「彼女??」
おとぼけた顔して、この状況をどう切り抜けるつもりなんだろう
「そ、彼女、綺麗だし、あたし敵わないってわかっちゃったんだ」
掴まれてる腕を振り解いて
ドアを大きく開けると。

「待てよ」
って・・・だから往生際悪いんだって!
話し聞く気にもなれなくい。
「だから何?」
「まじかよ・・・」
深くため息をついて
「どんな話してたんだよ?」
って黒髪の彼女に強い口調で言って。
「別に?何も?」
という黒髪の人・・・。
「何もって、言わなきゃいけないことあったんじゃねーの」
「あぁ~、まぁねでもなんか~ゆきちゃんが可愛くて~」
「あぁ~?可愛くて?」
「勘違いしてるなって思ってたけどw」
「否定しなかったんだろ?」
「YES!」
「っ・・・。」

「ごめんゆき、こいつ姉貴だから」
「へっ?」
「こいつ、はおれの姉ちゃんだって言ってんの」

そういわれてみれば目元が似てるような
でもでもそんなっ
何時間だまされてたの?

考えると悲しくなってくる。
涙が落ちそうでそれを隠したくてうつむいたあたしに
お姉さんは優しく肩を抱いてよしよししてくれてて。
「あぁぁ~~泣かせた原因、姉貴だっていうのになに慰めてんだよ!」
「だって可愛いんだもん面白いし」

「もういいだろ?こいつ俺のだしもう、貸せない」

と彼はあたしと引き寄せようとするけどもう訳がわかんなくて
無理!
「もういいです!帰りたいから帰ります。」
って、パツパツな気持ちが爆発しちゃって
そのまま部屋を出てきてしまった。

どこまでが本当で、どこからが嘘なのかわからなすぎる。

冷静にならなくちゃ。

好きな気持ちは消えたりなんてしてないけど。
ゆっくり考えたくて。
一人になりたかった。
色んなことがいきなりやってきて
そして過ぎ去っていくけど。

彼のことは心に残ったまま消えてくれない。

消えないこの気持ちをどうしていいかわからなくて。
ゆきは溢れる涙を止められなかった。