時間に余裕ができると、彼が残した名刺を見つめている。
TOPという文字と携帯NOだけの・・・名刺
かすかに彼の香りが立ち上ってくる、蒼い印字で薄水色で

怪しい~って思いながらも
連絡してしまいそうな気持ちを抑えてる。
連絡する気無かったら名刺なんてとうに捨てているハズだし
そうしてないのは
あたしが彼のこと、気にしてるから。

彼があたしを見る視線の強さ。
あたしを見てるはずなのに
すぐに瞳に感情が映らなくなって
どうしていいのかわからなくなったあの夜の気持ち

それがそのままエンドレスであたしの中で繰り返されてる。
1週間は考えたの。

けど思い切れなかった、黒ぶちメガネのその奥の瞳を
怖いって思ったのは最初だけで
次の瞬間にはもっと知りたいって思ってた。
手を繋がれて知らない道を歩いてた時だって
全然怖くなかった・・・。

そう・・・あたしずっと彼に逢いたかったんだと思う。
今それに気が付いた
彼の番号を押して、コール音がっ
ダメダメダっ
思わず、ワンギリしちゃったし~!
あたしの番号なんて知らないし
大丈夫だよね?
って・・・でもね、すぐに携帯が鳴って。
「はい」
って出たらやっぱり彼で
「あったり~やっぱゆきだと思ってた。暇ならこの後大通り公園まで出て来いよ~」
って余裕で笑ってて。
なんだろこの人のこのゆるい~というか大きいとこ?
わかんないから余計に気になる!

この前は普段着だったから今日はちょっと気にしてみた。
膝までのワンピと~ブーツ
胸の大きく開いたワンピだから軽くマフラー巻いて。
大通り公園集合って言われた時間がもう遅かったし
公園に着いたけど誰もいない・・・。

タクシーの運転手さんが
「この時間は何もありませんよ?大丈夫ですか?」
って気にしてくれてたくらいだもん。
「大丈夫です」
って微笑んで、できれば風除けになる建物の側にでも~
ってキョロキョロしてたら
バタバタという足音とともに首元を閉められて
息が出来なくなる。

そんなことしてくるのは一人しかいないけど
とにかく苦しいからジタバタしてみる。
「わかってるから」
と一言いうと「賢い賢い」と仕上げにぎゅっと締め上げられた後
やっと介解放されて、どっと疲れた。
ほっとした瞬間体中の気が抜けてしまう。

フラフラしてたんだとおもう。
肩から引き寄せられて気が付いたらタプが抱きとめていてくれて
「体調悪いなら断れよ~」
って・・・なんだろうね、このマイペース具合

けどあたしを心配してくれてるなら、離してくれるかなって
首に巻きついてた手が腰に回ってきて
そのまま車に乗せられる。
大きくて座り心地はいい椅子なのに
居心地が悪いと思った。
革張りの豪華なシートの皮匂いが気持ち悪くて
体調悪くなんてなかったのに
彼が心配してて笑う。

こんなに普通で平凡なあたしなのに…って