気だるく立ち上がってベットに近づくと
「もう寝る…から」
とシーツを引いて彼を見つめた。

「えっ」

それまでは、ずーっとあたしのこと目で追ってたの
…気付いてたよ。

なのにいきなりドギマギしてるってなに?

ちょっと!!
勘違いされてる?
あたし誘ってなんてないから!
「別にそんなっ」
って慌てて枕を抱え込んで
身を守りながら。
「勘違いしないでよね」
って言うのが精一杯でとっさに背中を向けた。

急に体温が上がってきて顔が赤くなってるのが分る。
熱くて手のひらをパタパタさせて扇いでたら。
「勘違いって?何」
って涼しい顔して近づいてくる気配が。

何?この状況!
悔しすぎる…。

だってさ、ベベだよ??トン・ヨンベ!

いつもはあたしが振り回してるのに

今日に限って彼のペースに巻き込まれてる自分っ!

あぁぁぁヤダヤダ。
落ち着かなきゃ…。
抱きしめていた枕をベットに戻して。
深く息を吸い込んだら。
「ねえ、何?」
って背後から彼の声

しつこいぞ!そこ流してくれてもいいじゃん。
「だ~か~ら」
振り向くと至近距離に立ってて

近すぎるって!
適度な距離を保ってください。
じゃないと~~ドキドキしちゃうでしょ!
まったくもう~人の気も知らないでっ。

彼は真面目な顔で答えを待ってる。
その真剣な瞳…。
見つめちゃうでしょ。
見つめたら…嬉しそうに笑うんでしょ?
笑ったら目じりが下がってますます…。

キュンってしちゃうでしょ!

凄く負けている気がする。
うううう、この怒りをドコにぶつけたらいいのよぅ。

あたしの予想どうりに彼は嬉しそうに笑ってる。
口角を上げて緩めたくちびるから
今にも笑い声がこぼれてきそうなくらいの笑顔。

あたしは、何がしたかったんだろう?

ベベのTシャツの胸元を掴んで
襟ぐりが伸びてしまいそうなくらいに強く引き込んで

キスしてた。

突然の出来事に
一瞬緊張した彼のくちびる…も
すぐに解けて彼女を求めてくる。

笑い声や言葉を聴くよりも。
感じたかったんだ。
ただ触れたかっただけ
そう…理由なんてない。

彼の手が背中に回るのを感じる。
どんな顔するんだろうって思っちゃった。

ゆっくりくちびるを離そうとしてみる。

そんなあたしに、彼はすぐに気付いて
「このままで」
ってwww
すっごく早口で言ってきて
また続けようとするから
その必死さに笑ってしまう。

「やだぁ」
って言っちゃうあたし。
本気じゃないけど言いたくなるの。

彼の腕に力が入ってきて痛いよ。
でも痛いとは言わない。
彼を見つめたら泣きそうな顔してて
ちょっと言いすぎちゃったかな?
って少し反省。

「何がしたいの?」
って聞いてあげる。
恥ずかしそうにうつむいてるだけじゃ
何もしてあげない。

固まったままの彼は
何もいえないようすで腕に更に力が加わって。
本当に痛いんですけど…。

仕方がないので質問を簡単にしてあげます。
「分ってるからいいよ、でも一つだけ答えて…。誰とキスしたいの?」

うつむいたまま動かない彼。

すごくおまけしたのに、これじゃガッカリだよ。

「わかんないなら帰ってくれるかな?」
って言っちゃってた。
彼の腕が解かれる。

すごく寒く感じるのは多分気のせい。
帰って欲しくなくて泣きそうなのもきっと気のせい。
さっきまで彼に触れてたくちびるをそっと指で確認してる。

寂しいく感じるのも、そう…気のせい。

きっと変な顔してる。
涙見せたくないから堪えてるし、余裕のない変な顔。
だからくちびるかみ締めてうつむいて
彼のスニーカー見つめてた。

「みわ~」
ってそんな優しい声で呼ばれると泣いちゃうから!
返事はできない、口開いたら言葉より先に涙が落ちちゃう。