思い切り不機嫌な顔してみせる。
そんな彼女を面白そうに見つめて。
うんうんと軽くうなづいている。

気持ち伝わった?と思ったのはほんの一瞬で。
さりげなくシャツの残りのボタン外し始めてるから
びっくりするって。
肩からシャツが滑り落ちて。
男らしい胸板があらわになる。
見ちゃダメって思った。
こんな事で動揺してたら付け込まれてしまう。
早く視線外して逃げなきゃって…。
なのに彼の左肩に彫られたタトゥに気が付いてしまった。
羽だ・・・。

$妄想倉庫

天使の羽なら見たことがあるけど。
そうじゃない
そっと指でなぞって。
確かめてしまう。
「気に入った?」
ってご機嫌な声の彼には答えずに。
ただ見入っていると。
「少しじっとしてて」
と彼はゆっくりと彼女を抱きしめる。
彼女は身体を硬くして、抱かれる事を拒んでいた。
「何もしないよ」
って言われても

どこまで信じていいか、もう分かんないよ。

「俺、今から仕事だから、したくでも出来ないって」
「うそ」
「ほんとほんと~」
「じゃあなんで服脱いだの?」
「ゆきがどんな顔するのか見てみたかっただけ~」
「へっ?」

タプは脱ぎ捨てたシャツを再び着込んでいて。
「鍵ここに置いとくから、帰る時ポストに入れといて」
とテーブルに鍵を置くと
手早く身支度を整え部屋から出て行こうとして・・・。
「その前に」
と慌てて引き返して来て。
「じゃ行って来るから」
とおでこに軽くキスをくれる。
そして出て行く前に
「いってらっしゃいは?」
って・・・。

展開が速すぎて、望まれるまま
「いってらっしゃい」
と口ごもりながら、彼を送り出して。

ベットに一人取り残される。

これ?何??何のゲームですか?
強引なのに、ゆきの張る予防線からは入ってこない彼
そしてそんな彼にもどかしさを感じ初めている。
もっとキスして欲しかった。

求められるなら、少し抵抗したとしても
多分あのまま身をゆだねてた。
悔しいけど、理由なんてわかんないけど。
彼が好きだって想い始めてる。

時計は深夜の2時。
ゆきは帰ることを諦め、このままベットを借りる事にした。

こんな時間から仕事って何してる人なんだろう。
普通の仕事じゃないに決まってる。
あの髪色だし・・・。

シーツに包まって。
目を閉じているとすぐに眠たくなってくる。

明日考えよう・・・。
これからどうするのかも。
どうしたいのかも。

全部、明日に・・・。