元ばっかり見つめてるのにも飽きて
星見えるのかなって見上げたら
彼が目の前に立ってた。

暗すぎて見えなかったとは言えないよね。
銀髪だったって気付かないくらい酔っ払ってた?

「じゃ、行こうか」

って流れのまま手を繋がれて
彼の背中を見つめながら歩いてる。
聞きたい事は一杯あるのに。
言えなくて何度も質問を飲み込んだ。
名前も聞けないのに他に何が言えるんだろう。
目の前の信号が赤になって
彼が始めて振り返る。
「なんて名前?」
って普通に聞いてきて。
本当の名前を言う必要はなかったと
後になって思う。
適当な名前を言って
自分とは別の人間を装ってしまう事だって出来たのに・・・。

夜風が彼の髪を乱す。
額に行く筋が流れたその髪を物憂げそうに掻き揚げながら
「俺には言えない・・・とか?」
って急に振り向いて
眉を潜め、探るような鋭い視線で見つめてくるから
なんだか焦って

「ゆき、です」

って思わず言っちゃってた。
聞こえてたはずなのにニコりともしてくれなくて
それどころか、ますます目を細めてこっちを見てくるんだもん。
睨まれてるのかなって不安になってくるよ。

「あっ、えっと~」

とにかくその雰囲気を変えたくて
「ゆきって言います。よっ、よろしくお願いします」
って・・・緊張で声の調節できなくて大声出ちゃったし
自己紹介してるみたいになってるし。
あぁぁ~~恥ずかしすぎて逃げちゃいたいっ

自分の上着のすそを両手で強く掴んで。
赤くなってる顔見られたくなくて視線そらして・・・。
そしたら彼が
「俺 TOP」
「てぃーおーぴー??」
なんだろ?
それって所属団体の名前かなんか?
「タプって呼んでもいいぜ、お前なんか気に入った。」
「たぷ??TOPのたぷ??」

つながれてた手を無意識に振りほどいて
自分の上着のすそを両手で強く掴んで。
赤くなってる顔見られたくなくて視線そらして・・・。
そしたら彼が
「俺 TOP」
「てぃーおーぴー??」
なんだろ?
それって所属団体の名前かなんか?
「タプって呼んでもいいぜ、お前なんか気に入った。」
「たぷ??TOPのたぷ??」